SEIKO Speed Timer 6139-6000(その1:分解編。はじめてのクロノグラフ)

今日から新春クロノグラフ連載です。

私がすっかりハマってしまったスピードタイマー1つ目クロノグラフの分解掃除の記事です
※とりこになった&泥沼にはまりこんだ、の両方の意

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セイコー

スピードタイマー
1969年~
Cal.6139A
自動巻き
21石
21600回/時(6振動)
クロコダイル角斑/ミニ竹斑(アゴ)を着せて

 
6時位置に30分積算計があり、センターの秒針はクロノグラフ針です。永久秒針はなく、クロノを作動していない間は時計が動いているかどうかはすぐにはわからない2針と同じです。インナーベゼルがあり、リューズで回転します。


クロコのストラップは、別の時計のために作ったもので、カン幅も長さもちょうどよかったので使い回しで、ちょっとボロいです。
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いつかはクロノグラフをいじってみたいと思い、ジャンクを購入してから半年以上たってしまいました、、機械台を手に入れたりパーツ用のジャンクを(念のため)用意したりして、ようやく意を決して挑んだのですが、洗礼を受けた気分です。
感想としては、クロノ以前に、基本がなっていないから苦労したのでしょうが、やはり難しいです。。

入手時、不動です。プッシャーも動きません。ベゼルも風防も針もボロボロです。
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スピードタイマーはセイコーオタクに人気なのですが、とくにこのペプシベゼルがカッコイイと思います。なかなか値が張ります。
キカイとしては国産初の自動巻きクロノグラフとして有名で垂直クラッチで、ムーブメントの厚みがあります。
 
はじめてのキカイは不動じゃないほうがいいですよね、、分解していくときも、なにが原因で動かないのかがわかりにくいので。
ちなみに、6139の分解組立については、両氏が特に詳細に書かれていますので、そちらを見てもらうのが一番です。

B級な時計趣味
機械式のムーブメントは美しい・・・と思う今日この頃
http://blogs.yahoo.co.jp/t2farji/15971872.html


分解に入ります。
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サビがプッシャーから入ってきています。深くは進入していなかったのは幸いでしたが。なにやら内部に繊維のようなものがたくさん見られました。
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針を抜いて
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文字盤をはずして
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日ノ裏側。飛んでいくバネはなく、早送りもプッシュ式のみ(浅く押すと日、深く押すと曜日)なので、比較的シンプルです。



表側に行って、いつもの自動巻き(マジックレバー)をはずしたところです。
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中央に見えているのがクロノグラフ受です。
この、ムーブメント台にそそり立つ二階建て6139Aの窓が多くキカイ好きの男の心をくすぐるイカした表情の板が、禍々(まがまが)しい連続殺人事件の舞台になろうとは、このとき、俺はまだ気づいていなかったのだ!
金田一少年の事件簿風に)
 

余計なフリはともかく、ゼンマイを開放し(若干トルクが残っていました)テンプ・アンクルはずしました。
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クロノグラフ受けをはずしたところ。
中央の歯車がキモのクロノグラフ車ですが、この写真では、クロノグラフの機構の準主役がよく見えます。積算計の歯車(赤)と、復針レバー(青)です。
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クロノグラフ車が一分で一周するたびに、積算計を1歯回します。また、リセットを押すと、復針レバーがクロノグラフ針と積算計の針を帰零させるのです。
 

復針レバーやバネなどをはずしました。
この写真はクロノ機構で重要な部品がよく映っています。
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下に、解説の一部を載せてみました(上の写真を反時計回りに90度回転させた図です)
(図7)中央のクロノグラフ車はスタートボタンを押すと、発停レバーと呼ばれる両脇の腕に挟まれていたクロノグラフ秒針が解放されます。それにより、下に押させつけられて四番車につながり、クロノグラフ針が動き始めます。
 
(図8)ストップボタンを押すと、クラッチリングが持ち上げられて、四番車とクロノグラフ車が離れ、測定が止まります。もちろん4番車は動き続けていますので、普通の時計としては機能し続けます。
 
(図9)リセットボタンを押すと、復針レバーの二つのハンマーが、積算計とクロノグラフ車のハートカムをそれぞれ叩き、ゼロ位置に戻します
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ずんずんとバラしていきます。そういえば、右側に見えるゴツイ歯車が、主役級に重要なコラムホイールというものです(セイコーでは作動カムと表記)。
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ボタンを押すと、レバーがこの溝におちこんで、発停レバーの類を動かす、いわば、ボタンの力をクロノに伝える重要な部品です。ボタンを押したときのゴツっという感触は、ここから来ています(もちろんクォーツのクロノグラフでは感じられない感触)。
 

香箱の受けをはずし、やっと通常の輪列が見えてきます。
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日ノ裏側もばらして、マキシン周りもバラしましょう。
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この後ツツカナをはずして二番車が取れてバラシはおしまいです。


 
ゼンマイのスリップ具合を調べるため、香箱に角穴車をつけてホットボンドで工具を接着し、回してみます
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このやり方についても「B級な時計趣味」に詳しく書かれています
6周半くらいですべる感じですが、滑った感触はあまりありません。たぶん、OKなのでしょう。少なくともパワリザとしては大丈夫そう。

一応、香箱のフタは開けてみると、ちょっと乾いていたようなので、はみ出ている部分はぬぐってから、(壁のモリブデンいりグリスはあまりいじらずに)メービス8200をちょっと追加しました。
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この「チョット」が、チョットでなかったなぁ、今思えば。あとでこれが響きました。変なことはしないほうがよかった。



ケースもバラしました。
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ケース、インナー回転ベゼル、ガスケット、風防、タキメーター(ペプシ)ベゼルの5つにわかれます。まぁそれなりに汚いです。ガラス風防も本当に傷だらけ。私の技術では、あまり改善しませんでした。



この後、いつもどおりベンジン洗浄・乾燥です。

次回、組み立て編('第一回’の組立編)に続きます。完成までの道のりは長いです。興味があればお付き合いください。
今日はこんなところで。ありがとうございました。

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