今日は、出車抜き工具、BE30638-3の紹介です。
ちょっと前までは出車式の古い中三針の時計は避けていました。この工具が無かったからです。
ところが、ブローバ
オメガ、
そして、ロレックス
と、やりたい時計が増えてきたので、必要に迫られて手に入れました
これら、40~50年代の時計では、秒針をセンターに持ってくるために、本来の歯車の首を長くして、外側に出した「出車」をくっつけて、2階建てにした三番車を使っています。
出車は三番車の長いホゾにカシメてあるので、分解の時には外す必要があります(実際には外さないで、三番車を受けに着けたままやればなんとかなりますが)。
これが、ピンセットとか、普通の道具ではうまくいかないのです。たとえば、良く似た工具で、剣抜き(針抜き)も使えません↓
左が出車抜き、右が剣抜き
出車は、ふつうは5本のアミダ(スポーク)がありますので、剣抜きのように左右の腕が同じではダメなのです。
一本の腕は2本爪、もう一方の腕は一本爪になっていないといけません。
この2本、1本の爪で、青印で書いた3点に爪を噛ませて、引き抜きます。
「出車が出ます!出車が出ます!ご注意ください!!!」
出車抜きを使うときには、注意が必要です。
実際、いじってみて失敗しました。
とにかく、安定して、垂直に引き抜かないと、簡単にホゾが曲がります。
①地面(輪列受け)の形状をしっかり把握する
たとえばオメガ30ミリキャリバーの輪列受けは、青で囲んだあたりのにスペースが狭いので危ない。(というか、失敗したのです)片方の腕がしっかり受けに収まらずにグイっとやれば当然斜めに力がかかってしまいます。
②出車周囲も良く見る
①に関連しますが、思ったより出車抜きでは力がかかりますので、周辺のパーツを壊さないようにします。秒カナの受けはもちろんですが、ブローバでは、四番車を押さえる薄いバネがありますが、コイツを先に外しておくべきでした。工具に挟まれて曲がってしまいました。
③位置を決めたら躊躇せず一気に抜く
中途半端にやると、左右の腕が同時に立ち上がらず、ホゾを曲げてしまいそうです。また、出車を抜いたらすぐに力を抜いて外します。変に力を込めたままでいると、爪の部分と金色の足の部分でスポークを挟み込んで曲げてしまう可能性も(あるんじゃないか)。
ということで、ベルジョンの出車抜きのレビューというか、素人が使う場合の体験談・注意点をご紹介しました。
せっかくなので、次あたりから、ブローバの分解記事をやろうと思います。
今日は、こんなところで。
読んでくれて、ありがとうございました。
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