SEIKO 5 ルナカレンダー 6347-600A (その2; 組立編 文字盤には手を出すな!)

前回の続きです。
セイコーファイブ 6347-600A ルナカレンダー
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トリカレムーンフェイズを見るたびにほしいほしいと思っていました。でもトリカレは高いからなぁ、、。そうだ、こいつがあったじゃないか、と、ずっと機会をうかがっていたルナカレンダーです。
ファイブでこんなに高額なジャンクは初めてでしたが、ただのファイブじゃないですからね。
インドより逆輸入してやっと手に入れたムーンフェイズ本日は組立編を。

不動の原因はテンシン折れでしたが、一番の問題は、文字盤です。上の写真のように緑青がすごいことになっています。

例によって、先生方にお伺いを立てました。みなさん苦労されているようです。
緑青なら酸でというのがひとつの答えかもしれません。でもそれはガワならいいけど、文字盤となると、、。
そんな中、トーホクの方の先生に伺った助言が興味深いのです。
「お湯だけで洗ったらいいかも?」

なんとなく目からうろこ。たしかに、どうがんばっても酸では後戻りのできない後遺症が残る可能性も。お湯だけなら、比較的非破壊なのでうまくいかなければそのあとで考えればいいさ。
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ということで、爪楊枝でゴシゴシと落としていきました。緑青はおおかた取れてきたのですが、結局その部分はサビ色が激しく、インデックス周りが汚らしいですね。
でも、ここで深追いせずやめておこう。
そう。先人の知恵を生かそうではないか。欲張るといいことはない。
ということでここでひきあげようと思ったわけです。



ただ、水分が表面に残り、ミネラルの微妙な固着が気になりそうだ、乾かす前に、細かい汚れも取れるし、水を100%のエタノールで置換して、、、
と欲張ったのが運のつき。


文字盤の濃紺がムラだらけになりしろっぽい膜も生じ(おそらく塗料が微妙にアルコールで溶けた)、もともとはかろうじて残っていた「23jewels Automatic」が完全に見えなくなりました。
ショックが大きくて写真がありません。








そうだ、この際、サビを取るため、すこしばかりクレ556を、、
と迷走し
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大惨事。インド人もビックリ。

おかげで、ほとんど消えかけていた、秒のレイルウェイ目盛が見えてきたじゃない!なんて強がる元気もありません。


なぜ、手を出すな、という最初の考えを貫けないのだろうか、と猛省しても祭りのあと(後の祭り)。


こうなると失うものはありません。


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最初はインデックスをはずそうかと思いましたが、あまりにも細かい作業になり、さらなる悲劇が予想されたので、マスキングテープを。
丸いインデックスが多いので、途中でロディコに変更。

本当は濃紺が良かったのですが、家にあったのが黒のツヤありラッカー。
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ヤケクソです。
二回ほどうすく塗り重ねます。

SEIKOの文字はうまくマスキングできなかったのであきらめました。
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もう、なにもやるまい。これで終わろう、文字盤は。
傷ついた心で分解してあったムーブメントに向き合うことに(もちろん一晩寝てから)



元気がないので、ハショリまくってますが、
巻き芯周りを組んだあと、二番車を入れて、
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ゼンマイは取り出さずに、壁に当たる部分にはセイコ-S3を入れて
ゼンマイにはメービス8200を
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じゃーっと組みます。
ザラ回しはOKでした。
本体もサビとか乾固した油が多く、けっこうゴシゴシ洗ったのですが、色々取れなかったものが目立ちます。
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ガラ箱から手に入れた6306のテンプを入れると、元気に動き出しました。
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これで私も少し元気になりました。

裏もまあ元通りに組みまして、、、
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月を入れて、Cリングが欠品だったので(文字盤を接着剤で貼っていたから入らなかったのかな?)ジャンク6306から移植しました。ここでは乗っていませんが。
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思い出した。文字盤、干支足が折れてたんだった。
ということで、ホロテックだったかの干支足をゲット
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アロンアルファでくっつけます。
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この作業、かなりしんどいですね。ちょっと位置がずれても傾いてもダメです。


そうそう、巻き芯もおれたんだ。ゆがんでいたので、リューズを外そうとおもったら、パキッと。
巻き芯は同じくジャンクからとったのですが、リューズは無かったので、リューズ箱から探しました。
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左のようになんとか合うのがありましたが、少々長い上にOリングなし。
せめてOリングは汎用のを入れよう、そのうち。


マジックレバーを組んで
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ローターを入れて、
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なんとか、完成
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7時のインデックスの周りがきたないのはロディコが多くついていてラッカー不足だったので、あとから顔料を塗ろうとして失敗した後。まだなんかやってたのか、ってそうなのです。


ガラス風防の傷もけっこうあったので、例によってキイロビンで
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やったんですが、、この文字盤なら、別に視認性悪くてもいいよ

ってことですぐに挫折。


セリウムの粉を良く洗ってから一晩水分を飛ばします。
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例によって、グダグダな作業の展開でしたが、どうにか完成にこぎつけました。

もちろんこのためにワニ革ストラップを作る気持ちにならず、、まあ時間もなく、、
これでおしまいにします。

文字盤の代えが見つかるといいけど、無理だろうなぁ、、
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どっこい、パワリザもばっちり40時間近くあるし、歩度も-15秒/日
なので、けっこう使ってやりたいな、とも思いました。中身は悪くないんだなー。
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まぁ、レアなファイブ・ルナカレンダーが、さらに、世界で一本モノの時計になったわけです。

ご指導いただいた先輩方にこの場を借りてお礼を申し上げます。そして助言を生かせなかった件をお詫び申し上げます。


今日は、こんなところで。
読んでくれてありがとうございます。





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