チュードル クロノタイム ref.79260P cal.7750(その2:組立編)

Tudor Chronotime ref.79260P ETA Cal.7750
その2 組立編
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前回の続きです。バラバラにしました。クロノグラフというともっとパーツの数が多いイメージですが、そうでもないです。それはこのムーブメントが合理的にできているからかもしれません。
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ミドルケースの分解はやめました。ベゼルを外して傷つけたりゆがんだりしたら怖い、ガラスはきれい、プッシャーの分解も怖い(よくわからないし)、というような理由からです。ハブラシと洗剤を使って可能な限り良く洗い、完全に水で流してから、乾燥させました。

今回、エピラム液を手に入れたので、ガンギとアンクルだけでなく、指示書にあるパーツにも使いました。長期間グリスの保持が求められるようなパーツに、あらかじめ処理しておけ、という指示です。具体的にはマキシン周りとかです。
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エピラム処理と、穴石への自動オイラーで注油してから、組立開始です。
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まずは、輪列
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受けをかぶせたら、
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角穴、丸穴車を組みます
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クロノのカムをセットします。ここには重いグリスをつけています。
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カムと噛合うレバーのあたりが、どうもわかりづらくて、
実は、無理に組み上げた結果、最終的にはひとつパーツをブッコわしてしまいました。一つひとつ、よく理解して組み込まなきゃいけないなぁ、と反省しました。
ユーチューブを見て雰囲気でこの辺をやっつけたのが良くなかった!
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カムの噛合う部分に横からグリスを塗ってあります。あんまりうまくいかないんですが。何度かプッシャーを押せば馴染むのでしょう。

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この受けまで乗せたら、一度、裏面へ行きました。

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7750専用のムーブ台に乗せます。針を指したり、動作確認のために必要です。
まずは、キチ、ツヅミに巻き真を通して、画面右上のあたり、バッタの後ろ半身みたいなバネを入れて先端にグリスをつけています。
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カンヌキ、オシドリなおを組みます。ボケてますね。
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オサエには歯車をスライドして噛ませてから組み込みます。

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ここまでやってから、また、表へ戻りました。
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細いバネを組み込むのを忘れないように、それから、歯車の速さに合わせたグリスをホゾに注油していきます。と言ってもほとんどD5と9010を使うのでいつもと同じです。
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写真の向きがおかしいですがクロノ針まで乗せたところです。
中央のクロノ針(ハートカムが見えます)の左わきにあるのがスイングピニオンの頭です。

クラッチとスイングピニオンを噛ませた状態を保ち、
分積算計とその躍制バネ、クロノ針、ハンマー、などに注意して、切替車まで一斉に、受けをかぶせなければなりません。
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と、言葉で行ってもなんだか伝わらないですが、ここらあたりが厄介です。
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このようにクロノ受けがかぶされば一安心です↑

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テンプを入れて、まずは、通常の時計として動くか、動作を確認します。
そのあと、プッシャーを押して、クロノの動きを確認しました。
クロノを動かしてみたら、やたらに振り角が落ちていて(180とか)、オイオイ、分解前は普通だった気がするぞ、オレが壊したのか、
と思ったら、スイングピニオンとクロノグラフ車のかみ合いの調整が問題でした。ここを調整すること、と書いてあるので、ちょっといじったら、バッチリになりました。バネが効きすぎると噛合いが深くなりすぎて、力がかかってしまうのです。
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今回、切替車はドナーから入れ替えました。同じ7750を積んでいても、チュードルのように人気のあるものの10分の1ぐらいの値段で、無名の時計が手に入ります。多分。なんだか、ETAでさえ、単体パーツで買うのがだんだん、難しくなるんだって。この趣味、はやく辞めた方がいいね。
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裏へ行きます。例の、マサツで重要なドライビング歯車に、セイコーのS6にモリブデン入りのグリスを混ぜたものを塗りました。スキマだけに塗るなんて無理なので、ちょっとはみ出るぐらいしっかり入れて、余分なのをロディコで拭う、という感じ。
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これをいい塩梅で押し込みます。地板より0.05mmだけ下に位置するように押し込め、と書いてあるけど、そんなの良くわからんがな。
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気をつけなきゃいけないのが、上の写真で飛び出ている、インダイアル用の針が刺さる長いホゾです。気を付けているつもりなんだけど、これに12時間計も加わると、3本立つので、油断すると何かをやってる時にパキっと行ってしまうのです。クロノに慣れていないとこうなるんだなぁ。。落ち込んでいて、写真もブレブレですな↓
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結局、切替車を除いても、2つのパーツを、交換することになりました。この写真の12時間計の歯車と、上の方で書いた、カムとかみ合うレバーの2つです。
これでオリジナリティというやつが失われてしまったんでしょうか?ごめんなさい。不人気ETA乗せクロノと同じなんだからいいってことにしましょうよ。だからETAはイイよねぇ。ビンテージロレックスファンの言う「オリジナリティ」というのは、基本的には外装のことなのかな。それにチュードルは範疇じゃないのかも。
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日の裏側ののこりの歯車を組みます。ポイントは画面下のほうの12時間計の周りです、樹脂製のブレーキとか、画面の一番下のバネとか。このバネを組むのがちょっと難しい。こんな感じで、2つのパーツにひっかけながら入れるので、嫌な感じ↓失敗するとすっ飛んで行くし。
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うまくいったので、受けをかぶせます。
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あとは、カレンダーを入れて、
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カレンダーの躍制バネも細いので飛んでいかないように気をつけて
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小さいオサエを2つかぶせたらおしまい。この時点で、リューズを引いて、カレンダー早送りができるか、手巻きができるか、クロノは正常に動くか、と、色々と確認します。

OKになったら、まず、インダイヤルの針を刺します。30分計と12時間計をぴったりに合わせて刺します。
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オッケーだったら、3針も刺します。このあたりで、ちょっと神経がすり減ります。寿命もすり減ってるかもしれません。綺麗な文字盤だとホント、緊張するなぁ。
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全部、無事に刺すことができました。クロノも快調!
どうせ、使わないんだけど、それを言っちゃオシマイか。

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リューズまわりのパッキンにシリコングリス、プッシャーは外してないんだけどなんとなく、出来そうなところに注します。あんまりベタベタやると文字盤に流れちゃたりなんかして、最悪なことになりそうなので怖い。

ガラスにホコリが無いか何度もかくにんしたら、ムーブを入れます。
そいで、マキシンにグリスを塗って
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差し込んだら、やっとゴールが見えてみました。
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あとはパッキンにグリーシング、ローターのボールベアリングにも注油
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最後に、ローターを乗せます。
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ふーヤレヤレ。と油断してはいけません。
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裏蓋を閉めるまでが遠足です。
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油断して手を滑らせて、ガリー!!!っと行くと、立ち直るのに12時間計で3周ぐらいは必要かもしれません。
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完成しました。ハンサムな顔です。白と黒のコントラストが好きです。


精度も優秀で、ほとんどいじっていません。歩度も片振りもほぼゼロで、振り角も良く出てます。
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やっぱり結構てこずったな~というのが感想です。セイコーのい6139の時も最初はすんごい時間がかかりました。
最初はチュードルじゃなくて、安い時計でやるべきだったかしら、と反省しながらも、おっくうなので、チュードルぐらい好きな時計じゃないと始められなかったかな、とも思います。

次回、社外品のブレスの装着、に続きます。ワニ革じゃなくって、安い無垢のブレスです。


今日はこんなところで。
読んでくれてありがとうございました。

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