その2 組立編
このムーブメントは組立時にとても悩まされました。クラッチ車(切替車)でした。
季節はずれですが、これは完成したばかりのころ。まだ春でした。セーター着ています。
まず、外装ですが、インナーベゼルがうまいこと外れない(異常に硬そうだったので)ガラス風防は付いたまま洗いました。
ケースを洗って、最後の仕上げに、ビーカーに入れてエタノールで、、と思ったら
ビーカーの底に挟まっちまっただ。。。どうしてもはずれないので、
バリンと、割りました。
ガラス風防は、いつもの酸化セリウムにリューターでやりました。(最近はすこしやり方を変えてみましたが)
やる前↑
12-3時を集中的に磨いた後。あと四分の三、気が遠くなりました。
結局、完成写真を撮っていませんでした。
ゼンマイも洗いました。
壁の内側にグリスをつけて
巻き込んでこの後、上にもすこしグリスをのせて
組立開始です。まずはマキシン周りから。
これで、巻真マワリはオシマイ。表へ行きます。
ざーっと輪列と、自動巻きを乗せまして。
クラッチ車で整流して、香箱を回してゼンマイを回します。
ゼンマイがほどけて輪列へ力を伝えます。
ここへ、外せなかったローターが付いている受けを用意して。先にルビーに注油しておきます
歯車が多くて心配でしたが
すんなり入りました。
実は、自動巻き機構の、一部の第一減速車のネジを閉めこみすぎて、ネジ頭がパキっと行ってしまいました。。ショックです。ジャンクから部品を採取しました。
角穴車、丸穴車をつけます。ちなみに角穴車、丸穴車は逆ネジです。なので、ドライバーでゼンマイを巻こうとすると外れてしまいます。
角穴車についている穴に何か細いものを入れて巻けばいいのです。リューズが付いているので、手で巻けば済みますが。
ザラマワシはわりと快調でしたが、テンプを入れて測定してみたら、
振角がイマイチ足りません。
このあと、かなり色々試したのですが、原因はクラッチ車にあるようなのです。
先ほどの写真ですが、香箱を介して、本来、輪列側(赤)に力がかかっていくのですが、クラッチ車の調子が悪い(スベリが悪い)と、その力が、無駄に自動巻き側にも戻ったり、香箱の力の開放をさまたげ、輪列への力が足りなくなるみたいです。結果、振り角が足りなくなるみたい。
こいつはいつも難しくて、洗うと、スベリをよくしているエピラム処理のようなもの?が取れてしまい、機能しなくなります。
ETAのオイルチャートで、内側の爪に9010のような軽いオイルをさすような噂を見たので、いちじき、それを試したり、この時も、それを試みたのですが、、、ダメです。チュードルのETA2824-2で学んだとおり、これは洗わない(工場出荷状態)がベストです。
でも、もう、洗ってしまったので、どうにもなりません。
元のジャンクのクラッチ車も洗ってしまいまして、どうせなら、じっくり洗いました。
その結果、全くスベリが悪いせいか、ゼンマイを巻くと、ものすごい勢いで、ローターが回り始めました。供回りというやつでしょうか。まさにクラッチ車が機能していないんだと思います。しかし、この場合、振り角もかなり出たのです。
うーん、どうすりゃいいのか。
結局、もう一つのドナーのジャンクから、無洗浄のクラッチ車を持ってきたら解決しました。
ローターのグルグル供回りもなく、振り角も、なんとか230~240ぐらいは出るようになりました。
とりあえず、安心して、裏側へ行って残りを組み立てます。
もとのダイバーの赤いカレンダーを入れて
これで、だいたい完成です。
なんだか巻真がぐらつくな、と思ったら、先端が折れていました。分解したときはまったく気づかなかったのです。下はジャンクの部品。
ちょうど新品があったので短くしてつなぎなおしましょう。
よしよし。パーツがあってよかった!
リューズ内側のパッキンがボロボロのスカスカだったので、汎用パッキンを探そうと思ったら、、、
大惨事。。。
フタが開きやすいし、空いたら最後、こうなっちゃうんですよ。
どれがあうかなーなんてやる頃には力尽きていました。
忘れていたけど、あの時のことが思い出されてきて、ぐったりと疲れたので、続きは明日(その3)へ。組立と微調整です。
今日は、こんなところで。
読んでくれてありがとうございます。