カンパノラ cal. 8730 フレキシブルソーラー(カンパノラ、最後の意地)

久しぶりにカンパノラ。ブログの主旨とは少々異なりますが、私の好きなシチズンのラグジュアリー時計・カンパノラをムーブメント別にご紹介する記事です。
今日は、cal. 8730 フレキシブルソーラー・エコドライブのシリーズです。
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●デザイン「宇宙の壮大な風景を文字盤に閉じ込める」
このシリーズはカンパノラの10周年を節目に作られ、2011年にバーゼルでおひろめされた時計で、個人的にはカンパノラ最後の意地、とも言える傑作です。
カンパノラは2000年からスタートし、次々と新作を発表していきましたが、2007、2008年バーゼルは過去の色違いの作品、2009年はコスモサインのアップグレード版、2010年はカンパノラの発表無し、と少し元気のない状態だったように思います。
そこで、2011年にフレキシブルソーラーのシリーズ、「天満星(あまみつほし)」、「深緋(こきあけ)」を出展し、翌年にはチリジラデンというデザイン違いを出してきたのです(残念ながら、その後2013、2014、2015年のバーゼルにはカンパノラが出されていないようです)。
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カンパノラの商品開発の重要なコンセプトである(と思われる)「クォーツ複雑時計+ラグジュアリーで斬新なデザイン」これが実にうまくいった例です。初の専用ムーブであったクロノグラフcal.9800に続き、こちらもエコドライブによる複雑時計です。
通常のエコドライブの文字盤では、ソーラーセルのために、文字盤のデザインや構造が制限されていましたが、文字盤の見え返し部分に備えたフレキシブルソーラーセルにより、金属製の文字盤そして漆などのデザインを仕上げることができました。
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12時位置のサブダイヤルは電気鋳造によるサンレイ仕上げで太陽を象徴し、宇宙船の窓から見下ろす月を、ムーンフェイズと日本の伝統工芸である漆で表現しています。
しかも、見返し部分に隠されたソーラーセルの領域は、ビス留の五徳リングにより、かえって文字盤に奥行きを与えるという効果も与え、まさに宇宙の壮大な風景を閉じ込めた作品になっています。
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また、漆の6時ダイヤルと外周リング、レザーストラップの色を統一することで、一見すると、相当な変わり者のデザインをうまくまとめています。
私には、このシリーズのデザインは、雪だるまに見えますが、、、。そのぐらい個性的で面白いデザインです。
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●機種
BU0020-03A / 天満星(あまみつほし)
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天満星は、名前も素晴らしいのですが、この6時位置の黒文字盤に塗り重ねた漆に金粉を散りばめていて、針の金色と相まって、日本の伝統的な高級カラーが演出され、一つの工芸品と言っても間違いないでしょう。兜のようにも見えます。こういうものを世界に発信してきたのがシチズンはえらい!すごい!
私も百貨店などで機会があるごとに、天満星を生で見せてもらい、うっとりしています。大好きな時計です。いかんせん、43.5mm径は、やはり私には大きすぎるので、購入の候補から落ちてしまいました。外周ダイヤルがローマンインデックスなのも惜しい。。


BU0020-03B / 深緋(こきあけ)
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深緋はカンパノラのカラーとも言えるほど、色々なシリーズで出ている色で、もちろん、これもいいのですが、6時位置のデザインを考慮すると、やはり天満星がこのフレキシブルソーラーシリーズではベストだと思います。


BU0020-54A/紺瑠璃(こんるり)
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紺瑠璃は、レザーではなく、ブレスバンドの仕様です。色が青とシルバーのみなので、他の二つに比べると使いやすいというか、「普通の時計」に近いように感じられます。こちらはクールで若い人がつけてもいいと思います。


