SEIKO KINETIC AIR DIVER'S 200m SCUBA 5M63-0B30(その1;分解編)

最近、まともな分解記事が書けていませんでした。
今日はちょっと変わり種で、キネティックについてご紹介します。
キネティックはご存じ、セイコーのシステムで、自動巻きのようにローターを振ることで蓄電して、クォーツを動かすものです。
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セイコー エアーダイバー スキューバ 200M
Cal. 5M63A
キネティック(ローターによる充電式クォーツ)
1990年代(だと思います、、)
ナイロンNATO式ストラップを着せて

ちなみに、今日の午前中の時計はこの時計、午後の時計はチュードルのサブマリーナでした。私にとってはこのぐらいのサイズの時計がやっぱり使いやすいです。

我が家に来た状態↓
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この時計はありがたくも、ブログ仲間のさいちゃんさんから頂いたもの。

ブログによれば、キネティック機構の二次電池がやばいかもしれない、とのことです。多少のキズはありますが、全体にキレイです。防水もばっちり効いていたのだと思います。

オーバーホール歴不明ですが、もともと、年式のあたらしいものだから(古くても90年代)、二次電池の交換だけでいいのではないか、と、悩んだのですが、分解する方が楽しいだろう、と思い、分解・洗浄・二次電池交換を行いました。
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かなりきつく締まっていましたが、いつものMKSの2つ爪オープナーで開きました。
蓋の端にサビは来ていますが、中は完全に無傷でした。

クォーツの裏蓋を開けたりいじったりするときには、コイルをさわったらオシマイだから気を付けよう、という緊張感が漂います。
その緊張感をよそに、いきなりブルンブルンと動くローターのすぐそばにむき出しのコイルが2本あるのだから、ビビります。考えてみれば機械式もすぐそばにテンプがあるのですが。
ローターを外すとローターとともに回転する伝え車が有ります。上に見えるのが二次電池キャパシタ)です。
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おっと、リューズを右側にというのが、いつもの角度なので、ココから角度が変わります。カバーを外すと、茶色の樹脂のペラいのが出てきます。裏面に細かい回路があります。これも傷つけぬように、慎重に扱います。
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また、ローター周りの歯車には力がかかり、摩耗しやすいため、ちゃんとルビーが使われています↑

ここで、基本的なところを書き込んでみました↓
コイルがなんで二つあるんだろう、と思ったら、一つはローターをブンブンすることによって二次電池に貯めていくものです(青矢印)すぐ隣にある小さい歯車はステップローターと同じように磁石になっています。ちょうど、普通のクォーツ機構の逆をやっているのでしょう。水色の矢印がローターからの力を伝える歯車です。
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黄色のコイルが通常の時計用のコイル。
また、緑矢印は、プッシュボタンによってパワーリザーブを確かめるための機構です。プッシャーの近くから電池位置(画面下方)まで届いていますね。電機的にどうなっているのか知りませんが。

二つともコイルを取り出して、慎重に傷つかないようにしまっておきます。
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ここまで来たら、やっと安心して、巻真を抜いてムーブメントを取り出しました。
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文字盤、針ともにとっても綺麗です。緊張します。
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文字盤の外周にパワーリザーブを示すリングが乗っています。秒針が12時位置に来たときに、プッシャーを押せば、グイーン、と秒針が動いてパワリザの位置を示すのです。

ビニールをかぶせてから針を抜いて、文字盤とともに、しまっておきましょう。
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文字盤を外すと、樹脂のスペーサーが噛んでいます
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なんとなく、文字盤側から分解しました。
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金色のCリングを外してから、小さい穴にピンセットを入れて爪を逃がしながら、曜車を外します。
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シンプルに見えます。やっぱり樹脂パーツが結構見られます。

というより、地板が樹脂なんです、、、いつもと違うのでなんだか心配になってしまいます。

日車も外します。手裏剣を含めた小さい歯車が三つ並んでいます。日付、曜日早送りのためのものです。
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色々と外します。白い樹脂の歯車は通常の日送り、曜日送り爪です。
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樹脂の地板があらわになってきました。白っぽく見えるのは油ヨゴレではありません。これで裏側は完了です。
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表側に戻ります。コイルを外した状態。要所にはルビーが入ります。
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画面中央に見える輪列受けを外します。これもほとんど樹脂。裏返したところです↓
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輪列が出てきます。機械式に見慣れていると、小さいです。いじりにくいです。磁石のステップローターもあるし。ちなみに、御覧のように、巻真周りのオシドリなど表側に存在します。ここからの局面が一番ゴチャゴチャしていてやりにくいところ。
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輪列をほとんど外しました。分針に相当する部分(ツツカナをふくむ歯車)が中央に見えます。その上側に見えるV字のコイルブリッジの谷にある小さな歯車がステップローターです。磁石なのでプラスチックのピンセットでつまみます。
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ちなみに、こちらが、ツツカナと歯車が一体化している部品で、分針が付くところです。
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あとは巻真の周りを外します。シンプルでいいです。
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これでオシマイ。
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この後、洗浄・組立です。
金属パーツはベンジン、樹脂パーツはエタノールで洗浄しました。
ほとんど汚れはありませんので、超音波がメインでした。
なにしろ、ほとんど、汚れていない、というより、顕微鏡で見ると、油がきれいにルビーに残っていたのです。はっきり言ってオーバーホール不要でした。でも、それは輪列の方まで分解してみないとわからなかったので。。

まぁ、せっかくなので、洗浄・注油をしてみました(分解後に調子が悪くなったら情けない話ですね)

組立編は、次回。

久しぶりに詳しく書いてみました。
今日は、こんなところで。

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