CITIZEN ADOREX 8050A (その1:分解編、薄型ムーブにU&U式)

久しぶりに分解記事を。今日は70年代の空気が漂うアドレックス
イメージ 1
シンプルな面構えですがあなどれない機械を搭載しています。
8001Aアドレックススペシャルは25石の高級機でガワにも貴重な材質が使われておりリューズで緩急計を調節できるというすごい時計です。そこから緩急計の操作を取り去ったのが8050Aです。


シチズン アドレックス
cal.8050A
21石
自動巻き(U&U式)
1975年6月
28800回/時(8振動)
クロコダイル黒マットの玉斑を着せて


ムーブの特徴ですが、まず、とても薄型ということ。手巻きありの自動巻き、ハック、曜日・日付早送り可能、という多機能なのに、薄型です。70年代っぽいふっくらした丸いガワなので、あまり意味がないような気はしますが。

つぎに、U&U式の自動巻きが採用されているのがポイントです。Q&Qじゃありません、U&Uです。Uターン・ユニダイレクションという意味だそうです。一方向(ユニダイレクション)では、両巻のセイコーのマジックハンドと違って効率が悪いのではないかと思いそうですが、この空回りするときにかなり重りが振れて勢いよく戻ってきて、ゼンマイを巻いてくれるとか(「Uターン」とはそういう意味かな)。
確かに何度か実用で使いましたが、結構効率が良いようで、時計を外してからパワリザが十分あります。

しかも、8振動ですからまぁハイビートなわけです。精度はなかなかのもので、実用で全く問題になりません。ハック機能もついていますし、なかなか使いやすい時計です。問題は、この70年代の文字盤のデザイン的に細かい時間は分かりにくいということ。




では、分解編です。
入手時の姿です。稼働品でしたが、風防のキズや、文字盤のハガれた破片が汚らしい感じです。
イメージ 2


裏ブタを開けると、ローターの回転方向が書いてあります。
イメージ 3
この方向にローターが動いた場合のみ、ゼンマイが巻かれるということです。
一方向性(UniDirection)の由来です。ローター中心の左にある歯車が切替車ですが、逆方向にローターが動いた場合は空転するということです。


分解するときは薄型ということをよく知らず、とりあえず自動巻き部分を取りさったら、
イメージ 4
何の前触れもなく香箱や輪列が出てきてびっくりします。
さすが薄型、自動巻きと香箱も輪列も一枚で受けています。これだけ聞くとチープな時計みたいだけど、、。
この時計は手巻きも可能で、丸穴車や角穴車は反対側にあります。

急に心臓部にたどり着いてしまったので、まだムーブをガワから取り出していないのです。香箱を取り外すと、画面に映っていませんが、ブリッジはなく、直接角穴車がついていました。丸穴車も穴の向こうに見えます。
イメージ 5
輪列は、中心の二番車から、右上に、3、4、ガンギと続いていますね。
秒針は秒カナです。

ようやくムーブ台へ移しました。
イメージ 6
文字盤のグリーンのピカピカと文字盤外側に向かって黒になるグラデーションがきれいなのですが、周囲の黒い部分がハガレて、あちこちに。ここでは、秒針に張り付いています。
とりあえず針を抜きました。

あらためて、表側を分解していきます
イメージ 7
輪列を取り去ったところ。気づいたら、「まずはテンプを取ろう」ということを忘れていました。。変則的な事態に対応できていません。
左の方にあるバネは巻き上げ用のコハゼバネですね。

イメージ 8
アンクルの受けが分厚くて高級っぽい雰囲気!

だいたい、取り去った後です。あとは中心にあるブリッジですね。
イメージ 9
自動巻きの二階建ての車(切替車)と秒カナがはまっています。
イメージ 10

二番車を取ってオシマイ。表はシンプルで、パーツは少ないです。
イメージ 11


裏に行きます。
イメージ 12
やたらに日車が汚いですね。。近くの油のせいだったのでしょうかね。水の入った感じはないですし、そもそもサビではなさそうですから。


なぜか曜車がなかなか取れなくて苦労しました。
地味に、このキカイで一番苦労しました。別に特に変わった仕組みではなかったのに。
イメージ 13
裏面はやけにパーツが多くて複雑です。手巻きができる自動巻きで、日付、曜日がともに早送り可能だからでしょう。太陽みたいな車が目立ちます。

リューズ1段引きで、シーソーのように動く右側のでかいパーツが日付、曜日早送りの切り替えのキモです(黒いネジのもの)。
イメージ 14

とにかく何が何だか分からなくならないように分解していきました。やっと終わりが見えてきました。
イメージ 15

香箱内はきれいでしたので分解はなしです。
イメージ 17



ガラス風防は傷が多かいですし、それを修正しようとした跡と言うか全体的にサンドペーパーで削ったような跡が見られます。

イメージ 16
ガラス風防ちゃんについては、スッピン肌が好きですが(磨くのが面倒すぎるだけですが)さすがに汚いとおもったので、酸化セリウムでがんばりました。
でも、中央の大きな傷(白く見えます)は、私のショボイ装備&根性ナシの性格では、どうしようもなかったです。それでも、これを取ろうと頑張ったおかげで、全体の曇ったようなキズはだいたい取れました。


といってもこの記事の最初の写真は出来上がりの写真ですけどね。え、変わってねえって?

ということで、いつもどおり、洗浄して、次回、その2は組立編です。

別にザシチと関係ないのですが、先日、百貨店に潜入したときにもらった、ザシチのカタログの上で記念撮影。
イメージ 18
全然アドレックスと関係ありませんが、ザシチズンの時計を舐めるように見て、はじめて知ったことがあります。
現行ザシチのクォーツモデルの文字盤には、chronomasterと書いてあるんですよね。機械式には書いてないのに(機械式はAutomaticの表記)。
しかも、裏蓋やカタログには、この「クロノマスター」の伝統的なワシのマーク。

ザシチのクォーツは、かつての高級機「クロノマスター」と何か、系譜として関係あるのだろうか、、??単にマークと名前をリバイバルで使っただけ?
カタログにもHPにも由来が書いてないし、シチズンのアウトレットのおじさんも何も知らないし、、。
シチズンマニアの人には常識なのかもしれないけど。

今日はこんなところで。次回、ちょっと間が開きそうだけど組立編。


ブログ村に登録しています。
クリックして応援してもらえると励みになります、。