SEIKO Speed Timer 6139-6000(その2:組立編 「クロノグラフ車は女性のように繊細に扱ってください」)

セイコーの1つ目スピードタイマー6139-6000、その2です。
精悍なデザインが目をひきます。こちらは赤黒ベゼルですしファイブマークの位置が違いますね。
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前回は分解して洗浄したところまででした。(ちなみにゼンマイの組立はオワッています)。
とりあえず一回目の組立です。注油しながら。
6139Aについては技術書がネットでも手に入るので取り組みやすいクロノです(勢一守さまのHP)。そこで、なるべく忠実にやろうと思うわけですよ、、、。
たとえば注油はこうしろ、と↓
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クロノグラフ車というのは、このムーブの中で最も重要で壊れやすいので大切に扱うよう指示があります。一生懸命、この図を目指して、押し下げたのですが、なかなかクラッチが上下に動く感触が無いので、グイっとやったら

パキ!って

おい。大丈夫か。大丈夫じゃなかったのです。でも、最初はそれに気づきませんで、くみ上げます。輪列を組み上げます
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そして、重要な発停レバーなんかを装着して、
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クロノグラフ車との横方向、縦方向の関係を十分に確認せねばなりません。
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まあ、横方向はまだ良いのですが、縦方向は難しいです。
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とにかく発停レバーでしっかりクラッチの上下ができればいいのですが、、、
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悩ましいことに、このようにクロノグラフ受をつけてからでないとザラ回しができません(この図ではアンクルがついているので無理ですが)。しかも、受がはまりにくいので面倒です。

ザラ回らないのです、、、学刈。
さっき、パキっとやったせいなのか、もともとなのか(おそらく前者)、

クラッチ車と四番車が接近しすぎているようです。結果的にアガキが大きくなりすぎるのかもしれません。

どうにもならず、クロノグラフ車の交換を試みることに。。。

ドナーとなった、このキカイ、よく見てください(ピンボケじゃねえか)
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発停レバーの足先とか、発停レバーのバネ(長いやつが2本あります)が私がいま扱っているヤツと違うんですよ!!!
このとき気づかなかったのですが、こちらは6139’B’です。
秒クロノ車の色が違います。Bは金色。
この車を、私がたぶんぶっこわした車と比較すると
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左が金色、右がぶっ壊れた銅色車

うーん、これじゃあうまくいくはずがないな。
ということで金車をのせて、一安心。

とにかく勢いよくザラ回っているのが見えるでしょうか。
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テンプが動いたときは、モーレツに感動してしまいました(まだ早いのに)
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どっこい。
今度は発停レバーが機能しません。

クラッチリングとレバーがかみ合わないのです。ずっと、クラッチが入りっぱなしです。通常はストップボタンを押せばクラッチリングが持ち上げられるのですが、、
レバーがはさもうとするのですが、空振り三振。
このまま、普通の三振時計、もとい、三針時計として使うのも粋かもしれんな。
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だって、調整できるレベルじゃないんじゃないのか。。。
左右方向のレバーの調整は偏心ネジでやればいいですが、上下方向は簡単ではないです。
もしかして、そもそも6139AとBで、クロノグラフ車の縦方向の長さが違うのでは??と思いつつも、正常な6139Aの部品をもはや持ち合わせていないので、、
残念ながらもう一コあったドナーも6138Bでした。


というわけで、辛抱強く6139Aのジャンクを集めます。

少し休みましょう
一週間後、天の助けのジャンクが届きましたので、壊れていない銅色車を取り出し、金色車と比べてみますと、やっぱり、なんとなく、金色は縦方向に幅がある、ような、、。??
左が壊れていないA、右がB
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同じムーブメントなのに使いまわせないの?
まぁ、明らかに、クロノ受その他のパーツは異なるのです。AとBでもしかしたら受けとかレバーの部品の厚さも違うのか?そんな微妙に変えているのでしょうかね。
ともかく、この新しい6139A(銅色)のクロノグラフ車をセットすると、無事に、発停レバーが機能して、スタートストップが効くようになったのです!
ヨシヨシ。うれしいぞ。

ですが、もとのムーブとは違うところから持ってきているのは確かですから、基本的な、かみあいのポイントを十分チェックする必要がありました。
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クロノグラフ車が一周すると、この、洗濯バサミに尻尾がついたような部品のシッポの部分が、中間車を1歯送り、中間車を動かすのです。
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かみ合いが悪いと、一周したところで、中間車の歯にぶつかってカチっと止まってしまいます。1/4から1/2でぶつかるように調整しろってさ。

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また、積算計(分クロノグラフ車)を1歯おくるには、それを分躍制レバーというやつで、いい力具合で押さえておく必要があります↓ これがなかなか微妙な感じ。
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なんとか、クロノグラフが一周するたびに、カチっと動くようになりました。
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というわけで、一安心して、日ノ裏を組み立てます。
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よしよし。シンプルでいいワイ。

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文字盤を乗せて、針を刺しますが、

お、出番を待ってました、ということで、専用台の登場。
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秒針(クロノグラフ)を指すときに、リセット状態で刺さねばならないので、コイツを使うわけです。実際にはケースの中に入れてプッシャーで押しながらやれば大丈夫ですが。こっちのほうが楽です、もちろん。

時分針はふつうに入れます。
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ちょっとリューズを回して時間合わせをしてみたら、例によって、ものすごい抵抗が弱い。
これは、あれです。置き回りの原因になりますし、ゆるすぎると時間合わせが大変なので、ツツカナをしめて、二番車との摩擦を強くしてやる必要があります。

これについては、師匠のとんぬらさんに教えてもらいました。正しいポンスタガネを使うと、こうやります。
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三角の受けがついた台にツツカナを横にして

先の平らになっているやつでちょこっと何回か叩いてやります。
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中央にメーカーが(あるいは前の修理で?)叩いたミゾがあるので、ここを目指してやるわけです。
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これで快調!


ということで、クロノ針を入れます。右下のボタンを押しながら、秒針を強く差し込みます。

うまくいったようで、回っています。
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よしよし。

とおもったら、忘れ物です。
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このリングは文字盤を入れる前に入れるんですよ。
ふふ、かわいいヤツめ。

ともう一度針を抜いて入れなおします。

もう、完成間近。
しばらくこれで様子を見ましょう。
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あれ??


次回に続きます。
この時点で完成まで3合目ぐらいでしょうか。


今日はこんなところで。。読んでくれてありがとうございます。


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