今日は、セイコークォーツの名作「8F系」のご紹介です。
パーペチュアルカレンダー
8F56-0020
GMT針モデル
メンズサイズ
畏くも現行GSの9F系ムーブメントをバックに完成後の記念撮影
セイコーのファンの中で8F系のムーブというのは特別な存在です(のようです)
まず、当時は画期的であった、大の月、小の月、2月など、手動でカレンダーの調整が不要な、「パーペチュアルカレンダー」機能が付いています。
文字盤にも誇らしげにPERPETUAL CALENDARとあります。(今ではパペカレも珍しくなく、カタログの端っこや詳細仕様を見ないとわからないですが)。
一番のウリは、GS価格じゃないのに「年差」のクォーツである、ということです。ネットの意見を見ると、8F系をやたらに売ると、GSが売れなくなるからセイコーは販売をやめたんではないか、なんて言われるぐらいの名作ということです。
ただ、8F系は、ケースや文字盤など特殊なデザインが多く、実は、以前持っていた8F32もデザインがあまり気に入らず、手放してしまいました↓
調べてみると、いわゆる普通のセイコースタイルのような8F系もあったようです。
ですが、海外モデル含め、PERPETUAL CALENDARと言えば、この変な形のラグに非対称のサイクロプスレンズを持つモデルが典型的だろうと思い、敢えて、このタイプのものを選び、再び手に入れました。
今度は、GMT針・24時間ベゼル付です。文字盤もガラスも非常にきれいで大変満足しています。
手に入れたときは、電池切れ、ラグの部分のピンが欠品で、ベルトが使えない、という状況でした。普通のラグではありませんから、革ベルトもムリ。なんとか修理する必要がありました。ただ、それ以外は状態が非常に良く、ジャンクと言うのはもったいないぐらい。
●電池交換●
普通の電池より電圧の強いリチウム電池3Vです。普通の時計と違い、12時ぴったりにカレンダーを電機的にグイーンと送るため、パワーがいるのでしょう。10年電池ですので、パペカレの機能をフルに味わえるはずです。
交換したときには(まだ動いていれば別ですが)パーペチュアルカレンダーの設定をしなければなりません。これがちょっとだけ面倒です。
BR2412(絶縁シール付セイコー型番SB-T19)を購入しました。
用意するのは、普通のピンセットとプラスチックのピンセットです。
詳細は、色々な方が書かれていますので、省略します。(電池購入時にセイコーのマニュアルをつけてくれましたが、それよりよっぽどわかりやすいです)↓
ここでは上記のページを見て作業をしたうえで、2点だけポイントです。
・電池を外すときは、普通のピンセットでいいのでゆっくり丁寧に。普通の電池と違って巨大なので、勢いよくやってムーブを傷つけてしまう可能性が大きいです。
・ショートさせるときは、このようにふつうのピンセットを、底面の金色の端子と、電池のフチを一秒程度接触させればOKです。
ちょっと遅れてカレンダーがグイーンと動きます。数字を切り替えるときは、基本的に、一つ送るために、一回接触させる必要があるので、ちょっと面倒です(設定項目が変わるときは一気に動きますが)。
●ブレスの修理●
さて、無事にカレンダー設定が終わりましたので、もう一つの問題です。上の方の写真で載せたように、ラグとブレスを繋ぐピンが欠品しています。
このタイプは、普通のバネ棒のような取り外しを前提としていません。固定のピンは、圧入式のCリングです。
先日、シチズンのプロマスターでお話ししたものと基本的には同じ原理です。
ただし、プロマスターとは違い、穴の径は、どこか一か所だけ太くなっているというわけではなく、このように、中央の幅の狭いコマは径が小さく、外側のコマは、やや径が大きい、という状態です。
こういった、Cリングとピンを購入しました。
Cリングをつかった接続の穴は横から見るとこうなります。片方はピン先とCリングがかみ合った状態。Cが見えます(写真上方)。
逆に、今回修理下側の穴は、ピンの頭が見えます。ピンの頭はやや凹んでいます(写真下方)。
今回のこのタイプは、上の写真を見ればわかるように、ピンの先端はコマの端っこまで来ておらず、やや奥まったところに見えます。これはちょっとだけ面倒です。
このモデルのCリングによる、コマ接続のイメージ図を描いてみました↓
