Campanola cal. 6772 そに鳥CTR57-1102(カンパノラ概説)

ブログの主旨からずいぶんと逸脱しています。中古時計でも自作ストラップでもありません。GW特集ということで、私の大好きなカンパノラを紹介したいと思います。
 
今日の記事では、カンパノラの概説を。
 
【まくら;私のカワセミ
ともかく、私の所有しているグランドコンプリケーション「そに鳥(カワセミの意)」の生写真を(下手ですが、、)。私の腕時計たちのなかで唯一、中古でなく現行品の新品を購入したものです。
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カンパノラのロングセラーであるグランドコンプリケーションのタイプです。クォーツながら、4つの複雑機構を備えており、他社がマネできないムーブメントです。カンパノラ自慢の漆塗りの文字盤はとっても美しいです。特に「そに鳥」(緑)は別格です。詳細は次回以降のカンパノラ記事で。
 
 
【コンセプト】
シチズンが、2000年に高級レーベルとして立ち上げたもので、大量生産のクォーツ時計とは一線を画したラグジュアリーなクォーツ時計を提供しようというものです。
ブランド名は、イタリアのカンパーニャ地方、Nolaという村で、歴史上初めて時間を告げる鐘が鳴らされたという伝説から来ています。ベルのマークが全ての時計の文字盤やリューズ、バックルに見られます。時間の正確さを示すという意味で、鐘のマークは、グランドセイコーのマークの候補に挙がったという話も聞きます。
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「神は細部に宿る」と謳っているように、ケース、ダイアル、針など、各部品には随所に手をかけたという気概が感じられます(漆塗りやケースのデュラテクト加工も)。さらに、シチズンの中でも一流の時計師が手作業で組みつけを行うというのがすごいところ。
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高級時計は得てして本数が少ないです。手作りですから。カンパノラも、各種、生産数は少なく、時計にはシリアルナンバーが大きく刻まれています。
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更に数が限定されたブティック限定モデルなんかもありました。ただ、それで一般的に中古腕時計として価値が上がってくるかというと、需要も多くないので、値上がりは望めませんが。その辺の家電量販店やちょっとした時計屋には置かず、百貨店や一部のデカイ時計屋にしか入れないというのもプライドを感じます。
ざっくばらんなコンセプトとしては、既存のムーブメントに、外装で付加価値を付けて、高級時計にしちゃおう、ということですか(後に専用ムーブメントを開発)。
また、高級時計として認識してほしいけど、機械式のムーブを乗せるつもりは無いので、高級時計イコール機械式という定説がある以上、時計ファンから相手にされず、時計雑誌に載ることは稀。クォーツでもすごいんだよ、ということをみんなにわかってほしいというのがカンパノラファンとして思うところです。
 
【デザイン】
個性派です。「退屈な一秒からの解放」というフレーズがありました。緻密に作られた文字盤を美しい針が動いているさまは、確かに見とれてしまうし、美しく高級感があるというだけでなく、個性的です。スーツを着て仕事をする人にはチョット、というデザインのものもあります。ただ、人とは違う個性派を気取るにはぴったりです。
「ステータスを遊ぶ」とシチズンは言います。人と違って存在感のある時計だけども、ギラギラ目立とうとかカッコイイだけではなく、最新のテクノロジーも注いだ正確で真面目な時計なんです(クォーツだから正確ですよ)、といった解釈でしょうか。ただ、カンパノラを着用することは、周りの時計好きから「ステータス」と感じられるかどうかは疑問です。いや、私は大好きなんですが。
2000年から今までデザインが一貫しているとは言えませんが、高級感のあるデカ厚時計、というのは変わっていないですね。ただ、全体を見ると、どういう路線で行くべきか曖昧だなぁという指摘もありそう。デザイナーも時々変わるんでしょうから、当たり前かもしれませんが。
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最初のモデルでは、派手でゴチャっとしたパーペチュアルカレンダーもあれば、カンパノラとは思えないシンプルで控えめなものがありました。ギョーシェ模様が綺麗なクラシカルな文字盤があると思えば、漆塗りの日本の美にこだわりまくった時期もあり、そして、近未来的な(アテッサ風の)デザインまで出てきたように思います。
が、やはり日本の美を意識したものが多く、人気も高いようです。そのため、そに鳥だけでなく、日本風のペットネームをつけるというのが定着しました。深緋(こきあけ)、紺瑠璃(こんるり)、塵地螺鈿(ちりじらでん!)、宙叢雲(そらのむらくも;よめねぇって)などなど。
 
