6146A
1968年10月
自動巻き
36000回/時(10振動)
紫のクロコ、竹斑を着せて
かの有名な、国産初の10振動・自動巻きです。
10振動は、ロードマーベルで一度やっています(分解時に気づくのは、ガンギ車の歯が多いなというくらいですが)
手巻き機構がついているので、起動時にトルクが必要な10振動の使い勝手として良好です。日付送りもあります。曜日は12時前後の往復運針で変えるしかありませんが。
(6145は日付のみ、6146は日付と曜日です)
製造年は1968年で、70年には終了していますので、数が少ないです。
この61系GSは、最終的に特別高級腕時計としてグランドセイコースペシャルVFA(very fine adjusted(?)というものに進化し、いっぽうで通常ラインは70年に製造完了し、56系のGS、KSという最終バージョンがとって代わります。
中古市場でものすごい価値があるとか高いというわけではないですが、ジャンクとして扱うにはパーツ集めにとても苦労するキカイです。それを痛感しました。
この時計は、ボロボロの状態で祖父の腕にあったものを、譲ってもらったのです。おそらく1968年10月製造のこの機械、一度もOHをしていないのではないかと思われます。
無頓着な使い方ではありましたが、キカイは生きており、本人も、特に時計には興味がないようですが、「初めての自動巻きと聞いた」と、誇らしげに話してくれました。
手巻きしてみたところ、ものすごい音がします。切れているのかと思ったくらいです。このまま使っていたらどこか壊れてかもしれないな。
しかしずっと動いているというのはすごいですね。
文字盤はこんなですが、経年の味が出ている、と言えます。
もちろんメダリオンはありません。
サビが来ていますが、中にはひどいサビはありませんでした。
自動巻ローターには、さざ波もようというのが彫られています。
分解していて、かなり油の汚れが目立ちましたが、パーツそれぞれはよくできたものと、感じました。あたりまえなんでしょうが、ファイブやアクタスとは違うな、と。
左下にはローターのこすった跡が大きく残ってますね。
テンプを外しました。
輪列です。
秒針ハックレバーがついています。せっかくの10振動(高精度)ですから、やっぱりうれしいです。
香箱、汚いです。「Do not open」表記があります。
手巻きの感覚もガシャガシャギチギチシャカシャカ、と心配な音でいた。このゼンマイが、今回、そうとうな曲者だったのです。
香箱真の部分はルビーが入っていますが、その周りがすっかり汚れています。
表はこれで外し終わりました。
裏に行って、Cリングを外しました。
少々、複雑に見えます。上の二つ歯車があるのが、日送り用です。てっきり、曜日も送れるのかと思っていましたが、それは、まだ56系まで待たねばなりません。
日付の押さえレバーはバネ一体型でなくす心配がありません。
最後に巻き芯周りを外して
あとはツツカナを外しておしまい。ダイアショックも外してよく洗いましょう。
自動巻きもひどい汚れです。ゴシゴシ洗います。
大事なテンプとアンクルはジャバジャバ洗いにとどめました。
香箱はまだあけていません。なにしろ「Do not open!」ですからね、、。まあそんな言葉にビビったわけではないんですが、、。
問題はその先なのです。グランド・シッパイの記録を、断片的ですが、次回、お話ししようと思います。
ハイビートのグランドセイコー自動巻きは、この時計に始まり、VFAで終わるという短命なものでした。
現行のグランドセイコーは41年ぶりのハイビート自動巻きcal.9S85というのを乗せています。この6146とは大きく違うものですが、その精神は、クォーツ時代を超えて脈々と受け継がれていたのでしょう。
左は、現行品、唯一のアラビア表記のGSです。このクリーム色の文字盤はなかなかカッコイイです。先日デパートで見てきたのですが、素敵でした。
お金がないので買えませんけど。
今日は、こんなところで。お付き合いくださりありがとうございます。