Lord Elgin 670 角金スモセコ (その1:分解編;商標権という空しさ)

今日は、かねてより欲しいと思っていたアメリカン角金ウォッチを。
ロードエルジン 角金スモセコ その1 分解編です。
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ジャンク復活品ですが文字盤も針も手を施していないので、ちょっと汚いです。でも、いかにもビンテージなアメリカンウォッチで、素敵なのです!自画自賛


LORD ELGIN ロードエルジン
手巻き
cal.670
21石
1950年代  
クロコダイル茶 玉斑を着せて

アメリカで普及価格帯の時計を数多く作っていたエルジンの高級ラインのLORD ELGINです。
ご存じのとおり、ウォルサムやグルエンと同じように、エルジンも、クォーツショックの時に滅びています。

しかし、その商標を買って今も時計が作られています。アンティークファンの人なら言わずもがな。
私はよく知らなかったので驚きました。

山口県の「(株)福本電機」あらため「(株)定慧」という会社です。
(電気機器・照明・機械・器具を扱う)
エルジンインターナショナル」なぞという言葉もあり、大変ややこしい。あまり調べないままだと、エルジンUSAの日本法人か何かと思うかも。

商標を買っているのだから、文句を言われる筋合いもありませんが、HPの、エルジンのヒストリーのところはいささか違和感が↓
~前略~
1960年 その後もデジタル時計の開発など、世界中に多くの貢献を残すも、アメリカ時計産業の衰退と共に実態は消滅してしまう。
2000   近代的なソーラームーブメント、自家発電ムーブメント(オートチャージングデバイスACD」)の開発に着手。
~後略~
商標権を買った、などと書かなくてもいいけど、日本の会社が名前を引き継いだというようなコメントがないと、なんだかいきなりすぎて驚きます。
また、時計のラインナップがすごい。●レックスかと思いました。


また、福岡に株式会社ロードエルジン、てのもあるんですよ。
ちゃんと、私の時計の文字盤と同じマークがデカデカとのってます。こちらもヒストリーのところは福本とおなじ感じですが、2013年株式会社ロードエルジン誕生、と書いてあるので、親切?こちらは、福本と対象的に高級路線。
と、思ったら、読者の方に情報をいただき、確認したところ、この会社の所在地は、博多駅前のカプセルホテルの住所になっており、そのホテルは福本電機が経営していることもわかりました。カプセルホテルの一角に高級ブティックがあるのかしら
結局、福本ということですね。

さらに、アメリカの、M.Z.Berger Company という会社。こ、この雰囲気、、、

福本もmzbも、アメリカのElgin National Industries(ENI)というところから商標の使用権を購入しているようで、このENIが黒幕でしょうか、時計は作っていないようですが。
エルジンの商標権についてはこちらのブログが詳しいです。


①有名なエルジンだと間違って購入し、怒る人、②これがエルジンだと思って本当のエルジンを知らずに現行時計をつけている人、③詐欺だのパチだのと文句を言われるメーカー
誰もがちょっと空しいなーと思ってしまいますが、これが商標権と言うものでしょうか。

分解ご紹介前から、複雑な気分になりますが、まあ、古時計好きは、気にせずともかく楽しみましょう。

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入手したときはうれしかったですね、いつかはこの手のやつをやりたいと思ってたんです。
手首の細い私には、サイズが小さくつけやすいし、お求めやすい価格、そしてこの個体はアラビア数字なんですよ。
ジャンクで買ったのですが、汎用の風防は新しいやつをつけてくれました。

傷だらけですが、14K GOLD FILLEDが見えます
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角金ビンテージは、全然防水性がないので、この時期に完成してもしばらく使えなくて残念。


長針の先端が折れてるんですよ、、、これがちょっと悔しい。
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分解を始めました。フチに緑青が、、
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中はけっこうキレイですね
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機留ネジなど、一部がサビが来ているくらいで、状態はそんなに悪くないようです。
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巻き芯になにやら毛玉のようなものが。セーターの袖口でしょうか。
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テンプを外します。
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チラネジがいい感じ!まわりにサビが散っています。
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角穴車を外して、コハゼバネが角穴の中心のところにひっかけてありますね。デカイバネだしなくなりにくくてヨシ!
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香箱が見えます。ゼンマイが、香箱の天井と底面にあけた穴にひっかけてあります。
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輪列。下から上へ、2番車、3番車、4番車、と並んでガンギ車ですね。スモセコなので、位置関係も車の名前も教科書通り。
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全部外して、表は終了。
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裏へ行きます。サビが見えますが、日付もないのでシンプル。
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巻き芯周りまで外して
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地板だけになりました(あれ、これは洗浄後か?)
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香箱をあけたところ。相当古いのでカピカピで、油っ気ナシ。
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ゼンマイを取り出して洗うことにします。
ゼンマイは、S字のものばかり見てきたので、少々めずらしく感じました。
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へたったとかいうわけでなく、もともとこうなのでしょう。
パワリザも問題なかったです。


今日は、こんなところで。
読んでくれてありがとうございました。

仕事が忙しく、分解作業ができず、更新ペースが危うくなってきました、、、。
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