SEIKO chariot 2220-0480 (その1:ドレスウォッチでシャリオマンになろう)

ようやく花粉が終わって、梅雨までの貴重ないい気候の時期ですね。今日は春らしいドレスウォッチを。
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セイコーシャリオ 2220-0480
cal.2220A
手巻き
28800/時(8振動)
1970年頃~(この個体は197512月)

世界初のクォーツ、アストロンが発売されたのが1969年。それから安価なクォーツが万人の腕を占めるまであまり時間はかからなったようですが、70年代初期には、まだ機械式がいっぱいあったんですね。
初期のクォーツが200,000円程度(SSガワ)だったのに対し、このシャリオは23,000円です。一般にはいまだ機械式が求めやすい価格であり、また、GSやロードマーベルなどの多くのセイコーの高級時計は機械式でした。
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この、シャリオChariotは、高級な範疇ではないのかもしれませんが、大人の男のドレスウォッチですから、それなりの品格があります。

私が入手した文字盤は、ローマンですが、アラビアやバーもあります。文字盤はプリントのようですが、つやがあり、高級感を感じさせます。リーフ型の針もドレスウォッチらしさを際立たせています。
ローマ数字にSEIKOと亀戸マークのみ。

こういった時計には、黒や茶のシンプルなワニ革を合わせたほうがドレスウォッチらしくなるんでしょうが
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春ですので、明るい色で。エメラルドグリーンのシャイニークロコを着せています。
多くの失敗がありますが、初のヘリ返し仕立ての試作品です。
時計の径が31mm程度ですから、ひょっとすると、「こいつ、レディースの時計を付けていやがる」と思われる恐れがあります。(ま、ほとんどの人は時計など興味ないので、心配無用です)。

今日は、分解(組立省略)編です。
Cal.2220Aは非常にシンプルな2針の手巻きですが、ベースとなったのはレディースの2202Aです(コーラス)。分解組立がしやすく、部品数も減らしてあるのが特長です。それでも、ハイビート(8振動)で、かつ、軽量のアンクルなんかも備わっている、なかなかのムーブメントです。シャリオ以外にも薄型の高級時計に使われたんでしょうか。まだクレドールなんてなかったのかな。
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先日のスポーツマチックの失敗が尾を引いていたので、なるべくシンプルなやつを選びました。人間、成功体験から遠ざかりストレスを加え続けられると病気になります。「セイコー体験」を求めて、あえて、コイツのOHを選びました。

OH済というヤツを入手したので、それなりに内部もきれいなんでしょう。片振りと、日差20秒近くの遅れがあったし、いちおう、自分でやり直そうということにしました。
 
小さいスナップバックの裏蓋で、ムーブがレディースっぽいことがすぐわかります。
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キカイもきれいです。さすが、OH済み
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文字盤がきれいなので、慎重に。
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針はかなり固くしっかり入っています。
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針もきれい!
 
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画面に映っていませんが、横についている干支足を止めているネジを緩めてもなかなか文字盤が取れませんでした。しっかりはまっています。

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ユニバーサルでレディースも行けるムーブ台、買って正解でした。便利。

ネジを外していたら、くっついてきたので心配になって見てみるとすこし針が動きます。
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ケースも。
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おやおやOH済のシャリオ君、と思ったら、なぜかコジアケがものすごい帯磁していました。。。。あけたときに感染したようです。私です犯人は。一応、この時点で消磁しました。

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テンプを外して。シンプルなので、輪列も香箱も1枚の受けです。
ちょっとだけ雲がかかりましたが(いちいち繊細ですな)
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どの歯車もばっちり、立つので、組み立てのときも難なく完了しました。
角穴車にはネジなしです。
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軽量化されているアンクル
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二番車を除き、全部はずしまして
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裏面へ
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こちらもシンプルです。これは、左下の耐震装置を外した場面。
 カンヌキ押さえが巨大に見えます。
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こっち側は飛ぶ心配のあるのはカンヌキバネピンだけですね。
 
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部品入れ(薬入れ@百均)の半分ちょっとでおしまい。シンプルですね。

万事オーケーの成功体験かというと、問題が。

香箱があきません。一生懸命あけようとしたら、蓋の中心が盛り上がってしまいました、、。
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コリャ、アキマヘン。この写真ではわからないかもしれませんね。アガキに影響が出るかと思いましたが、香箱真と比較する限り、なんとか大丈夫そう、、?
蓋の上下を勘違いしているか、と思いましたが、そうではないようです。

cal2202は、香箱を開ける必要がない、セルフグリーシングゼンマイなので注油も不要ですよ、なんて書いてあるみたいですが、うーん。実は以前も、この手のヤツで苦労しまして、また泥沼にはまりたくないので、今回は臭いものにふたをしたまま進みます。

この敵前逃亡は、成功と言えるのかはさておき、他は問題ありません。

組み立て写真は割愛ですが、いちおう、ダイヤフィックス、ダイヤショックを全部外して、ちゃんと洗いまして、注油しました。分解前は、巻き芯周りにほとんどグリスが無いようなので、しっかり塗りまして、完成。
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コジアケを入れる位置にはミゾがあり、フタにもこの位置にのみ溝があるので、間違えずにここに合わせます。気を付けないと、次あけるとき苦労しますね。
 
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スポーツマチックでは、コマを間違えてしまいました(アホですが)
裏蓋は平らなやつで。

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風防は、金属のフチの立ってるやつで、ベゼルにあったものを選択。
 
片振りは、ヒゲモチを少し調節したらなんとかすこしマシになったのでとりあえずOK。歩度は+10秒。どうせ2針で秒目盛もないですし。

ただし、振り角がいまいちで、200行かないくらい。実は分解前も同じような値。さっきの香箱は関係ないと思うけど、、。うーん。テンプまわりが問題なんでしょうか、、?
とりあえず、今回はパスで、、。と、いつも以上に、いいかげんなOHになってきています。何のためのOHなのか。
自分のためですからね。
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ヤッター。ヤッター。とにかく失敗しないで(逃げたものは多いですが)終わったのですよ。ということで踊りましょう。
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シャリオは70年代に「男のドレスウォッチ」として、クォーツになっても色々な種類が売り出されたようです。 
当時のミュージシャンのアルバム紹介とコラボした広告が何枚もあるようです。

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私も、音楽好きのおしゃれな‘シャリオマン’を目指しましょうか。

シャリオは、あまり古くないのでアンティークの部類でないし、径が小さいのであまり人気がないようです。
 
私は、ローマ数字は何時だかわからないので、あまり好きでなかったのですが、シンプルさにひかれて手に入れました。
装着してみると、視認性は思ったよりいいんです。ローマ数字はただのバーだと考えればいいわけで(?)、黒のルーフ針と黒のインデックス、そして白い文字盤がすごくいい。
 
ストラップ、OHの内容よりも雑で、目に見えて不成功感がありますが、一応、次回ご紹介します。
今日はこんなところで。