SEIKO 6309-7049 サードダイバー150m(その1:北米から帰国したサード、分解編)

涼しい日が続いていたので、今日はずいぶん暑く感じました。まだまだ残暑が厳しいと思うので、ダイバーをご紹介します。
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150m サードダイバー
1976~(この個体は1984年)
Cal.6309
17石
自動巻き
6振動
クロコダイル・サボイアS-21(フォルゴーレ号)に乗り込んで



今日からは、セイコーダイバーの傑作、サードダイバーの紹介です。
Cラインのフトッチョな食いすぎな豚のようで愛らしいデザインです。12時インデックスが、刀に似ていることからSwordデザインと呼ばれ、海外でも人気があります。私には、アブのように見えますが。
ヤフオクでもeBayでもしょっちゅう出品される人気がある時計です。が、人気ゆえに、文字盤ニセモノ、書き換え、ガッチャ、などが横行しているようです。
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サードダイバーと言えば、Cal.6306が原点で、国内で生産されていました。文字盤「150m」の下に諏訪マークがあり、国内仕様ですから、曜日も日本語で、ハック機能もあります。1976年から4年間しか作られなかったようで、数が少ないです。
いっぽうのCal.6309は、簡略化された17石のキャリバーで、輸出向け。おなじく76年から作られていましたが、80年以降はシンガポールで組み立てが行われ、1984年まで生産されたそうです。私の個体は、最後の年ということになります。(ということは、6309でも79年製までは、諏訪マークがあるのかな。。。?)

海外向け6309には、ガワ番号6309-7040(全世界向け)、6309-7049(北米向け)があり違いが良くわかりません。
ただし、6時位置一番下の文字に数種類あるようです。
私の個体は、北米向けの6309-7049で、実際eBayで、あちらの大陸から手に入れました。6時位置にズラーっと書いてあります。諏訪マークも入ってます。
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6309-704X T (諏訪)MOVT AND DIAL JAPAN CASED HONGKONG

シンガポールで作られたが、基本的にムーブと文字盤は日本製で、香港で組み立てられたってことかな


また、6309は、Cラインのふとっちょタイプではなく、ふつうの横幅のダイバーも存在しますが、それは、サードらしからぬ、というイメージです。文字盤も違います。6309-7290などです。
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ところで、現行のセイコーシチズンの時計を見るとわかりますが、型番(Ref)の番号はキャリバーと全く関係無いように見えます。セイコーダイバーで言えば、ちょうど、サードあたりから、そういう流れになったようです。

ファーストダイバーCal,6217の型番は62MAS-010、
プロフェッショナル300mCal.6159の型番は6159-01、
セカンドダイバー(植村など)Cal.6105の型番は61MC011、

などと型番に、キャリバーが入っていたのでわかりやすかったのですが。

どうやら、サードでは、
6306国内がYCS018
6309輸出仕様がDE095、DEB81-P
だったようです。

面白いのは、現在、これらの型番を検索してもヒットしてこないということ。
結局、当時の型番など後世に残らず、キャリバー番号で呼ばれてきたのですね。
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以下、セイコーダイバーと言えば、いつも、参考にさせてもらっているところです↓

『ちょい枯れオヤジ』の腕時計指南

「生臭い坊主の日々是精進( Part2))」タマパパさんのブログ







では、分解の様子です。なお、6306については、アクタスで一度やっています↓
それとほとんど同じです。


到着したときの様子です。ベゼルもガラス風防も痛々しいです。文字盤、針はオリジナルっぽい経年劣化が見られます。
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顔もそうですが、この、後姿が特徴的です。
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装飾は無いし、合理化されてるけども、しっかりとしたムーブメント、6309です
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ローターがもっとでっかいほうがいいんじゃないかーと、なんとなく思ってしまうのですが。

リューズの内側はサビとグリス?でベトベトな茶色です。
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文字盤周囲にも、なにやら油です。どこから来たのかよくわからないですが、パッキンとかのシリコンオイルなのか、日車とかか、、
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残念なことに、WATERのあたりから九時に向かって、ロディコでぬぐってもとれない油ヨゴレがありました(今度こそ、深追いはしませんでした)

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プラのスペーサーを噛んでいます。この状態だと、針の抜き差しなど、専用の台じゃないと作業しにくいです。
こいつらをはずして、バラします。
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ムーブメント台に乗せましょう。
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自動巻き機構の裏側です。やっぱりこのあたりはかなり汚れています。
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テンプを外したところ
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アクタス6306↓(国内向けサードダイバーと同じ)と比較すると、輪列のルビーが少ないのがわかります。でも、基本的には同じムーブメントです。
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そういえば、このムーブメントは、輪列の歯車に、番号と同じ数だけ穴が開いているんでした。中央の四番車は、四個の穴。
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表はこんなかんじでバラ終わりました。二番車だけ残っています。香箱の受けのあたりのキズが激しいです。
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裏面へ。曜車は英語とスペイン語です。
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曜日車を外したらば
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さーっと、ばらして

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部品数は多くないのですが、早送りや言語切替など、ユーザーにとって操作のしやすいムーブメントです。樹脂パーツも数個だけです。

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これでだいたいオシマイ。ゼンマイもほどいて洗浄しました。
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この後、部品を洗浄します。
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ボロボロだった外装も分解していきます。
まずは、普通のコジアケで、回転ベゼルを外します。
おーー汚い。
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このあと、ホロテックのキカイでガラスをかぶせているインナーベゼルを外します。
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このように浮き上がったら、
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あとはまた、コジアケで外周をぐるっと外します。
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取れました。こいつをゆがませてしまうと防水性に影響が出るので、四つ爪ホロテックでやっています。あとは、ガラス風防もスポッと取れます。


下の写真だと、秒マーカーのリングがありませんが、秒マーカーのリングの上に、L字パッキング、ガラス風防、インナーベゼル、回転ベゼルの順に重なっています。
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(この写真は洗浄後だったかな)


次回、組立編に続きます。

今日は、こんなところで。
読んでくれてありがとうございました。

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