Rolex oyster perpetual ref.6580 cal.1030 (その3:組立編;ゼンマイの滑りチェック)

ロレックス オイスターパーペチュアル
ref.6580 cal.1030
その3:組立編;ゼンマイの滑りチェック



分解直後の様子です。ペラペラの絵の具パレットは汚れものを入れて、何度か使っています。
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洗浄後は、新しく買った絵の具パレットに入れていきます。
区分けが多くて便利。
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地板をムーブ台にセットしたら、組立を始めます。
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が、その前に、リューズは、よく洗浄し、内側のパッキンを交換します。
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接着剤で付いているので、はがすのに結構てこずりました。溶剤を使えばよかったのかもしれません。。

スイスパビリオンだったか、新品の社外品ゴムセットを手に入れたので、合うサイズを使います。
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上二つのどちらかが合うやつです。残念なことに記録を残していませんでした。

リューズの裏側にくっつけておきます。
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↑ちなみに、下に置いてある幅の太いリングは合わないヤツです。


以前、他の用途で買った、中国製のコレで、一番合いそうなやつを探したのですが。
合うものが無かったです。
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この写真では、左が元々のパッキンで、右が中国製



今回、新たに買ったものは、ピッタリとおさまります。
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こういう社外品が簡単に手に入るのが、さすが人気のロレックス、と思います。パッキンはともかく、こういうパーツを求めることは、ニセモノを流通させることと無関係でないのかもしれませんが、素人としては助かります。


もうひとつ、準備です。香箱です。
香箱の壁にゼンマイの外端の滑りをスムーズにするためのグリスを塗ります。

この香箱は、内壁に三か所、くぼみがあり(写真ではわかりにくいですが)、
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そこに外端が引っかかって、滑るというタイプです。
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で、いつものセイコーのS-3グリスをちょっと塗ったのですが、これは多すぎるのです↑
というより、このグリスではダメそうです。あとでやり直す羽目になります。ちゃんとここで滑り具合を確認しなかったのが問題です。なぜか、油断していました。溝が掘ってある香箱は違うグリスで対応するべきです。あとでまた書きます。
あとでやり直すことも知らず、いつも通り、ゼンマイにメービス8200を入れました。
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組み立てていきます。
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この、あたらしいパーツ入れ(絵の具パレット)必要な部分だけ蓋を開けてたり、皿を回転させたりできて、便利です。

巻真周りを組みます。接触点にはグリスを塗ります。
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伏せ石、耐震装置(フラワーキフ)には、反対側から自動オイラーで注油しておきます。




表面へ行きます。
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香箱を入れて、一番受けをかぶせたら、輪列を並べて
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輪列受けをかぶせます。ここも、100円ショップの棒を使います。
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ぴしっと難なくはまりました。

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ただし、輪列受けの左下のネジは、秒カナバネと一体型なので、現状は止まっていません。
とりあえず、押さえながらやった感じでは、ザラ回しもOKです。

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丸穴、角穴、秒カナ、アンクルを組み込んで。
丸穴の接触点や、地板のフラワーキフや、石にオイラーで注油します。
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ガンギ用の伏せ石は今回外していませんが、ネジが笑っていますね↓私のせいじゃないんです!
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アンクルの爪石にも注油(裏側の窓から)
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出車を三番車にはめます。そのあと秒カナのバネを取り付けて、テンプを組み込んだら、テンプのフラワーキフを分解して
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いつもどおり、注油します。

これで、一通り完成です。一度目は。
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片振りはあるものの、振角も良く出ていて、歩度も大丈夫です。1950年ごろのものと思えば上出来だと思います。
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手巻でフルに巻いて、パワーリザーブを確認しました。
針を入れる前に、ツツ車にマジックで三角形(時針)を書いて確認しました。

ちゃんと香箱のゼンマイすべりチェックをしていなかったため、問題がありました。滑るのが速くて、パワーリザーブが足りないのです。
計算上、全巻きが6.5周で45時間以上のパワーリザーブがあるはずですが、6.5周巻上げるときに、1.5周以上滑ってしまいました。滑りすぎです。本当は、香箱の壁に3か所に彫ってあるミゾに引っかかりながら滑るべきなのです。つまり、1/3周ずつ、かな。


最初の自分を呪いながら、香箱まで分解します。といっても、輪列はそのままで良いので、まだ気楽です。
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香箱のまま洗ったり、色々やった結果、やっぱり、あのグリスをあの量入れては多すぎるようです。
ほんの少し残っている程度では、滑りが少なくて良さそう。でも、ちょっと増やしただけで、またザザーっと滑ってしまいました。
結局、香箱の歯が汚れたので(当然ですが)結局、全部キレイに洗いました↓
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あれこれやって疲れました。

↓師匠の記事を読んでいたはずなのに、そのとき、ようやく思い出しました。
この手の香箱は滑りすぎるので、極力グリスを減らすべきという教訓を。


最終的には、D5をほんの少し入れただけで済ませました。壁にはほとんどつけない程度。
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本当はもう少し壁には注油したほうが良いかなと思いましたが、滑りまくっていたので、半分ヤケになって少量で済ませました。
また、何度も香箱のふたを開け閉めしたので、負担が多かろうという焦りもありました。ガバガバになったらイヤなので。
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結果、滑りチェックは合格です。巻き上がると、香箱の壁にある3つの溝を一つずつ滑っているように感じられます。
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手巻きでフルに巻き上げて放置したところ、パワーリザーブが45時間となりました。
めでたしめでたし。

べつに、このムーブに限らないのですが、溝が掘ってあるタイプは、グリス少な目、かつ、グリスというより、重めの油:D5が良い、ということがわかりました。
とても勉強になりました。


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ということで、めでたく、文字盤をつけて、針も刺します。
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なんだか、またゼンマイの滑りに苦労して、進歩が無いなぁと我ながら思いますが、ともかく、解決して良かったです。

次回、自動巻き機構と外装編です。
読んでくれてありがとうございます。


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