BU0024-02A/ 塵地螺鈿(ちりじらでん)300本限定
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チリジラデン(すごい名前!)は「宇宙の漆黒の闇に輝く星空」がイメージで、すべて黒でまとめられています。漆塗りに、貝の真珠層を散りばめた“塵地螺鈿(ちりじらでん)”細工による華やかなダイヤルが最大の特徴です。針も黒いので視認性は悪く、「コントラストを抑え、螺鈿の輝きが映えるようにしています」との文句ですから、こちらは本当に観賞用でしょうか。あらゆる色に通じ得る“粋”な色と言われる鈍色(にびいろ)を、フォントとバンド ステッチに配しました。
外周ダイヤルは、ローマンのインデックスではなく、分表示なのです。個人的には、なんとなく、ダイバー、ミリタリーやレギュレーターなどのデザインでないのに、インデックスに時間でなく分を選ぶというのは、好きになれません。
オールミラーDLC(ダイヤモンドライクカーボン)コーティングを、ケースと文字板外周部に採用しています。DLCは艶を与えるとともに、表面硬度を高めキズをつきにくくする特徴があります。



●仕様
径43.5mm/厚み14.4mm
デュアル球面サファイアガラス(無反射コーティング)
光発電エコ・ドライブ、
トリプルカレンダー・月齢表示(ムーンフェイズ
日常生活用防水
月差±15秒
フル充電時約6ヶ月可動
レザーストラップは、フラップ付
塵地螺鈿DLC
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ムーブメント Cal.8730
文字板の見返し部分にリング状のソーラーセルを配したフレキシブルソーラーセルを採用した、光発電エコ・ドライブ時計です。
これまで、カンパノラで搭載された複雑時計はほとんどが電池式のクォーツでした(例外は前作のエコドライブクロノグラフと初期のエコドライブデュオ)。このキャリバー8730は、エコドライブを積み、トリプルカレンダーとムーンフェイズを備える複雑時計で、クロノが無いことは別として文句のない機能です。(パーペチュアルカレンダーではないのが残念ですが)。
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トリカレ&ムーンフェイズというこのムーブは、デザインを楽しみ、かつ、多機能を味わうことができるカンパノラのコンセプトとしてのバランスが良いように思います。クォーツ・コンプリケーションや、エコドライブ・コンプリケーションのように、さらに多機能になると、プッシュボタンも増え、インダイヤルは必然的に機能性がデザインを押し殺してしまいます。それに対して、たとえば、この時計では、ムーンフェイズのインダイヤルはデザインとしての効果が出ています。
(こういう時計が機械式でホシイゾ、というその気持ちも良くわかるのですが、、、)


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さて、このムーブメントは、2008年に発表されたキャランドゥリエCALENDRIER(キャランドゥリエ)という複雑時計です。今は売ってないのかな。海外のみかな。8万円ていどで買えてしまう、コッチもなかなか魅力的です。こちらも、文字盤では天体を表現しており、「時間と空間を表現するフェイスの美しさを追求」したそうです。12時位置の日付針は太陽で、秒針は流れ星をイメージしています。6 時位置のムーンフェイズのダイヤルも夜空に浮かぶ月をモチーフにしていますので、やはりコンセプトは同じです。カンパノラに比べれば、デザインは未来風でメカメカしいムードで、全然別モノではありますが。
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天満星は買えないけど、キャランドゥリエなら買えるなぁ、と、周期的に、この時計がほしくなります。金色の機種はどことなくカンパノラに近い印象ですし。
天体、というより、左二つの時計はロボットの顔みたいに見えます。



●カンパノラのその後
最後の意地などと扇情的な言い回しを使ったのは、この後のエコドライブ・コンプリケーションが、やや期待外れだったと感じるのと、機械式のカンパノラが出たためここで一区切りという事実もあるからです。、今後のカンパノラの巻き返しに期待したい、という気持ちが高いです。
いずれにしても、次回の記事、エコドライブ・コンプリケーションが最終回の予定です。


今日は、こんなところで。
読んでくれてありがとうございます。

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