「家は借りて住め、本は買って読め、工具はベルジョンを使え」
って言いますね。
なるべくコスパの良い国産工具で済ませているのが現状ですが、コレは私の持っている中で最もハイクォリティー＆エクスペンシブで、悩んだ末に購入してからは、とってつけたように、良いジャンクいじりは良い工具から、と、信じることにしています。
身の丈に合わない、とも言うツッコミは自分でもしているところですが。。。
ベルジョンの裏蓋オープナー5700Ａです。
巨大ハンドルと豊富な種類の爪および保持パーツが付いているのが特徴です。
ほとんどのスクリュー式裏蓋は、明工舎の二本爪とセイコーの保持器Ｓ-212で用が足りるのです。
●購入したきっかけ●
そんななか、私がこいつを手に入れた理由は３点ありました。
①固着したジャンクで相当な力が必要な場合が、まま、ある。
よく言われるように、スクリュー式のふたを開けるには、回す力より押す力が重要です。この機械であれば、かなりしっかりと体重をかけて回すことができます。
②ダイバーの裏蓋は種類が豊富である
今年はかなりダイバーズ収集に熱中しており、このような多角形のフタを開けるのには、専用の物でなければ、ツメがこれにフィットするものがあったほうが良いです。ラバーやゴムボールで開けられるほど楽ならいいのですが、ジャンクとなると硬いものがおおいのです。
③ロレックスのオイスターケースを安定して開ける
チュードルのボーイズサブマリーナを手に入れて以来、多少ではありますが、オイスターケースとかかわりを持ちました。サブを分解掃除をしたときは、バー型の手持ち開閉器とセイコーの保持器だけで問題はなかったのですが、やはり、力のかけ具合を間違えればガリガリーっとなり、後悔することになります。ヒヤっとしたこともあります。
唯一の（超）高級機械式時計であるＧＭＴマスターを手に入れたとき、本物確認＆油の残り具合確認をするために、裏蓋を開けたのですが、滑ってガリッとやってしまったのです。開きはしたのですがかなり落ち込み、やはり、工具があったほうがいいなぁ、と思ったのです。
（④）ちょうど、あの、スイスフランがどうこう、ということで時計の価格が上がったころ、工具の値段も上がる、というタイミングでした。その前に買った方がいいいかもしれませんね、と、店のオヤッサンにそそのかされたのもありますが。
●付属品●
5700-Ａに付いてくるものは、以下のパーツです。
・ツメをはめる万力型アダプタ
・６種類の爪
・ガワ固定用のコマ（９、１１、１３、１５、１７、１９、２０、２２ミリ）
・６種類のラバーアダプター 5700-62-6 （１６、１９、２２、２６、３０、３４ミリ）
・３種類のラバー保持器 5700-03（１９、２６、３４ミリ）
●オイスターケースを開ける場合●
5700Ａのセットのみでは、ロレックスには対応できません。以下のものが必要です。
・オイスターケース用のコマ
5538 コマ一式とアダプター（これは私は持っていません）
あるいは
・バー型のオープナー5537とアダプター5538Ｔ
私は、手動のタイプ5537をすでに持っていたのでこれに、アダプターを単品で手に入れました。じつは、アダプターを間違えてソックリな中国産ニセモノを買ってしまい、そっくりなのですが、ベルジョンの本体にハマラずに、返品しました。これ以来、やはり安物ニセモノはよそう、と思いました。
このアダプタが無いと、本体にはまりません。
また、できれば
・4本足の保持器5674
もあったほうが良いです。5700Ａに付いてくるコマはなぜかカン幅18ミリがありませんので、ボーイズサブマリーナをやる場合、必要でした。この保持器ならカン幅は関係ありません。
そもそも、他の時計の用途はなく、オイスターケースのみの開閉なら、
5700-RO というのが良いと思います。四本足の保持器と、ロレックスのコマが付いており、多種類のツメや保持コマはありません。
●他社の類似品●
もちろん、ほかにも候補があり、購入時には色々とオヤッサンに聞いてみたのですが、最終的にはベルジョンにしました。
WIT、ホロテック
ハンドルというよりはダイヤルと言う感じで、両手でしっかり持って体重をかけるタイプではありません。おそらく、力の込め具合は、ベルジョンのようなハンドルが良いと思いました。
VOH
新しいメーカーでほとんどベルジョンと同じですが、もっと高価でした（のれん分けだか元社員が作ったメーカーとか言っていたような）
