RADO Eiger 2797; ETA2783 (その1:超硬質ケース・超固いリューズ!)

ADOと言えば、超硬質ケース。このデザイン、あんまり好きじゃなかったのですが、なんとなくケースの存在感に魅かれて。
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今、考えるとずいぶん高値で購入してしまったこの時計。このケースが高級!なんてことをうのみにしたような。
そういえば初めてのご紹介のETAさんです。

ラドー EIGER(アイガー)
RADO2797(ETA2783)
自動巻き
21600回/時(6振動)
おそらく1960年代後半~70年代初期
この時計はワニ革でなくペラ板ブレスで
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タングステンの合金で全然傷がつかないってことで、1962年当時、Diastarが有名になったそうです。
日本でもオリエントやシチズンなんかでソックリサンの時計を結構見かけますよね。
あまりでかくはないですが、ごっつくて、ペラいブレスを入れて100g以上ありました。
DIASTARでデビューしてからも色々似たようなものを出したようです。
このアイガーはスイスの有名な山なんですね。他にもブライトホルンとか山にちなんだ名前の付いた時計が登場しました。名前以外の違いはあまりわからないけど。

たしかに入手当時も文字盤がそれなりに傷んでいるけど、ガワに傷は全然ありませんでした。
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この素材がその後、たいして流行らずにラドーのみのニッチみたいになったのは、やっぱり重いからですかね、、。
クラッチプルーフ!って言葉はなんだかかっこいいですが。
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当時この値段ですから、やはりレアメタルタングステンを使っているガワに相当金がかかったんでしょうね。
タングステンと鉄とかコバルトとかの合金なんですが、色味が黒っぽくて光り方が独特です。文字盤のデザインを見ても70年代にはやったタイプですよね。
ガラスも流行りの多面カットのミネラルガラスで、こちらも傷が全然ありませんでした。

一応、オーバーホール済とのことですが、手巻きが死ぬほど固いんですよ、、、。超硬質手巻き。
頑張って手巻きを試みると人差し指のツメの切りくずがリューズを覆います。
これを何とかしたいな、でも仮にもOHしたって言ってるんだから、どうにも手の出せない状況なのかも、、と思いながら分解に臨みます。
あと、12時位置のイカリマークが全然動かないからこれも何とかしたいな、と。



スイスのきれいな山並みを思い描きながら分解にかかります。
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もちろん裏のメダリオンはありません。

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めっきだろうがなんだろうが、ウラブタあけて金色に輝いてると、興奮します。

さすがOH済、各部品、キレイに見えます。油ベッチョリということもありません。
ただ、見えるところにホコリが結構入っていました。

パイプの部分も汚れが気になる感じ
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少なくとも、ここを見ても曲がっている気配はないんです。
真横から穴を除いても、ムーブの穴とずれている風でもないんです。
固い原因は何なのか。

リューズを抜いてみて
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え、固すぎるとサキッポがねじれちゃうの??と焦ったのですが、先輩のブログによれば、これは仕様のようです。
そういえば、その記事でも手巻きの感触が固いと言っていたような、、?あれの原因はなんだったのだろう。

ローターを外しました。ローターはボールベアリングではありませんでした。

そういえばウラブタパッキンのサイズが微妙にデカいです。
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左にRADOの番号2797が、テンプの下にETAの2783が見えます。


裏返した自動巻き
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しかし、切替車の重なっている部分は、ETA公式には注油するなっていうけど、どうすればいいんでしょうか、、。不調だったら新品を買え、なんて無茶言うなよなぁ。Otto Freiのページに乗っているオイルチャートではごく少量、注油と書いてあります。微妙なところなんでしょうか、ここは。
マジックレバーばっかりでしたから、ここんところが特にわかりません。


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輪列が見えてきました。顕微鏡で見ても、丸穴車の歯には異常はないように見えました。

、、、と、テンプを外したら、裏にこんなものが入っています。
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薄いアルミ片のようなものをスペーサーにしていたのです。アガキが足りなかったのでしょう。
先日のジェットで苦しんだことを思い出し、嫌な気分に陥りました。まあ稼働品なんですけど。

丸穴車を外します。丸穴のここが偏芯になっているので、自動巻きの時に丸穴車が横に押し出される、ということ、だったと思います。気になるのが、角穴車に近い部分。見えにくいですが、丸穴車の歯の跡らしきものがあったのです、、。ウーン。やはり何かおかしいのか。
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なぜか機留ネジを緩めたあと、はずれないなーと思って、そのまま分解を続けてしまっています。イメージ 14

これがETA輪列というやつですね。香箱の左から二番、三番、四番と一列に。
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ムーブメントをはずせないから、変な順番でやたらに外していき、
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いやいや、結局ムーブ外さないと、4番車は取れないに決まってるじゃんか。

と、ムーブを外す道を、今更ながら真面目に考えました。
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Oリングをはずせば、そこにリングが入ってることがすぐわかるわけです。

ガワの内側にはごみがずいぶん入っていましたねぇ。
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これを洗い落とすだけでも分解した価値があろう、と。前向きに。

やっとムーブ台にのって、表は終了。
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裏です。
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ここの、日車レバーが強力でした。ずいぶん。日付がカチッと切り替わるからでしょうか。
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どんどん外しまして、
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筒カナと日送り車の駆動車?が一体になってるんです。
いつもの癖で剣抜きで筒カナを抜きたくなりました。
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巻き芯の周りを外します。
あれー、さびてます。
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カンヌキのネジ周りがさびていて、しかも、写真で分かりにくいのですが、ネジのミゾが死んでいて、回すことができないのです!

ネジ自体はさびていないので、折れネジの対処をすることはやめ、とにかくこの状態でごしごし洗って、せめて周りのさびを落としました。

もしかしたら、ここのネジが微妙にゆるんでいて、カンヌキが少しぐらつき、キチ車がずれてしまい、丸穴車とのかみ合いが悪いのか?
と思ったのですが、結局カンヌキのネジを無理にあけることはあきらめました。
(実際くみ上げてみると、カンヌキとしての機能は果たしているように見えるし)

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ゼンマイはきれいです。グリースではなくD5みたいなものを入れてあるんでしょうか。ゼンマイ自体を入れ替えているのかな、、。結構長いように見えるんですが、こんなもんなのだろうか。パワリザはふつう38時間みたいですが、組み上げた時、コイツは40時間はゆうに超えていました。

ともかく、分解し、全体にきれいなので、さっと超音波で洗浄しました。
カンヌキのところだけゴシゴシと。

というわけで、明日、組立編を。
どうも、またしても負け戦の模様ですね。

今日はこんなところで。