SEIKO Sportsmatic 5 6619(楽しくも悲しいジャンクいじり;その2)

ジャンクいじりの醍醐味というか宿命というか、色々楽しい経験をしましたのでご報告です(その2)。
ところで、ジャンクの復活劇は、(私としては)以下のようなことが重なると喜びが増します。
(1)入手時ボロボロ(2)安く手に入った(3)復活に必要なパーツが、まとめ買いしたパーツやガラ箱から偶然見つかる
今回はこうした要素が多かった気がします。

昨日のセイコースポーツマチック5の続きです。
各部品は、ベンジン・超音波洗浄をしました。
汚れがひどいものが多かったので、刷毛洗いも。

●一通り組み付け編●

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ダイヤショック、ダイヤフィックスは石を外して、よく洗い、メービス9010を注油。
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二番車のホゾには9020を。
香箱芯のホゾや肩にD5を。
四番車は二番車の中を通って秒針が付きます。9010を根元の座金とでっぱりの部分へ
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ざら回しをして。
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テンプ、角穴車を。
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裏へ行きます。巻き芯周りを組みます。セイコーS6グリースを地板の接触面に注油。
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手巻きが無いのでそんなに複雑ではないです。日の裏車のピンに9010
右下の日車送り車にも。
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中央右上が曜車送りレバー。曜車と接触するところに9010を。

プッシュして日車送りができるかチェック。
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下方の長いレバーがプッシュの力を貯めます。OKでした。

日車をのっけて
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受けに日車送りレバーのピンをのせます。
このあたりが少しイヤな作業。
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そういえば、この作業マット。とても快適。何度かパーツを落としたけども、神隠しは起こりませんでした。

日送り、曜送り、問題ないので、針の座金をのせて、文字盤をかぶせます。
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日付が変わる付近で、針を入れて
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一応、完成
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●問題発生編●
まず、しょうもない凡ミスをしでかします。
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このジャンクは風防はまあまあきれいだったので、サンエーパールで仕上げたのですが、ベゼルではめ込むタイプだったのに、まちがったコマの選択をして、あっさりピキっと中央を割ってしまいました。


お、スポーツマチックのストックがあったじゃないか!しめしめ。
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そういえば、パワリザを確認するためにドライバーで角穴ネジをジャンジャン回すと、コハゼバネが外れてしまいました。
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左上の穴にひっかけているバネの曲げが悪いのかと思って、ガラ箱のスポーツマチックと比較したのですが、まったく同じように見えます。
自動巻きでの巻き上げくらいなら問題ないようなので、とりあえずヨシとします。

次です。動き出したので、放置して翌朝見ると、全然時間が進んでません。秒針は動いてます。
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これは、二番車のホゾと筒カナの摩擦が足りない、という症状だと聞きました。
筒車を外して、筒カナを外しました。
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このとき、あせっていて、いつもどおり、針抜き(写真奥)を使ったのですが、このせいで、二番車の内側をとおっている4番車の先端をつぶしてしまったような気がします。今考えるとなんて危険なことを。
筒カナをベンジンで洗浄し、二番車の筒カナと接触している9部分をロディコで良く磨きました。
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この状態で、ちゃんと分針が動くかチェックしよう。
よし、大丈夫。

いちおう、ガラ箱のスポーツマチック5のパーツを出して見ました。コイツは6619ではなく、ひとつ前の410というやつ。
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微妙に違うんだな、こりゃ。試しに筒カナをこいつに交換したら、もっとだめで、まったく動きません。
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まあ元のパーツでなんとかなるかな。今度こそちゃんとベゼルを押し込めるコマをつかって

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ストック風防をはめ込みます。右が割れたやつ。


さて、文字盤付近のホコリを落として、
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自動巻きを組みます。ピンや手の部分にD5を塗って、ベアリングには9010をさします。
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リューズのパッキンにシリコングリスをちょいとつけて、差し込もうと思ったら。
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あれ曲がってるじゃないの。
ストック箱からちょうどいいサイズを見つけたんだけど、パッキンのサイズが合わないので元のヤツを付け替えました。
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本体のガスケットは外したときポロポロに崩壊したので、汎用パッキン(フラットタイプ)を。ちょうどいいやつがありました。
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さらに問題発覚。
リューズにグリスを付けて、自動巻きをのっけて、機留めネジを締めたら、あれ、テンプが止まっている。秒針が動いていない、、、。
秒針が風防に接触しています。


なんと!風防が違うんじゃん!
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径はピッタリだったけど、高さが足りないのよ、、。しかし!
運よく本当に純正のものを見つけました(最初からよく探せ、と思います自分でも)
右端が割れたヤツです。
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いさんで、ベゼルをこじ開けで外してさっきの風防を取り出します。
このときなんだか感触が変だったんだよなぁ、、。

ヨッシャー完成!とこの風防を載せると、どうでしょう。
なぜかベゼルがスカスカ、、、。
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あれ、風防の外側の系が元のヤツと違うのか、?と思って、古いやつを入れてみてもスカスカ、、。
どうやら、もともとヨレヨレに疲れていたベゼルが、さっき外したときにイッてしまった模様。そうとうガワもベゼルも傷んでいましたから、、。ガラ箱のスポーツマチックはムーブだけだし。

ベゼルのためにあらたに落札するなんてやってらんねーってことで、ウンザリして、少し頭を冷やすためにも、このスポーツマチックはお蔵入り決定。
色々記録を書いて、ケースにしまって、タイムマシンの入り口に放り込んで置きます。

ストラップどころじゃなかったな、、。学刈。

期待を持たせて最後の最後につきおとされた気分ですね。
労力、時間と金をかけてデートしたのに、あとちょっとで振られてしまいました。
でも、これでもやめられないのが恋愛、いや古時計いじりですね。


●反省編●
もっと、落ち着いて、よく調査してから、そして分解前によく状態を把握してからやりましょうよ。
ずいぶんとそそっかしい性格なので、あまり向いてないのかなぁそもそも。
と、2,3日、落ち込みましたが、まあ気を取り直して。たかが趣味!

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色々勉強になりました。

お付き合いくださりありがとうございます。
今日はこんなところで。