ref.6580 cal.1030
その4:組立編;自動巻き・外装
前回の続きです。
まず、風防の交換です。
左がオリジナル、右が日本製の社外品風防です。ドームの形状が違います。オリジナルの方が分厚くてドームの丈も高いです。
オリジナルの丈は5.4ミリ、代替品のそれは4.2ミリ。
まぁ、オリジナルのほうが盛り上がっていて、しかもトップが平ではなく本当にドームの形状なので、珍しくてカッコイイのですが、これだけ劣化しているならば、形状はあきらめて交換です。
この、6580を含め、エアーキングなど、多数のモデルにフィットする風防です。径やフチの形もあっていますので、無加工で取り付けられます。ウレシイですね。
ベゼルを閉めます。
次に、リューズチューブの内側のパッキンです。
中国製品の安いロレックス用セットです。ピッタリ。
リューズ内側のパッキンも交換してあります。
シリコンオイルを少しつけて、入れてみて、フィット感を確認します。
OKですので、あとは裏蓋のパッキンも新品を用意しておきます。
そこまで、できたら、ムーブメントを組み込んで、第二伝エ車を乗せます。ローターの力を角穴車に伝えるものです↓
よく洗浄したもの。バラバラになってます
ワニの顔みたいな受けに、二つの切替車Aと切替車B。小さいのはドライバー歯車と呼びましょう。切替車のホゾには9010など、軽いオイルを入れておきます。
このように、ドライバー歯車は、切替車に乗っかり、一方向のみ回転します。
切替車の内側に乗っている爪と、歯がかみ合うことによりできるシステムです。
詳しく書くとこういうことになってます↓
切替車が赤い方に回るときだけ、ドライバーも動きます。
で、この、ワニの顔を、第一伝エ車の付いている受けにかぶせて、固定します。
ローターの軸には横から、D5を注しました
これを、自動巻きの受けに着けたら出来上がりです。
このように、ローターがどちらに回っても、2つの切替車によって、一方向に第一伝エ車を回します。
ローターが逆回転のときは、こうです。
①→②→②’→③’→④の順に力が伝わります。
先日も書いた通り、この切替車の機構が、今後、スタンダードの一つとなっていくので、重要なんですね。
この状態で、ムーブメントに乗せます。
表から見ると、このようになります。この方向で見ると、第一伝エ車(白矢印)は、常に時計回りで、第二伝え車によって、角穴車が回転します。
また、手巻きをするときは、伝え車を逆に力が伝わってきますが、ドライバー歯車がスリップするおかげで、ローターまでは力が行きません。
そういえば、ローターを留めるブリッジのネジが一つ破損していたのです。
新しいのをジャンクネジ箱から調達したのですが(左)、タップが合っていても、頭の形が違います。
オリジナル(右)は、皿型の頭。新しいのは普通の頭。そのため、分厚くなり、ローターと干渉することがわかりました。
そこで、他の物を探したのですが、ジャンクネジ箱からは見つかりませんでした。
目を付けたのは、ジャンクの古いシチズンのカンヌキオサエのネジです。
ロディコの上に三つ並んでいるのが、左がオリジナル、中央がさっきのネジ、右端がシチズンです。今度こそ、皿型です!
オリジナルよりネジ部分が長いですが、幸い、ローター受けの裏側は分厚くなっているので問題なし。
このように、無事、ローターにぶつかることなく、ネジを留めることができました!
これで、全ておしまいです。
ベルジョンのガワ閉め機できっちり締めます。
完成したところです。なかなか、ハンサムですね。
もう、ハンサムは死語だね、と会社の同僚と先日、会話をしました。
いや、でも、このブログでは昭和の言葉を遠慮せずに使っていきましょう!
角度を変えると、ちょっと文字盤の劣化が目立ちますね。アバタもエクボ。自分でいじって復活させたやったから愛着がわくのです。
風防も、山型のドームではなく、フラットですけど、やっぱりキレイでいいかもね。
オリジナル風防を基に別注するほどの元気はありませんでした。
ちなみに、12時間、普通の生活で着用して、45時間のパワーリザーブがありました
。巻き上げ効率も良好です。例の切替車が頑張ってくれたようです!ゼンマイの滑りも大丈夫、ということで、よかったよかった。
さて、次回は、最後、リベットブレスの調整をちょっとだけ。
長い連載になりました。
読んでくれてありがとうございました。
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