SEIKO LORD MARVEL 36000 5740-8000 (根気のいるヴァッサン液)

ずいぶん前にOHした時計ですが、ブログの扉絵に使ったので、ご紹介を。
 
セイコー ロードマーベル36000
36000回/時(10振動)
手巻き
5740C10振動ハイビートが初めて搭載された)
19762月(製造1967年~)
茶色のクロコ・マットを着せて
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初回でご紹介したものの色違いです。こちらは完全不動のジャンクでした。
あちこちにかなりサビがきていました。
 
まずは、分解掃除です。
※まだ人様にお見せしようと考えていないころの写真が多いので、見苦しいです。組立て写真がないのもそのためです(単にくみ上げるとき忘れないように撮影しただけなので)
 
だいぶボロですが、雰囲気が合って素敵かな、と。
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巻き芯が抜けないので先に分解を始めたようです。
 
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ここで、なぜか香箱を外しています。
 
アンクルのホゾがサビて完全に使用不能でした。これは新品を購入。
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裏面です。リューズ周りが死んでいました。折れてはいないので、なんとかクレ556でサビを落として使えました。
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そして、機留ネジが一本折れて死んでいましたので、師匠に教わった、ベルジョンのヴァッサン液を入手しました。
BERGEON 4503 vissin
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組成はよくわかりませんが、硫酸か何かの強酸で酸化鉄をぶち壊そうというもののようです。
 
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始めは部品屋のおじさんに教わったようにちまちまやっていましたが、まったく歯が立たないので、説明書に書かれている通り、温めました。
 
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実にみっともない風景ですが液をケチり、被害を少なくするためにこのありさま。すき焼き用のホットプレートです。
きっともっといいやり方がありますが、今のところ道具がないので。
かりにも食品用のプレートなので、嚊の不在時にこっそりやるのですが、それでもずいぶん根気のいる仕事で、イライラソワソワします。ジワジワと折れネジ部分から泡が出てくるのですが。
プレートのスイッチを入れたり切ったり、結局1~2時間かかります。説明書に書いてある通り、a black substance exudes from...黒い大きめのカスがシュワッと出てきて終了です。
 
ボケていて分かりにくいですが、これが処理後。
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じつは、最近、ストックの部品取り用にジャンクの5740をゲットしたのですが、こいつも、両側の機留ネジが死んでいました。
いちおう、溶かしておこう、と久々に取り組んだのです↓
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これがなかなかしぶとくて、ご覧のように代償は大きかったです。まあ地板が変色してても使用には問題ないでしょうけどねぇ、、、。
処理後。下図の12時、6時位置が機留の穴です。
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ということで、本題に戻りますが、新品の風防とアンクルがもたらされ、無事に命をとり戻しました。なかなかの精度を出し、日々活躍しています。日付がないので気楽に使えます。
 
こいつに合わせようと、茶色のクロコでストラップを作りました。
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尾錠側7cm
剣先側9.8cm(短く作りすぎて若干使いにくい)
幅:19mm-15mm
厚さ:5mm-2mm 時計側3.5cmまであんこ入り(ボンベタイプ)
ステッチはビニモ5番のベージュ
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見ての通り、本体の雰囲気にしては分厚く作りすぎですね。腹いっぱい!という顔つきです。
 
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小穴がみすぼらしいです。まだ開け方に悩んでいたころのものです。面倒で、磨きなおしたりせず、そのままにしています。
 
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 ブログ初回に紹介したLM36000は、Dバックルですが、こちらは普通の尾錠です。
 
 
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コバは茶色の顔料で仕上げたのですが、コイツも例によってガタガタですね。
 
 
メッキも剥げていて、ダイアルの文字もところどころかすれていますが、アンティークらしい姿が大変気に入っています。
何しろ、絹目ダイアルに手のかかった植字、というのがうれしいですよね。全数字文字盤がたまらなく好きです。
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57408000は、本日の金張りとSSガワ(銀色)の二つ持っていますが、他の物もいずれ、と夢見ています。
全数字の物は、ガワが金色または銀色、ダイアル色が金または白の物があるので、合計4種類あるらしいのです。バーインデックスの物ももちろん存在しますが、こちらはダイアルは絹目ではありません。少し前のタイプ5740B5.5振動)で、同じような全数字があるというので、欲しいですね。
 
 
「国産初の高級時計」として、自動巻き化が進む中でもロードマーベルに対しては諏訪精工舎がこだわり続けた手巻き。
心地いい巻き上げと急ぎ足のチクタク音を、今夜も楽しみましょう。
今日はこんなところで。おやすみなさい。