「中空の美」というフレーズが文字盤に広がる奥行きを表現しています。成形の難しい、サファイアガラスをドーム型にした風防(デュアル球面サファイア)は素晴らしく立体感を与えるし、見返し部分や文字盤、多数の針が重なり合う様はまさに中空の美ですね。
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デッカイ時計だから立体感が出せるのわかりますが、なかなかすごいです。この風防は横から見ても歪むことなく文字盤を楽しめます。ただ、緻密な文字盤故に、相当目を凝らさないと見えないという時計もあります。コスモサインの文字盤に描かれる星空はルーペで見ないと見えません。付属するらしいですよルーペが。
 
【ムーブメント】
既存の面白いムーブにいい服を着せて変身させようということですから、コンプリケーションやパーペチュアルカレンダーなど、シチズンの自慢のムーブメントがいろいろ出てきます。
ただ、こうしたムーブメントはカンパノラ以外の自社製品だけでなく、ファッションブランドなどに供給されていて、「ステータス」を味わえないというオチ。
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少なくとも、自社では、カンパノラと同じムーブをあまり使わないようにする流れはあったのかもしれません。例えば、ザシチズン用の年差ムーブはカンパノラに乗らなくなったし、コンプリケーションのムーブはエクシードやプロマスターにはもう乗っていません。住み分けなのか、単にどんどんエコドライブにしていくとう流れから来ているのか。
そうはいっても、シチズン最高ブランドなのに、多くのモデルは月差20秒というシチズンの並みの製品と同じというのは少々寂しい。まぁ、カンパノラの場合、精度じゃなくて面白い複雑機構がウリなんですけど。
一方で、最近はカンパノラ用のエコドライブムーブメントが乗ってきて特別感が上がっています(オフィシャルページでは、ややもするとどれも特注ムーブなのかな、と勘違いするかも)。特に、去年、エコドライブでのコンプリケーションが初めて搭載されたのは、一つの到達点かもしれません。
 
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★カンパノラ ムーブメント一覧★
詳細は今後の記事にて(もっといろいろわかったら更新しよう)
 
033* 年差±10秒 レディース 
439* コスモサイン 4398丸型
B510 エコドライブデュオ
A660 年差±5秒 パーペチュアルカレンダー(デイトのみ) (ザシチズンと同じ)
677* グランドコンプリケーション6771(大型)、6772(小型)
670*  パーペチュアルカレンダー(タイムマシン)6704 
676*  ミニッツリピーター6762(通常時分針)6765(レギュレーター)
776* デュアルタイム 7764
8730 (専用ムーブ) エコドライブ(フレキシブルソーラーセル)
980* (専用ムーブ)9800エコドライブクロノグラフ
G910 (専用ムーブ)エコドライブコンプリケーション
 
 
【価格】
クォーツにしちゃあ高い?いや、この仕上がりなら安いでしょう。コストパフォーマンスが良いと思います。いくら手作りだ漆だと言っても25万くらいから60万くらいで売ってくれます。(限定なんかを入れれば100万くらいのものもありますが)。これがカンパノラのいいところ。なにしろ月差クォーツですから(例外あり)。
同じような価格で(クォーツの)ザシチズンを買うなら、いっそ、カンパノラを検討してはどうでしょう。
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補償期間は、最近は3年が普通。電池切れが2年だから、一度はタダで交換してもらえるし。補償期間が終わっても、メンテ代が機械式に比べてお安いです。私の場合、中古で調子の悪いカンパノラを2万弱でOHしてくれました。
 
