もとい、『偏屈のすすめ。』
今日は70年代の変態時計、アドバンの分解記事です。
当時、カットガラスでキバツなデザインの時計が国産メーカーからたくさん登場しました。セイコーで言えば、アクタスや、ロードマチック、キングセイコーバナック、そして、この、アドバンこそ変態時計と言えるデザインですね。
特に、亀戸系はすごいデザインで、7039のこれはものすごい↓いつか欲しいけど、なかなか手に入りません。
こちらが、先月紹介したアドバンです。
SEIKO
Cal.7019A
1973年製
亀戸
自動巻き
21石
21600回/時(6振動)
当時の純正キャタピラブレスを着せて
7019Aは、7005Aを元にした合理化がかなり進んだキャリバーで、後の7S26にも似てきます。まだ樹脂パーツは使われていませんが。
到着時の状態。結構お得な価格で手に入れたのですが、お決まりの風防のキズも私には我慢できるレベルなので喜びました。
では、さっそく分解に入ります。
ラグのあたりはさすがにモノスゴイですね。ダニやシミが出てきそう。
変形で上下非対称なケースですが、いつものセイコーの台で開きました。
中身はキレイです。
リューズを抜く時は、
ひっぱると、矢印のようにオシドリピンがピョコっと見えるようになるので↓
爪楊枝かなにかで押して引き抜きます。
ごらんのように、このアドバンは太陽マークが風防の内側に描かれているので、キズがひどくても、交換が難しいところです。さいきん、純正ガラス風防のストックは相当に高騰しております。
なにやらインデックスに指紋みたいのが付いていましたが、それ以外はとっても綺麗でした。この青がタマラナイなー。カッコイイナー!
慎重に、針・文字板を外したら、
中央のカレンダーを押さえているオサエのEリングを外します
三つの穴がありますがそこでレバーをちょっとおしのけて曜車を外します
裏のツメはこのようになっています。ここにも太陽マークが?ということではありませんが、この14本のツメのおかげで曜日の日本語と英語が早送りで切り替えられます。
今回は、日の裏がややこしそうなのでさきに分解しました
機械式末期の70年代の時計は、えてして複雑になっています。カレンダー関係で便利機能が付いているせいです。
手巻機能がありませんので、ツヅミ車のみです↑ ツヅミの上にあるパーマンバッジみたいのがポイントで、コイツが、リューズのプッシュで、曜日を早送りしてくれます。
上半分に弧を描く大きなバネがプッシュの時のバネです。
だいたい分解できてきました。ツヅミ車に挟まっている、カンヌキがおもしろい形です。普通は真っ直ぐですが、こいつは大きく画面下側に伸びており、バネ一体型になっています。
これで裏面はだいたいオシマイ。
表へ行きます。まずは、テンプを大事に外しまして
角穴車を外したら、マジックレバーの付いた、受けをはずして裏返し
このように、伝え車がパックマンみたいなリングで留めてあります。7S26みたいです。
さて、あとは、輪列を外していきます。
これで終わったようなものです。
二番車とツツカナを外して、あとは受け石関係を外してオシマイ。
だいぶ長くなりました。組立編は次回です。
FPジュルヌとは何の関係もいないのですが、せっかくなので家にあったカタログとも一緒に撮影をしましょう。
『偏屈のすすめ』は、ジュルヌというのが変わり者ですごい時計師である、というのがわかる本です。本人の語り口であれやこれやとエピソードを書くだけで、ライターの(読者目線の)普通の視点でのポイントとか補足が時折入る、という構成です。そうしないと、ヘンクツだのヘンタイだのというのがあまりピンと来ないからかな。
思った通りの内容で、感銘を受けた、ということも有りませんでした。
でも、時計好きなら、技術的な内容もおもしろいし、こういう人を応援したくなるな、という気持ちにさせる本でした。
応援しようにも、応援できるのは富裕層のみで、庶民にはこの本を購入するぐらいしか応援できませんね。これはいただきものだけど。
今日はこんなところで。
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