Rolex oyster perpetual ref.6580 cal.1030 (その1:分解編①)

ロレックス オイスターパーペチュアル
Ref.6580 cal.1030
その1:分解編①
イメージ 1
オイスターパーペチュアル
Ref.6580
Cal.1030
1950年代
自動巻き
25石
ムーブ径28.5mm
18000回/時(5振動)
USリベットブレスを着せて


今日から、何回かに分けて、Cal.1030搭載のオイスターパーペチュアルです。

1030は、ビンテージロレックスの世界では有名なキャリバーです。バブルバックの頃には、手巻ムーブにそのまま自動巻き機構を載せたため、分厚く、また、緩急計すらいじれないような完全なカバーをかぶせていました。後年は、やや薄型になり、調整用の窓も作ってあるものの、やはり分厚いものでした。
Cal.1030は、当時もっとも薄かった手巻きのCal.1000をベースに、両回転巻きあげ(切替車式)を取り付け、薄型かつ巻き上げ効率のよい自動巻ムーブメントとして、1950年に登場しました。この切替車式の自動巻機構は、その後、ETAも採用するなど、近代自動巻きムーブのスタンダードとなり、腕時計の歴史上も重要なムーブだと言われています。
イメージ 2
ロレックスとしても、その後、デイデイトやGMT搭載の機械が派生するなど、基幹キャリバーとして大活躍したわけです。特に、現在、高騰し続けるビンテージロレックスのスポーツモデルにも搭載されているため、手に入れようとすると、ムーブ単体やパーツでも値が上がってしまいます。


この個体も、我ながら結構な価格で捕まえてしまいました。ちょっと頑張りすぎました。黒文字盤にシンプルなクサビインデックスと、アラビア3,6,9 それに34ミリ径というちょうど良い大きさです。スポーツモデルに負けないロレックスらしいかっこよさを備えた時計だと思います。
↑昨日は、近所のとんかつ屋に行きました。そろそろ、暑さも和らいできて、活躍の機会が増えてきました。






さて、以下、分解編の前半です。慎重にやったもので写真を多く撮影しています。せっかくなので、たくさんムーブメントの写真を載せたいと思います。

入手時の写真です
イメージ 3
例によって、ジャンク品での入手です。以下のようなポイントがありました
・ケース風防のキズ・経年のクラックが比較的多い
・ウラ蓋も傷あり
・ブレスの長さが短すぎる(普通じゃ着用は難しいような記載)
・写真で見る限り、少なくとも、ローターを固定するネジの一つが割れている
・写真で見る限り、ベゼルが一部浮いているように見える


ベゼルはもし歪んでいたとすると戻すのは難しいし、博打でしたが、幸い陰影のせいであって、問題はありませんでした。
ブレスについては、細い手首の私にとっては、問題ない長さだったので、安心していましたが、このように、6時と12時側のバランスが非常に悪く(6時側が長く、12時側が短い)、調整が必要です。リベットブレスだからちょっと面倒です↓
イメージ 4

リベットブレスには、スイスとアメリカの二つに大別できますが、こちらはUS仕様のほうです。ただし、この時計の純正なのかどうか私にはわかりません。
カシャカシャしていて、チャッチく見えて、ニセモノと言われてもわからないですね。もともとUSのタイプは作りが簡素らしい、と聞きましたが。
でも、個人的には、軽くて、味があって、リベットブレスというやつはとても気に入りました。
イメージ 5

風防のキズです。磨いてもどうにもならないクラックが多いのですが正面から見れば視認性にはあまり影響がなく、むしろ、このドーム型の風防をそのまま生かしたいという気持ちがあり、最後まで悩みました。
イメージ 6


文字盤はオリジナルという記載です。オリジナルのように見えますが、私には、リダンされていてもよくわからないですね。ただ、相当昔にリダンされたものならこのぐらいボロイのかもしれません。
艶はほとんどありませんが、もともとは艶ありのタイプだったように見えます。イメージ 7

リュースは交換されたものかどうかわかりませんがネジコミは問題有りません。
イメージ 8

さっそく、分解します。
イメージ 18


ガッチリしていて、それでいて華やかで高級感のあるムーブメントに見えます。
イメージ 9

わかりにくいですが、矢印の部分、ネジの頭が割れて、欠けています↓
記載はなかったけど、入札者は皆気づいていたのでしょうか。
ここから、他のパーツの破損などの危険性が疑われましたが、他の欠品や破損はありませんでした。
イメージ 30
自動巻き部分を外します。薄型とは言えしっかりしています。

ネジは三本、一本は形が違います。
イメージ 10

裏返すと、このように自動巻きの受けに切替車が並んでいます。中央はローターの歯車です
イメージ 11


ローターの歯車は、本当は、中央に見える十字型のスプリングを外してバラすのですが、このスプリングを破損したら困るので、今回は外しませんでした。
イメージ 12

右が割れているもの↓
イメージ 13
幸い、欠けたネジも外せたので、無事にローターを取り外します。
ローターの軸はこのようになっています。ベアリングでは無く、写真では見えないけど穴石がありますす。
イメージ 14

ローターを外した自動巻きの受けです。
イメージ 15

二つ切替車が並んでします。
イメージ 16

まるでワニのキャラクター見たいですね。小さい方の歯車を外したところです。
イメージ 17

リューズはこんな状態。もちろん、パッキングは使用不能です。交換します。
イメージ 19

ムーブメントの機留ネジは、外すのではなく、回転させて、ピンを挟み込むタイプです。
イメージ 20

ムーブメントを台に乗せます。
イメージ 21
この角度だと、文字盤がかなり劣化しているのがよくわかります。ただ、角度によっては見えないです。白っぽくなっていない部分は艶が残っています。


3針の高さを確認しておきます。もちろん、レトロ感のある、曲がった針、膨らんだボンベイ文字盤です。
イメージ 22

針も劣化は激しいですが、穴や針の本体にキズはあまりありません。汚さが気にならなければ、十分使えます。
イメージ 23

Rolexとイデックスはアップライトです。OYSTER PERPETUALとOFFICIALLY~は色味が違います。特にOFFICIALLY~は顕微鏡で見ても緻密に書かれています。
イメージ 24

横の干支足ネジを緩めて文字盤を外します。
イメージ 25

この角度では見づらいですが、STERN社製の文字盤で、数字と星のマークの刻印があります。
イメージ 26

デイトが無いので、シンプルです。やはり、スピードキングの時と同じようにマキシン周りのパーツはキレイでしっかりしています。
イメージ 27
耐震装置はフラワー・キフ↑


出車と、秒カナの位置関係を、分解前に必ず確認するようにしています。
イメージ 28

長くなったので、ムーブの全バラシは、次回です。




この時計の整備が完成した夜に、夜食のパンを食べながら撮影したものです。
嬶の作った自作の白パンですが、塗ったイチゴジャムがなんだか、顔みたいで怖いね。呪われそうな顔です。
イメージ 29
今日は、こんなところで。次回に続きます。

読んでくれてありがとうございました。


ブログ村に登録しています↓
応援クリック、励みになります。よろしくお願いします。