 
【プロモーション】
なんだか宣伝が控えめですな。知っている人だけでいいのよ、ということでしょうかね。地味で潔いです。
シチズンとしては、カンパノラは、あくまで関連ブランドであり、いい意味で別モノである認識をしてほしいのです。セイコークレドールやガランテを、セイコーHPの製品一覧のトップに入れているのに対し、シチズンHPでは、欄外に控えめにバナーが。新商品が出れば、シチズンオフィシャルページ、トピックス(製品と技術)で紹介されます。
カンパノラ発売当初はCITIZENロゴ&ベルのマークだったのに、途中からCITIZENのロゴは消えてCampanolaロゴに。CITIZENロゴがあると、安価な「市民」向けクォーツであるというイメージが先行してしまうので。
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一方、カンパノラオフィシャルページも、派手な宣伝は一切なし。新しいモデルが出ても、What’sNewにひっそりと出て、製品一覧に普通に出るだけ。What’sNewは新商品発売以外ではほとんどアップデートされないし。最近、スペシャルムービーというのが出たのは進歩!
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問題は、製品一覧の写真が、「中空の美」があまり伝わらないということ、、、トホホ。映り込みが激しくて普通に撮影すると文字盤が良く見えないというのがあるんでしょうが。本当のカンパノラの雰囲気を知るには、百貨店で現物を見るか、竹屋時計店のHPに行きましょう。
昔はバーゼルに出品するときの顔だったみたいですが、あまりウケなかったのか、最近は「カンパノラのバーゼルモデル」です、なんて言葉もあまり聞かない。
 
【購入方法】
カンパノラを欲しいと思った人の声は、以下のようなものかと推測します。
・時計オタクではない
・高級時計が欲しい
・クォーツに慣れている(機械式はメンテが面倒で精度が不満;ていうか高級機械式は高い)。
・なんてったって国産が好き
グランドセイコー(クォーツ)はちょっと地味でイヤ。
・個性的なのがほしい。
・あんまり高いのは買えません。。。
この、最後のやつがポイントで、どっちかと言えば、庶民的な人が購買層ではないでしょうか?(中には、色々高級時計を持ってるけど、シャレで。という人もいる?)
でも、
ビタ一文まけねぇぞ、高級時計だかんネ。
というスタンスですから難しいです。
ひとつの抜け道がアウトレット‘でした’。
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昔は、色々な人のブログで、アウトレットでカンパノラをメッケタ。という報告がありました。シチズンアウトレットは全国に結構あり、各店のオフィシャルブログがあり「カンパノラが入りましたー」みたいな記事も見かけましたが、どの店舗も有る時期を境に更新が滞り、いつのまにかブログもなくなってしまいました(会社の方針?)。当時は、新しいアウトレット店舗がオープンするときの目玉的な意味でカンパノラが投入されていたようですが、不景気のせいかカンパノラのプライドを保つためか?ほとんどの店でカンパノラはなくなってしまいました。アウトレットにあるかも、と聞きつけたカンパノラファンがおそらくシチズンアウトレットに電話をかけまくったと思われます(私も電話しました)。店員も、予約なんか取れるモノじゃありませんから、気長に待ってもらうしかないです、と言う他ありません。私は、嚊左衛門の付き添いで、あちこちのアウトレットに行ってはシチズンを覗きましたがほとんどなかったです。残っているのは、人気のないヤツなんですよ。デュアルタイムや懐中のミニッツリピーターは電話を含め、確認できました。人気のコンプリケーションや、新し目のエコドライブは皆無です。でも、しょっちゅう見ていれば掘り出しものがあるかもしれませんね。
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昔、一度だけ、「星宿(ほしのやどり)」を木更津のアウトレットで目撃しました。レギュレーターはやっぱし見にくいけど、デザインも超個性的でかっこよかったなー。資金の問題とサイズから断念しましたが。
 
次に、中古を(ヤフー)オークションで買うという選択肢。これは難しいです。まあ、ニセモノは無いですけど、100%ないでしょう。ただ、中古でいいや、と思っても業者が出品するものであれば確実に儲けがでるようになっていますので、お得感はありません。高額スタートや1円スタートで最落設定またはドタキャン。これならオークションでなく、大きい中古ショップで現物を見て買うほうがいいです。ごくマレに、個人が安価なスタートで始めますが、いつもそれなりの値段になっています。何しろ持ってる人も出品する人も少ないので。
残された手段は、百貨店の割引(株主優待券やギフトカード)だと思います。私はコレでした。対して安くなりませんが、45万が42万くらいになるかもしれません。
40万出すならエントリークラスの機械式を買うわい、と思ってしまう人もいますよね。でも、いい時計です。
 
 
やたらに長くなってしまい、すみません。
 
 
次回以降のカンパノラコーナーは、キャリバー別に紹介していこうと思います。
 
今日はこんなところで。
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おやすみなさい。今日は、残念ながら、お月さんはいませんね。