SEIKO Speed Timer 6139-6000 (その4:帰零ズレ)

セイコースピードタイマー6139のつづきです。
その4、帰零ズレについてです。
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前回は、58秒止まりがやっと解消されたというところ。
まさか穴石がかけているという、技術書には書いていないハプニング

やっと、終わりが見えてきたので、そぷいえば、針があまりにも汚いよなぁ、、

ジャンクからもう少しだけマシなものを見つけたので、付け替えました。
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どっちもどっちですが、緑青がでていないだけマシかな?
本当は夜光を取り去って、盛り直し、というところでしょうが。



このように、復針ボタンを押しながら、秒針を12時位置にして刺します。
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すでにちょっちズレているのですが。

爪楊枝で、スタートボタンを押して動きを確認。
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よし、オーケー。

ところが、ストップして、復針ボタンを押しても、帰零がズレまくりました。
何度やっても、、12時より5~10分もずれてしまいます。

この帰零ズレも、6139のもう一つの主なトラブルです。
秒針を動かしてみてチェック
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秒針パイプもハネと一緒に動く、下のタイプです。
↑とりあえず、(ロ)ではなさそうですので、(イ)の「押し込み不足」を疑います。一番解決しやすいので、もう少し強く押し込みます。
もともと普通の針刺しよりは強めに押し込むようにしないといけないのです。

えいっ!!
「ガクン」



ガクン?
思い当たる節がしっかりあります。例の、穴石突貫工事です。
穴石がきつくはまっていなかったようで、針刺しの圧力で抜けてしまったのです。

もう一度分解して、穴石の周りをちょっと叩いたりして、地板の穴を狭くしようなんていう試みをします。
もう一度組みなおしましたが、結果は同じ。
やっぱり穴石の交換など、私には無理だったのか、、

「もうすこし、、もうちょっと、ナントカ、、、」
と顕微鏡下であがいていると、ピンっと大事な穴石がどこかへ飛んでいき、千と千尋の神隠し
げんなりしてキカイを見ると、なんと、香箱からオイルがチョロっと流れ出て、周囲を汚しています。

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嘆いてもすべからく自分のせいです。

しかたないので、一晩寝て、完全にバラして、全てパーツを洗って、やり直しました。

そういうわけで、また、こういう写真から、、、
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もちろん、途中は省きます。というか写真がありません。

実は、別のジャンクから、持ってきた穴石は、ピッタリちょっときつめに、ハマったのです!!!
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まだ、時計の神は見捨てていなかったようです。



そこで、もう一度、強めに押し込みます。今度はさすがに慎重です。
でも、弱くてもまた帰零がズレました。まだ弱いのかも。
えーい、ままよ!!!と強めに入れましたが、石は取れていないようです。

今度はいいかも。
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でも、2、3回やったら、やっぱりズレました。

解決策の(ハ)というのがあります。
復針レバーにたたかれるハートカムと、秒針軸がスリップしている、というやつです。
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ロディコの上で、ハートカム(赤)をいじりながら、秒針軸(黄)が回転するのを確認。
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問題有りませんでした。
となると、やっぱり秒針のハカマがオカシイの??

と顕微鏡でよく見ると、ワレてはいませんが、わずかに四角に変形していました。上がデッドストック。下のピンボケが、問題のハカマ。わかりにくいですが変形しています。
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なんとか狭めたりしたのですが、どうにもうまくいきませんでした。
うまく、まるく全体を締め付けることができないのです、、、。より一層変形してしまう始末。

仕方がないので、やはり、デッドストックに交換しました。
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この針を偶然持っていたので助かりました。



ようやくキカイにめどが立ったので、次は、外装にかかりました。
傷だらけのガラス風防は、酸化セリウムで、頑張って磨き、少しはましになりました。心労が溜っていたせいか、ビフォアーしか撮影していませんでした、、、
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最後は、プッシャーというラスボスが待っていました。次回へ続きます。
新春・地獄のスピードタイマー連載も、次回、ようやく完結編です。


今日はこんなところで、、
お付き合いくださりありがとうございました。


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