ORIENT AAA Deluxe King Diver 1000 cal.4971(その4:組立編、ピンの圧入・風防研磨)

オリエント スリーエース キングダイバー 1000 cal.4971

その4 組立編です。
 
先にプラ風防の傷を取ります。完全にはできませんでした。深めに細くはいったラックがあるので。
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本来、ベゼルを外してやるのですが、この回転ベゼルが非常に固く、外せなかったので、このままにします。
実は風防を撮るには内側からリングを外す必要があったのですが(このように↓)、後で知りました。
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粗いヤスリで削って。お、マスキングくらいしないと、と。今更。
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このあとの作業は、このプラモ用のリューターを使います。先端はちょうど丸いサンドペーパーが両面テープで付いています。
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回転しながらワイパーのように振れて動くので、プラ風防のキズ取りには使いやすいです。均等にやりやすいのです。
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このツールは、以前、「腕時計っていいよね」のネジマキさんのブログで発見したものです。安価ですが、便利です。重宝しています。
 
 
あるいていど均一に削れたら、サンエーパールをつけてゴシゴシ、ここは手で磨いています。例によって、ある程度でさっさと妥協します。
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さて、これでムーブの組立に移ります。
 
いや、組立の前に、分解の時に出てきた、ネジのようなヤツの処遇について。
ネジ山切りが無いので、ネジではないのです。
ここの、日送り車に立っているピンでした。このピンが、曜車送り車を回します。
なかなか気づきませんでしたが、ネジでないとすると、ピン、とすると、、と、師匠のブログをにらめっこしているうちに気づきました。
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無理に送ろうとして外れてしまったのでしょうか。
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もう圧入しようとしてもゆるくなっていてダメかな、と思いましたが、大丈夫でした。
ちょうど合うタガネを見つけてきて、
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ポンス台でトントン
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ばっちりはまりました。たぶん大丈夫でしょう。様子を見ることにします。
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裏から見るとこのとおり
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ということで、組立に入りました。
 
香箱にゼンマイを入れます。香箱の壁とゼンマイの上にはモリブデン入りグリスを入れました
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次に巻真まわりを組みます。
ツヅミ車とキチ車の接触面にグリスを塗ってから
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カンヌキで右側に寄せられていますが、この状況では空回り(リューズが元位置)
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オサエなんかをのせて、とりあえず、裏側はここまで。
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表にいって、輪列を組みます。
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二番車を乗せたら、香箱を入れて、二番車の受けをのせて、秒カナバネ(中央のロボットの指みたいなやつ)をはめておきます。
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輪列をのせて、ここに受けをかぶせます。
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夜中に一人で時計をいじっていると、人間の常識では考えられないことが起こります。バネが四次元の世界に行ったり、急にへんなパーツがこの世にあらわれたり、怪現象がしばしば起こります。
今回も、フッと新しい謎のリングが出てきたんです。
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これは、しばしば地板を洗い終わった後に降臨することが多いように思います。今回は違ったのです。
でも、たぶん、、、
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やっぱり、コイツでした。キチ車と直角に噛み合う、丸穴車の内側にあるワッシャー(座金?)です。地板にある場合があるので、前も同じような経験がありました。分解した時点では、ここにソレがあるとは気づかないんです。
 
ここで、丸穴車を入れてリューズ回して、ザラマワシをやります。シャーっとまわって、自然に止まるのを確認します。
 
そのあと、アンクルを入れてツメに注油、テンプを入れて(はしょってますが)
様子を見てみました。振り角が心配なので。
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お、261も出ています。いいですね。もうちょっとだけ巻いてみたら、とりあえず、だいたいこんなもので、とりあえず振っているので、と安心して先に行きます。
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日の裏側にいってざざーっと組み立てます。とはいっても、日付と曜日のテンションをかけるためにスットビばねが二か所あるので、けっこう注意がいる過程です。
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曜車も乗せて、これで、だいたい完成です。
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これで手巻きでフルに巻き上げて、ちゃんと40時間程度、稼働するかチェックします。ダミーの時針を刺して、ホコリカバーの下で夜を明かします。

 
 
手巻きが十分なパワリザだったので(自動巻のスリッピングが早すぎないことを確認したので)、最後の組立に移ります。
 
自動巻の歯車を乗せます。ETAなんかに比べるとずいぶん歯車の数が少ないです。
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手前にある、切替車。
ETAとかシチズンでけっこう苦しみました。コイツには、内側に爪があり、油ではなく、すべりをよくするエピラムのようなモノをコートする必要があるのです。
 
今回、海外の掲示板で見つけたV105というのを塗ってみました(数秒、漬け込んで乾かす)。その後、とりあえず、自動巻きはそれなりに機能していますが、ある程度巻き上げ効率をチェックすべきですね。まだやっていません。
 
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あとはローターを乗せるだけですが、これで、針を刺して、ケースに入れることにします。
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いつもだと、二段引きにしてからリューズを外します。そうしないと再度入れたときにグチャーっと悲惨なことになるので。
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コイツの場合、二段引きは手巻きの位置で、普通とは違うけど、どうなんだろ、、とか考えながら、とりあえず二段引きにして抜いて、はめてみました。大丈夫でした。
 
ローターをはめて、動きを確認。とりあえず、切替車も機能しています。
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中蓋を閉めて、
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裏蓋を閉めて。。。ベルジョンの平たい爪のやつでやりました。
 
完成です!!
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細い、同心円状にはいるプラ風防特有の劣化については、サンエーパールでも取りきれませんでした。このキングダイバーのドームプラ風防では、とくにこうなりがちなようで、ネットでもちらほらそういう記載を見つけます。分厚くてドーム状だからなんでしょうか。
 
次回は、この時計の弱点、日付の早送りについてです。
まぁケースがかっこいいからしょうがないのですが。どうせならニバダのパックマンのようにノンデイトにすればよかったのに。
 
 
 
 
毎日暑いですね。
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私はと言えば、暑さよりも熱中症よりも、古時計の文字盤の日焼けが心配で、直射日光を避けて手首を裏返して歩いています。それでも真上から日差しが来る12時頃は難しいですよ。怪しげにお盆を持つような角度で歩くか、女性がハンドバックを肘にぶら下げるように荷物を持つか。
 
 
 
今日は、こんなところで。
 
 
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