このように、コマが接続(固定)されます↓
作業としては、先に、ピンを差し込んで、
Cリングを1.2ミリの穴(反対側)から入れていって、
Cリング側を上にします。もちろん、Cリングは下からピンに押されて上に出てきます。
コイツをバイスではさんで、上から工具を使ってコンコンとやればピンと圧入されるのです。。。が、
上述のように、奥まったところにピンの頭があるので、
こうやって下から爪楊枝とか細いもので押し出してやらないと、ピンが動いていしまい、Cリングとカシメられません。
これでコンコンとやれば、Cリングがカシメられますので、一番奥まで押し込めば完成です。
●蛇足●
ただし、私の場合、、、
どうやら、ピンは全長17ミリの物が適合したようですが、訳あって、21ミリの物を買ってしまったので面倒でした。
全長はコマの長さと同じぐらいですが、ピン頭を押し込むとあきらかに長すぎ。
切りましたが、短すぎると大変なので、ちょっと躊躇して、長く、残しすぎました。なにしろ、正確な情報が無いので、本当に17ミリで良いのか、わかりませんので。
長すぎたので、このようにCリングとカシメた際に、切った先端が飛び出てきますが、まだcリングは押し込めるのです。あと1.5ミリぐらい切っておくべきでした。
(下に見える棒は爪楊枝のかわりでピンを押し出しているための道具です)
これ以上、Cリングをピンにかぶせて押し込もうとしても、普通のピン工具では無理ですので、ちょうど良いサイズのタガネでCリング部分だけをコンコンとやれば、Cリングがさらに奥まで入りました。(ピン先端とかみ合いながら)
最終的に、切りのこしすぎたピンの先端が1ミリ弱はみ出てしまいますが、それは、外側から削って対応しました。
それ以上奥まではもちろん削れないし、削る必要もないので、コマのはじっこまでピンの先端が来てしまっています。Cリングもやや奥の方にあるために見えません。
逆側(ピンの頭)は、もちろん、このように奥まったところにありますが。
少々ややこしい話でしたが、これで、無事にラグ部分のコマの接続ができました。
Cリングのピンはあまり道具屋でも扱っていないし、ちょっと古いモデルであれば、とくに海外モデルの時計は、どのモデルにどのピンが合うか、というのは、セイコーでも把握しかねるようで。
トラブルを避けるためということで、断る部品屋さんもあります。
今回は、はじめて利用したネットショップで、店主が丁寧に対応してくれました。
※素人にも親切な店はうれしいね。いつも利用する西の横綱の店も親切でイイですけど。
おかげで、おそらくセイコーに修理に出すより安い値段で復活し、楽しめました。ちょっと不恰好になったけど、まあ機能性に問題ない。
●ブレスの長さ調節●
ところで、この8F56-0020はメンズで、それなりのデカさ、そして、すごく重い。のですが、ブレスはこの純正を使わざるを得ない(ヤフオクなんか見ると、ラグのすぐ外に革ベルトを接続するモデルも存在するみたいだけど)。
なんとか、両側とも、一番細くしたらば、私の腕でも装着可能でした。
で、ブレスの調整のピンは、Cリングではなく、割ピン型でした。
装着するときは、抜いた時と逆に、割れたほうを上にして、押し込めばいい。
ということで完成しました!
もうひとつのハイテク・クォーツ、シチズンプロマスターと一緒に撮影しました。
あちらも、電波時計なので、狂わないけど、こっちの方が一枚上手ですかね。
電波に頼らず、コイツだけで正確な時を刻むのだから。曜日はありませんが、パペカレなのは同じだし。エコドライブ(ソーラー)じゃないけど、10年電池だし。
デザインも黒い文字盤にシンプルな針、赤のGMT針がアクセントになってるし。ベゼルがちょっとわかりにくいけどね。
この24時間針が、ちょっと見づらくて、視認性を低下させているけど、それはまぁしょうがないかな(ロレックスとかと比べるとチョっと)。
暗闇で見ると、とくにわけわからんですね。
慣れれば、大丈夫、、かな。
最近、クォーツに傾倒気味、というわけでもないのですが、
分解中でパーツ探し待ちの機械式がいくつもある状態で、新しい分解をためらっています。また、そのうち。
今日は、こんなところで。
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