天文台を席巻した量産機

今日、30日の時計は、オメガ30ミリキャリバー手巻きのCal.284です。
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別れの季節です。別のフロアですが、機械式時計が大好きでイイ時計をたくさん持っている先輩がいます。会うたびに時計話でもりあがっていたのですが、ついに転勤ということになりました。
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今日も最後に時計を見せてもらいました。ドイツ時計というのはすこしスイスと違う印象を受けました。ポリッシュ面がない無骨で特徴的なデザイン、かっこいいダイバーです。このデカさが似合うものならら欲しいもんだ。

30ミリキャリバーとは、世界恐慌の中、オメガが生産性を高めるために、合理的で簡潔な設計で作り出した一連の13リーニュ(30mm)のムーブメントのことです。1940年~60年代ごろまで作られ、手巻き、自動巻き、スモセコ、中3針とバリエーションがあります。
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一部の高級品ではなく、量産機として、素晴らしい制度と耐久性を持ち、ヨーロッパの天文台の精度コンクールで、次々と記録を残しました。セイコーがコンクールで大活躍する10年以上前のことで、まだスーパーやユニークも出ていない頃です。50年代まで、舶来時計がずっと先を行っていたことがわかります。30ミリの大きさだったのは、コンクールの規定サイズが30ミリまでだったためです。
30ミリキャリバーが素晴らしい精度を出せた一因は大きなテンプを採用したためと言われます。
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Cal.284は50年代半ばのもので、センターセコンド仕様なので、出車と秒カナがありますが、30ミリキャリバーの構造はとてもシンプルで、各パーツは大きく分厚く、耐久性が高そうに見えます。
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実際、分解掃除しても、ネジ一本から大きな輪列受け、巻き上げひげに至るまで、実にしっかりと緻密に作られているように感じました。24日のロシアンウォッチと比べるまでもなく明らかです。280度の振り角をだし、大きなテンプがブンブンと振れ、実に安定したタイムグラファーの曲線がでました。
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まるで、中身で勝負すると言っているように文字板には飾り気はなく、実にシンプルです。インデックスは4か所にハート型を使っていてしゃれた雰囲気はありますが、12時位置のオメガマークと6時位置の小さなSwiss made以外、何もありません。
32ミリという小さな径の時計ですが、大きさ以上に文字板の広がりを感じます。中央にラインの入った針はすーっとフチまで伸びています。黒文字板は経年変化により、表面は泥のようなザラっとして見えます。秒マーカーは消えかかっていますが、一応書かれています。
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50~60年代のセイコーと並べてみます。大きなムーブであることがわかります。
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とくに、ガワとのムーブの間にスペーサーが無く、ギリギリいっぱいに収まっています。組立のときにリューズを持って裏返したりするときに、マキシン部分が短すぎてびっくりするほどです。テンプが大きく重いので、組立の時に、非常に神経を使いました。。かっこいいヒゲゼンマイでした。
分解の様子は、そのうち。。

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ムーブメントも中身も色々なバリエーションがあり、たくさん作られたためか、比較的安価に手に入りますので、色々と集めたくなってきます。
赤金ムーブ時代のオールド・オメガがいかに素晴らしいか、素人なりにも少しわかったような気がします。

クロコのシャイニーのバーガンディです。時計だけでなく、革もジャンク品で、シワやヒビが見えますが、素人のレザークラフトにはちょうど良いです。ステッチなし・アンコなしのシンプル構造です。コバはこげ茶色に塗っています。
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こんなところで。
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