CITIZEN Auto Dater Rookie 1130(その1:ジェットローターの外し方)

ゴールデンウィークというのがすぐ終わりました。休みは暦通りだったことと、嬶左衛門と坊主のactivityが非常に高く、したがって趣味の時間はごく限られたものとなりました。
なんとか一本仕上げたシチズンのジェットを紹介します。

今日は分解編。
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まずはできたてホヤホヤの完成写真から

Citizen Auto Dater Rookie
03系(おそらく1130と呼ばれるもの)
自動巻き
1961年~
18000回/時(5振動)
クロコダイル茶色、マットの竹斑を着せて


ジェットは、シチズンの2代目の自動巻き機構として1961年に発表されました。セイコーが、ジャイロマーベルより薄型のマチックを売り出したのが1960年で、自動巻きの普及と薄型化が使命だったころのようです。

セイコーは、いわゆる扇形の「普通の」ローターを使いつつ、重みを外側に移動させて薄型を図ったのに対し、シチズンはまったくことなる機構を選び、外周に沿った円形のローターを作りました。その後、色々なバリエーションが出ました。
文字盤のジェットマークがこのローターを備えていることを示しています。

いつかジェットをやりたい、と思っていまして、今回、瀕死のジャンクに手を付けました。オートデーター・ルーキーです。
ジェット・ルーキーは、初代ジェットから手巻き機構をなくし、若者向けの比較的安価なシリーズとして派生したものです。オートデーターは、ここにデイトを乗っけたもので、文字盤にはJetの名前はありません。
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振ればかろうじて動きますが弱弱しいテンプです。裏蓋、機留めネジ、リューズ、巻き芯がありません。
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ちょっと私の力ではケースは再起不能です。
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とにかく、目的のジェットローターですよ。これをはずしましょう。
よく見てもどこがローターを外すネジかわかりませんでした。
なんとなーく赤丸の6つのネジを外しました。ものすごい小さいネジ。
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正解は緑のネジなんです。赤は大失敗なんです。ローターの上側を外してしまうだけなんです。
緑のネジはローターの下にもぐりこんでこうやってムーブに押さえています↓
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三本のネジを外しました。テンプの近くのものだけ長いネジが入っていました。
最初からそうなの?たしかに短いやつだと押さえられないのです。
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赤いコマいネジをはずすとこうやってローターの内枠が取れてしまうのです。ここにボールベアリングが入ってて、ジャラリ、と全部取れてしまいました。
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組立時に、大変に苦しみました。

気を取り直して、ローターを外した自動巻き部分。
この赤い遊動歯車(リバーサー)は二階建てになっていて今見えている二階の歯車がローターとかみ合っていて、一階の歯車は見えない歯車とかみ合っています。
ローターが右回りすると、遊動歯車は右端に動き、歯車が右に回ります。
ローターが左回りすると、遊動歯車は左端に動き、歯車は左に。という具合です。
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自動巻きの受けをはずしたところ↓

遊動歯車が接しているのが画面の上方の二つの歯車です(左が仲介車、右が減速車)
右に動けば青矢印のように、左に動けば緑矢印のように動くので、どっちにローターが動いても、右の歯車のカナが下の大きな歯車をオレンジ色のように右に回します。
左端の鳩の形のコハゼで仲介車にかみ合って逆回転を防止しています。
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最終的に、角穴車が右に回る、ということになります。うーんよくできているな。

見えにくいですが、ハトのシッポに細長いピンが引っかかっています
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ハトを横からみたところ。組立時は、このスキマにピンを入れなくてはなりません。
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自動巻き関係を外したので、ムーブメントを外します。機留ネジがもともと欠品ですが、外れません。ベゼル、文字盤をはずさないと取れないタイプです。
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薄いです。時針など、文字盤に張り付いているような感じ。
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はずします。けっこう硬く入っていました。
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ムーブメントをとりだして
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干支足を留めているネジが見当たらず、欠品?とおもったらこの穴の奥のほうにちゃんとネじがあります。
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機械台において、まずはテンプをはずします。大きいテンプです。ムーブメントが大きく、テンプも大きくすることで精度を上げているということのようです。
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↓先人の経験談を拝聴し、角穴車が逆ネジであるという大きなデータを得ました。
ただ、右に回しても、最初、開かず、どっちがどっちかわからなくなりました。
あたりまえなんですが、強く回すと、香箱が回っちゃうんですよ、コレが。
逆ねじにしなきゃいいのにな。と思ったり。
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爪楊枝で角穴車を固定して、右回しして、開けます。
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手巻きがないので、丸穴車、キチ車がありません。
ただ、ツヅミ車の右側のスペースが気になって、最初は、キチ車欠品?とか思いました。
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香箱内はキレイです。
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どんどんはずして輪列。
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裏面へ。上に見えるのが日押さえレバー。こいつだけなくさないように気を付けて。
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そうっと受けをはずして、、
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あと、ココも逆ネジです。ネジが黒いので、一応、区別はつくけど、最初は普通に回してしまいました。
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ざっと外しまして。
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ツツカナだけ残って。剣抜きでひっこぬきます。
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最後に表裏のパラショックを外して。
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超音波でベンジンにつけて洗浄します。それぞれ結構汚れていましたので地板とか受けなんかはハケでゴシゴシ洗いました。
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つぎは、組立編、最後にストラップ編、という予定でございます。

それにしても、もっと時計をやりたかった、、というGWです。
今日は、こんなところで。
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