傷ついたガラス風防の研磨(ボール盤)

今日は、風防研磨のための工具紹介です。
前回、ファイブの分解掃除を記事にしたので、その時の風防研磨の様子を写真に撮ったので紹介します。
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【はじめに】
古い時計をいじっていると、ガラス風防のキズとはどうしてもお付き合いする必要が出てきます。プラ風防なら紙やすり&サンエーパールで気楽なものですが、ミネラルガラスとなると、面倒です。

同好の仲間も色々と苦労・研究を続けている課題であり↓、趣味人にとって、自動巻の切替車の洗浄と同じくらい、やっかいなテーマだと思われます。

私の場合、今までは何日にもわたって、ハンドリューターに付けたバフで地道な作業をして、しかも仕上がりには満足できなかったのですが、最近は少し作業時間と疲労が減りました。一応、合計1時間ぐらいの作業で、我慢できるレベルに達するようになりました。
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poitiさんのブログで紹介されていた、自作工具をマネしてみたのです↓

本来、穴をあけるための用途である「ボール盤」。これの先端に風防をつけて、酸化セリウムで磨いてしまおう、というアイデアです。
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私が手に入れたのはとにかく安いもの。こういう工具はピンキリです。そもそも通常の用途でないためレビューも参考にならないし、あまり高いものを買って使えなくてもイヤだったので。しかもpoitiさんのブログで紹介されていたものの後継機種だったようなので、とりあえず。

私の二番煎じバージョンでは、仕上がりに、やや難がありますし、まだ改良すべき点が多いのだと思います。特に思い当たる点は最後の方に書きました。

【作業の詳細】


とりあえず、現状の作業内容についてレポートします。
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まずは、ひどいヨゴレなんかをガシガシと洗剤とかハブラシとかで落として
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コレがスタートです。


金剛砂(コンゴウサ)の1000番をオカシのカンカンのなかに入れて、傷の面を押し付けてゴシゴシとやります
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すりガラスになります。
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全体にムラなくやります。風防の形状とキズの深さによりますが、30~40分でこうなりました。
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コイツをボール盤のコマに接着します。このコマは、確か円盤状のサンドペーパーかなにかを張り付けるためのアタッチメントで、先端がゴムで平らになっています。
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3Mの強力な両面テープでくっつけてからさらに、フチはグルーガンでくっつけました。気休めかな。
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これを、ボール盤に装着して、下側には安物ですが、ラボジャッキを置いて微妙な高さの調節をしやすくしておきます。
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缶の中に入れたバフと酸化セリウム+水に風防が微妙に浸かるぐらいにして
抵抗を感じるぐらいにしてから最低速で回します。
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回している間、缶を右手でもって微妙に画面、手前→奥に往復運動します(下記)。
これで10分を1セット、あるいは2セットで終了。
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わかりにくいですがスリガラスはぴかぴかになりました。
ただし、回転運動のためなのか、ガラスの中央のスリガラスが消えない場合があるので、あとはハンドリューターで中央だけかるく磨いてやってオシマイです。
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仕上がりの状態
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けっこうきれいに見えます。



【同心円状の磨き跡】

私としてはこの程度でまあ満足なんですが、角度によっては、部分的に微妙に、レコードのような、「同心円状の磨き跡」が残りがちです。
下の写真の4時位置や6時位置で、蛍光灯の反射がある中央よりのところです。
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原因は色々あるのでしょうが、おそらく、私には能力と知識が無いため、poiti先生の本家とは、色々違いがあり、そのせいでレコード跡ができるのではないかと思っています。
特に思い当たるのが風防を当てるバフがある程度動いている必要がある、という点です。バフを全く動かさない場合、酸化セリウムが接触する風防の場所にムラができやすいのかもしれません。

質問したところ、親切にご回答頂きました。
コレも、バフをランダムに回るように工作するマネをしてみましたが、なかなかうまくいきません。
そこで、上で説明したように、手動で、バフの入っている容器をゆっくりとスリスリと往復運動させることにしました。手前→奥の往復です。これにより、回転軸に対して直角な方向の動きが加わります。
本当にこの作業のおかげかどうかわかりませんが、最近の作業は、レコード跡はほとんど解消しました。今日紹介した例もマシなほうです。最初の頃は本当にレコードのようになっていました。
このレコード跡については、酸化セリウムの量とか、バフの硬さなんかも影響しているのかもしれません。今後、改善する必要があります。


それにしても、スリガラスにするところまでいけば、そのあとの作業は、別にボール盤だろうと、ハンドルーターだろうとあまり違いが無いのかもしれません。

とりあえず、このやり方で5個ぐらいはやってきましたが、手でやっていた頃に比べれば、掛けた時間に対して満足度が高いものになりました。

また、もちろんカットガラスなど、特殊なものはできず、平らなものか、せいぜい、ゆるいドーム型の物だけが対象です。



【おわりに】
poitiさんをはじめ、いつも色々と参考にさせてもらっている時計ブロガーの皆様、ありがとうございます。また、よろしくお願いします。
また、ご覧いただいた方でアドバイスを頂ける方は是非おしえてください。

※ちなみに私が使っている三共コーポレーションのモノはとにかく安いですが、届いたものは組立に問題のある不良品で一度、交換しています。また、モーターが回っているときに焼け焦げのようなにおいがひどいです。そのうち解消するかと思っていますが気配がありません。喚起やメガネ・マスク等、注意がいります。個体によるのかもしれませんし、こういうものなのかもしれませんし。プロクソンとかのほうが良いのかもしれませんが、なにしろ、使い道といい、頻度といい、あまり高価なモノは避けたかったので。



今日は、こんなところで。
読んでくれてありがとうございました。
おやすみなさい。