明工舎（ＭＫＳ）
最後まで悩んだのは国産のMKSです。こちらは、ハンドルではなくレバー式です。メイコーシャの工具はいくつも持っていて、こなれた価格の割につかいやすく壊れにくいと思うので好きでした。実はハンドル式よりレバー式の方が力がかかりやすいみたいです。ＭＫＳも、ロレックス用のコマがあるのですが、すでにバー型のロレックスオープナを持っていたこと、保持器が少しちゃっちい感じがしたこと、また、やはりスイス製ならスイス製の工具の方がよいかもしれない、とか今後の拡張性を考えたこと、から、メイコウシャではなくベルジョンを選びました。
●レビュー●
トータルとして、使い心地は良いです。
しっかりと体重がかけられるところが一番です。ハンドルの持ち心地としては、見た目よりは軽い感じがしますが、力を加えるときの持ち心地が非常に良いです。
また、上下方向の動きもスムーズ。ハンドルはバネ式になっていて、押し付けているとき以外は、上に戻ってきます。爪をつける万力アダプタの上下位置は可変です。
とくにロレックスの場合、ちょっとでも斜めになったりすれば、すぐにガリっと滑ります。手動の5537で真上からしっかりと体重をかけて回すのは、やはり技術が要ります。5700Ａを使えば、斜めになることを気にせず、真上から体重をかけてハンドルを回すだけでいいのです。
ただし、オイスターケースの場合はギザギザが一致するコマを使えばいいだけなので爪の幅合わせは不要ですが、普通の場合、しっかりと爪と裏蓋がかみ合っていないとスベるので注意が必要です。万力型のアダプタでしっかり噛ませておきます。
また、5700Ａをそのまま地面や机で使うと滑ってしまうのでもう一工夫が要ります。本当であれば、底面を作業台にネジ留するべきなのです。私にはそんな専用のスペースがありませんので、下にラバー板を敷いています。これで問題ありません。必要なときに机の下からひっぱりだして使っています。
また、色々な爪や固定のコマがあり、固定のされ方も安定感があります。「しっかりしている・ちゃっちくない」という印象です。
また、ロレックスをやるときに感じたことですが、他の付属品が使えるという拡張性があるのは良い点です。
オメガのシーマスター用の５本爪ホロテック製のコマは、手動のハンドルがホロテックで打っているのですが、じつは、ぴったりと5700Ａにはまったのです。
ホロテックとベルジョンがいつも互換性があるのかどうか知りませんが、これはやはりスイス製だから、かな、と思い、汎用性が高いと感じた一場面でした。
もちろん、5700Ａで開かないこともありました。それは、まぁ短所というよりはこの工具の限界だと思います。いくらがんばっても、爪がけずれそうになります。
どうしても開かない個体では、爪が蓋をナメてしまい、傷がつくし、爪にもダメージがあります。
今までに、開かない時計（ジャンク固着）を6個、この5700Ａで挑戦しましたが、3勝３敗でした。ウーン。。。
ちなみに、負けたうちのひとつは、過去、記事にしたキングダイバー1000です。
気に入らなかったのは、このガワを抑えるコマに18ミリが無いということ。自分の経験では一番多いカン幅が１８なので。19ミリで代用すれば、という説もありますが、やはりズレるのでいまいちです。それを使うぐらいなら４本足の5674を使うほうが安心です。
また、ラバーのアダプタはまだ役に立ったことがありません。たいてい、ウラブタの形状にじゃまされて押しつけても滑る感じです。ラバーの吸盤でおさえて開くほど簡単なヤツであれば、5700を使わなくても開くような気がします。まぁ、そのうちこれらも役に立つのかも。5700-Ｚはラバーアダプタが付いていないので、こっちのほうが良かったとも思います。
短所というか、悩んだのは、やはり価格です。高いなー。しょっちゅうオイスターケースなんかを扱う質屋や時計師ならすぐに元は取れるかもしれませんが、ただのシロウトには、猫に小判、豚に真珠となっています。ウーン、でも、一生使えば元は取れるゾ、という印象はあります。そのぐらいデキのいいカッコイイ工具でしょう。
これを買って以来、この趣味を一生やろう、ひとつでも多くジャンクをこなそう、という気持ちが強くなりました。
今日は、こんなところで。読んでくれてありがとうございました。
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