Fine Seiko プラチナ 1520B (女持ちはシンプルでいい)

本日は、レディースの紹介です。古い時計屋さんは、「女持ち(おんなもち、めもち)」と言います。角型のシンプルな2針です。
正月に、時計趣味を始めたことを祖母に話すと、あたしゃ時計をしないし、いらないから。と。古いタンスから出てきました。素敵な時計。
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Fine Seikoファインセイコー
1520B
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プラチナ無垢(それなりに高級品だったはずです)
手巻き
1967年製(なはず)
19800回/時 (5.5振動)
ピンクのリザードを着せて
 
せっかくのいい時計なので、OHしてストラップをつけて、ウチの嚊にプレゼントしようと。
まず、分解編です。アンクルに苦労しましたが、大きなトラブルはりませんでした。
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ただ、小さなムーブメントをのせる台がなかったので、なんども落ちそうになり、ストレスを感じ、この作業のあと、小さいムーブが乗る台も購入しました。
2針でシンプルです。文字盤はまあまあ綺麗です。ガワの裏はけっこう汚れていましたので、洗浄後、金磨きでよく磨きました。無垢といっても、ぎっしり詰まっているわけではないので、重みを感じたりはしません(笑)
風防のキズをサンエーパールでがんばりました。
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小さいので、無駄なくパーツが並んでいます。テンプをはずしたところですが、アンクルに驚きました。アンクル腕の一方の側にクワガタがあるタイプは女持ちだと普通なんでしょうか。
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実は、まったく気づかなかったのですが、受けをはずしたとき、ホゾを折ってしまったようなのです。もともと折れていたのかな、と思うくらいでしたが。今見えている上側のホゾがないため、組み立てのとき、いくらやってもザラ回しができませんでした。
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コハゼのピンを慎重になくさないように。
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ラピュタのロボット兵の目玉も石をなくさないのでやりやすいです。
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ぎっしりならんだ二~四番車
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香箱芯の受けが少し汚れています。香箱はきれいだったので注油のみでした。
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裏側もシンプルで安心。
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部品が少なく、飛翔するバネも少ないので、ムーブが小さいことを除けばやりやすかったな、という印象でした。
アンクルをゲットするため、オクでプラチナではないジャンクを探したらあっさり安価で手に入ったので、そいつを組み込んで、本体は完了!精度もけっこう出ていました。

「綺麗だしプラチナの高級品だぜ」と喜んで、嚊左衛門に報告し、レザーストラップの御用聞きをしようとしたら、「ソーラー電波じゃないんだー。毎回手で巻くなんてかったるいわねぇ」と。
この巣晴らしいプラチナ無垢のファイン嬢は相手にされず、女持ちがオーナー待ちとなりました。結局、自分の母親が「もらってくれる」という流れで落ち着きました。
 
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気を取り直して、ストラップです。今回は、もともとついていた背ワニ極細ストラップはすっかりお疲れです。
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新オーナーに年寄り好みの渋い色を指定されまして、なかなかクロコの材料が手に入りませんでした。薄いパステルカラーのピンクです。
リングマークリザードでいい色を見つけたのですが、安価な古いハギレだったので、イマイチでした。硬くて油分が抜けていて、一応クリームでケアしましたが、、。また、リングマークの部分を避けたので、ウロコが硬い部分を一部含んでしまいました。
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尾錠側7cm
剣先側10.5 cm
幅10mm-7mm
厚さ2mm(フラット)
ステッチなし 
  
 
本体は素敵な彫り模様のサイドビューですが、茶色の顔料で仕上げたコバはすこしガタついています。ウロコの凸凹が大きく、横から見ると目立ちます。ヘリ返しでないので。
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プラチナのファイン嬢に適当な尾錠はつけられないと、どうしてもセイコー純正尾錠にこだわりたくて、新品をゲットしたのですが、ツク棒がなかったので、結局汚い棒になってしまい、残念。
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これまでいくつか女持ちのストラップをつくりましたが、それに比べてもきわめて細いことと、革が硬いことから、ステッチは断念しました。
それならば本当は、へり返しにするべきだったのですが、まだまだ技術不足で、この細いストラップでは不可能と考え、いつもどおりの切り身で作製。
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小穴を開けたとき、硬い鱗の部分がひび割れてしまいました。一番右の穴です。ナナメに線が、、。もっと気をつけて開けるべきでしたが、そもそも、やはり、もうすこし良い革を入手すべきでした。
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それでも、全体としては、アンティークな雰囲気が良く出ていて、細いストラップにはリザードの細かい鱗のほうがむしろしっくりくるんじゃないかと思った次第です。
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めでたく、私を介して、母から子へのプレゼントと相成りました。
(私の自己満足に祖母と母が付き合った、というのが本当のところですが)
 
では、今日はこんなところで。