一言で言えば、導入して正解でした。
2)オイラーの石へのセット
時計いじり趣味の先輩のページを見てからずっと気になっていて、
実に1年以上、気にしていましたが、ついに昨年購入したのです。
左 耐震装置:ダイヤショック 右 保油装置:ダイヤフィックス
ダイヤショックの場合は、左の絵のように、あらかじめ伏石の中央に手動で注油して、その上に、受けをかぶせればよいのです。
しかし、ダイヤフィックスの場合は、バラして注油はうまくいきません。かぶせるときにずれてしまい、油が広がってしまうのです。本来、右の絵のようにセットした状態で、非常に細いオイラーのようなものでうまく注油すればいいのでしょうが、これも、とても難しいのです。
左がダイヤショック、中央の二つがダイヤフィックスです。
これまでは、すっ飛びやすいバネと格闘しながら、繊細な注油作業をするという、かなりのストレスでした。そのため、ダイヤフィックス(保油装置)の場合、石には注油しないで、ホゾの先端に多めに注油して歯車をセットするという道を選びました。これでも石を見たときに、何とか一点で油がキープされていましたが、やや少ない印象があり、不安もありました。
保油装置が無くて、ただの穴石になっているムーブメントであれば、この作業は不要なのですが、新しいキカイになると(これは、セイコーのCal.7619)、性能が増した分(保油)、苦労します。
しかし、自動オイラーがあれば、1か所、1分もかかりません。感動的です。
しかも、ハケや超音波をしつこくやって、綺麗に石の古いオイルが落とせれば、装置を分解する必要もありません。本当に便利です。
もちろん、ダイヤショックにも使えます。
オイラーの構造です。
3のカップの部分にオイルをためて、4のボタンを引き上げてオイルを指す、という結構シンプルな作業です。この写真ではゴムのリングで、ボタンが上に上がった状態です(購入時)ゴムは外します。
以下、使用方法です。
1)オイルの重点
耐震装置や、保油装置のためのものなので、オイルはメービス9010などを入れます。カップを外します。針を壊さないようにそうっと外します。スクリューではないので、クイクイやって外しました。それで、このように2/3ほどオイルを入れました。
針を穴に入れて、奥まで押し込みます。そうすると、先端は少しだけ引っ込みます。
3)注油
ボタンを上のネジ(偏芯ネジ)に当たるまで引き上げると、このように針が引っ込んで、
4)注油完了
ボタンを放すと(バネで自動的に下がる)このぐらいの量、注油されます。
はじめは、針を壊すのが怖くて、両手でオイラーを持って作業していました。ボタンを操作するときにブレるのが心配なのです。でも、右手でオイラーを持って、左手で地板なり、ムーブ台なりを支えてて操作すれば良さそうです。今はそうやっています。
使い終わった後は、壊れたりホコリが付かないように、台に置いておきますが。使用中はペンのように横に倒しておいても問題は無いです。
以上です。
洗浄済みの地板、装置を組み込んである状態の地板に、この注油作業をするだけで、教科書的な注油量でオイリングできます。
見づらいですが、石の直径の1/2ぐらいの油滴ができています↓
ちなみに、自動オイラーは3種類あります。
左から、7718-1A、7719-2A、7720-5
私が購入したのは7718-1Aです。
3つの違いは、注油量というより、用途です。ボタンを引き上げるだけという作業は変わりませんが、説明書に寄れば、先端の動きが微妙に違うようです。
7718-1Aは、ダイヤショック、インカブロック、キフなどの耐震装置や保油装置に使うものです。
7719-2Aは、上の絵のように、ボタンを操作すると、針の先端に油滴がきれいに作れるので、正確で再現性のよい注油ができます。アンクルの爪石などアクセスが難しい箇所に最適なようです。偏芯ネジを調節することで、ボタンの引きあがりのレンジが調節できます。油滴の大きさが0.3~1ミリまで調整可。
7720-5は、1Aと同じように操作します。狙っている油溜りに先端を軽く押し当ててから、ボタンを押し上げて離せば注油されます。普通のオイラーとして、輪列の穴石なんかに、再現性よく適量注油するために使います。こちらも、油滴の大きさが0.3~1ミリまで調整可です。
悩んでいる人にはぜひオススメしたいです。操作も特に難しくなく、何度やっても失敗しなかったので、これまでの苦労を考えると、だいぶ楽になりました。
例によって、それなりの価格なので、何百回も使わないと、もったいない!という気持ちが湧きますけれど。
このオイラーと、高額なガワ開閉機に、どんどんジャンクを分解しろ、と脅迫されているような気分すら覚えます。。。
今日は、こんなところで。
読んでくれてありがとうございます。
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