SEIKO Speed Timer 6139-7020 その2:組立編 ~復針伝達レバー

スピードタイマー 6139Bの組立です。
先に裏側で巻き芯まわりを組んで、
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表にいって、歪んでいた二番車を交換して、
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二番受け、香箱
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輪列、そして中央の4番車(秒クロノ車)は金色です。
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これら輪列を受ける一番受には重要なコラムホイールがついています。さきに組立ててオイリングをしておきます。ここのコラムホイールの注油は力がかかるので大事だと思います。
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さらに、第一発停レバー、第二発停レバーを組んで、偏心ネジなどでクロノ車のクラッチレバーとのかみ合いを調整します。
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そして、復針レバー(カムをたたいて帰零させる)などを組み込みます。
ここで、いちおう6139Aと比較してみました。基本的なシステムはまったく同じですが、パーツが微妙に違います。
左下の第二発停レバーの先端、右上の復針レバーバネ、右下の復針伝達レバーの先端など、、、まぁどうでもいいのですが。ようするにAとBではパーツ流用はけっこう難しいようです。以前、クロノ車の移植が無理だったことも確認済です。
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クロノグラフ受をのせて、テンプも組み込んで。これもその1で撮影したように窓の形が違っています。無事にテンワが周りだしました。
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また、前回6139Aで苦労したもろもろのクロノ系のトラブルはありませんでした。基本となるチェック項目は微妙にいじりましたがクリアです。少ないトルクでも無事にクロノが作動しました!


安心して、裏にいって色々組みます。ムーブ台を専用のものに変わっています。
これは、クロノの動きをチェックしていたからです。
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全部、組んだら、曜車、日車の送りをチェックし、時間合わせの時の摩擦が弱すぎないか(置き回りのチェック)、確認して、
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日車、曜車を乗せて、ムーブを取り囲む、中枠(スペーサー)のリングを忘れずに入れて、
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文字盤を入れます。
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専用ムーブ台上で、リセットボタンを押しながら、秒クロノ針を刺しました。
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問題なく、動きました。
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一周したら、積算計も1分動きました。帰零も問題なし。
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そのあと、一晩、様子を見ます。
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次回に続きます。


おまけ。
6139AとBの本当にどうでもいい微妙な違いを確認しました。

帰零させるときリセットボタンを押します。
その時、青矢印の復針レバーの爪が、コラムホイールのミゾに落ちます。そのとき画面で見えないところで、ハートカムを叩いて帰零させるわけです。

こちらは6139Bで、プッシャーが右上からつきでてくると、復針伝達レバーという部品がテコの原理で傾いて、青色の復針レバーの爪を押します。
その時、復針伝達レバーの先端(赤矢印)に爪があるのですが、プッシャーを押す前には若干コラムホイールに接触しています。それが、押すと離れる、という感じです。
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一方、6139Aには、この赤矢印の爪がありません。この爪があると、動作が安定するのかもしれません。。。クリック感には違いが無いように思います。
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以上、6139A、Bの違いのトリビアでした。
本当は、何かもっと大きな違いがあるのでしょうか。私には見つけられませんでした。

ということで、次回に続きます




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追記

ご質問があったので、気になってちょっと調べてみました
通常時と計測時で、歩度が変化してしまうだろうか?

そうだとすると、クロノグラフ車になんらかの問題があり、
通常時に四番車(赤色)だけが回っているが、クラッチが接続されてクラッチ車と秒針(青色)が同時に回るようになると、負荷がかかるあるいは負荷が解消されるなどの現象がおこり、輪列にかかる力が変わる。
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その結果、振り角が変わり、たとえば非常に低下して止まりかけるようになって「遅れる」。あるいは、振り角が非常に大きくなり、振りあたりのようになって「進む」など、結果的に歩度に影響するかもしれません。
ちょっとした振り角の変化がすぐに歩度に直結するかはわかりませんが、、、。


気になったので、ちょっと試してみましたが、通常時と計測時に大きな変化はありませんでした。日差-30秒ほどの値が続き、振り角もほとんど変化せず。
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