SEIKO chariot 2220-0480 (その2:ヘリ返し仕立て試作品)

こんにちは。
昨日のつづき、セイコー・シャリオ2220-0480です。
シンプルで大人な男のドレスウォッチを、春らしくカジュアルダウンするべく、明るい色で制作しました。

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とはいえ、ヘリ返しの練習台です。
詳しい方法を勉強しようにも情報が少ないため、なんとなくやったので、あれこれと、ほころびがでました。むずかしいです。

ワニ:シャイニーなクロコ、エメラルドグリーンの竹斑
剣先側:10cm
尾錠側:7.5cm
幅:19-17mm
厚さ:4.5mm-3mm
ステッチ:8番手ビニモ、生成り

尾錠幅ですが、17mmというのはアクシデンタルなものです。こんな尾錠幅は有りません、ふつうは。
厚さもイメージより厚くなってしまいました、、。


ともかく、モノハタメシでやってみたので、恥ずかしの制作シーンを。裏革(黒)と芯材(青)を切り出します。
芯材は、裏革よりも、両端を0.5mmずつ狭くなるように整えました。(これが中途半端でした)
芯材には、これの上にさらに0.5mmほどの薄っぺらい革を両端2mmくらい内部になるように重ねました。
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表のクロコ革の斑の模様を決めます。今回、ちょうどよいちょっとい小さめの竹斑の部分を使いました。このエリア選択は正解。
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すこし、大き目に切りまして、両端を漉きます。ここがかなりキモですが、失敗して穴が開いてますね、、、。それにノリシロの両端が長すぎ。あとで切ったわけですが、もっと計画的にやるべきでした。
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クロコの表側(銀面)ももちろん漉いているんですが、表側から漉いた時のほうが失敗が多かったかも。表は最後にサンドペーパーで(接着用に)荒らすくらいでいいのかも。
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エイヤと芯材を巻き込みます。なるべくピッチリやらないと、あとで困ります。
実際、困りました。
もちろん、バネ棒が通るところは補強材(グレー)を張ってあります。
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径1.5mmのピアノ線をぴっちりまきこんで接着!
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お、おい!よく考えると、巻き込むタイミングが逆でしょう↑
バネ棒部分を巻き込んでから、両脇のヘリ返しをやらないといけないですよ、。、。
結局両側をはがしてやり直しました。
なんですが、漉いた時に穴が開いているので、ヘリ返し部分(ノリシロ部分)の面積が狭く、ヘリ返しがかなり困難です。完成後、そのほころびがよく見られます。

ともかく、裏革の準備
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脇を漉きます。とにかく、ココはめいっぱい漉かないと、ひどくかっこ悪くなります。とちゅうで毛羽立ってきてスキにくくなるので、ときどきトコノールで固めたりして、やってみます。
これでもかとがんばりましたが、そのおかげで多少、ハジッコが薄くなりすぎて切っちゃいました。
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なんとかペッタリと張り付けました。接合面がそんなに出っ張っていないので、裏革の漉きは、まあまあの出来、とします。
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ハショっていますが、サル革(定革と遊革)はいつも通り作りました。
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ステッチなしのほうが、昔のセイコーの高級機についている黒のワニ革っぽいのですが、ヘリ返し面積が少ないのと、剣先のヘリ返しが非常にアブナイので、耐久性の問題から、ステッチは入れます。

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8番手のビニモ。
小穴をあけて、一応、完成
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表から見れば、なんとか、なんとか、いいんですが、、。
(小穴が汚いですが気力がなくてこのままでした)
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ココ↓剣先。ココが今回の恥部のひとつ。すでに左にひんまがっているのがおわかりか。
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裏面に行きましょう。
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恥部その1。
時計側バネ棒付近。ヘリ返し面積が足りないのと、バネ棒部分マキコミの順序を間違えてやりなおしたため、ひどいことに。しかも、よりによってこの部分、裏革を漉きすぎて微妙に欠けているのでした。
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裏から見て、それほど、ステッチは乱れていません。
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恥部その2。最大の反省点。剣先のヘリ返しはとっても技術がいるのです。
えーと、菊寄せっていうヤツです。くしゅくしゅっとうまいこと細かく丸く巻き込むんですが、予想以上の大失敗。練習してからやんなきゃねぇ。
それに、漉きが足りなくて固い上に分厚い、という菊寄せをやるには条件がよけい悪かったです。強引にでっぱりを削って強引に張り付けて押さえ込んでいるのです。
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恥部その3。これはすぐには分かりませんが、予想以上に横幅が広くなってしまいました。
芯材は両脇0.5mmを減らしたのですが、ワニの漉き不足とノリが多すぎたのといろいろあったのでしょう。
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カン幅と、尾錠幅はむりくり帳尻を合わせたんですが、剣先側全体が、予定の16mmを微妙に超えているのです。
その場合、16mm幅の尾錠をくぐらず、装着もままならないというわけです。
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たまにこうしたピンチはおとずれますが、ヘリ返しの場合、両側のコバを削るという裏ワザが使えないのです。もちろん。

しかたないので、尾錠を広げてやりました。なんと荒療治。
バネ棒は17mmというやつが手持ちであったので。
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なんとか、剣先が尾錠を通過できまして、非常に泥縄式ですが、完成にこぎつけたわけです。
尾錠側の革は16mmなので、すこし余ります。
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時計の厚さが風防をいれても6.5mm程度なので、それにしては分厚すぎます。芯材は一枚で良かったなぁ、、。
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ほかにも微妙に剣先側がゆがんでいる、ノリが新しいものを使って、慣れずに盛りすぎたため、接着面からはみ出したノリが見苦しい、など、恥部を探すときりがありませんが、次への糧になりました。

コバの処理が無い分、事前の漉き漉き大会が非常にヘビーになります。
せめてマットな革のほうがやりやすいのかな、と思いました。
あと、菊寄せ、ね。まあ一朝一夕には無理ですが。
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♪シャーーリオーー!セイッコー!シャリオーーー♪
なんていう、当時のイカしたジャジーな、シャリオのCM(?と思われます)が、現在、ようつべで聞くことができます。

今日は、こんなところで。
お付き合いくださり、ありがとうございました。