記念時計と今世紀の時計

今日、21日の時計は、ディズニーの21世紀記念時計・セイコーエプソンV701です。
このチープな21世紀記念時計を前に、2つのことを考えてみます。
イメージ 1
まず、記念時計について。
記念時計は、何か大きなイベントがあった時に、それを盛り上げるため、それをモノとして記憶に残したいために、存在するんだと思われます。多くの場合は、売る側が、ドサクサで儲けるというように映りますが、それを求めるお客がいるんだから、悪いことじゃないです。私も、マイケルジャクソンの死後のTHIS IS ITのドサクサでいろんな記念モノをあやうく買いそうになりました。
こと、ディズニーなんてのは、やれ、東京ディズニーランド何周年記念だ、ウォルトディズニー生誕何周年だ、とか、やれミレニアムだとか。色々あります。この時計も、そのうちの一つにすぎないかもしれません(実は、キャンプファイヤーをディズニーキャラクターがやっている絵のものがあるんですが、あっちのほうが好きでした)。
イメージ 2
でも、21世紀という100年単位の節目を、それなりに盛り上がってもいいのかもしれない。なって見ればなんということもなかった15年間ですが、20世紀の頃は、素晴らしい未来があるかも、というイメージがありました。だから、2001年よりだいぶ前から、近未来をイメージしたデザインの時計なんてのが生まれたわけで、想像力や未来への希望のようなものが見えて、魅力的です。たとえば、カルティエのマストのシリーズは前衛的なデザインが今もかっこよく見えます。オートスカフのダイバーっぽいデザインに大きなローマンインデクスベゼルというのは、ちょっとこの企画のために仕入れようかと思ったぐらい。高くて買えませんでした。他にもGショックでは、企画的に当時のデザイナーが競った21st Century Boysというシリーズがありました。

イメージ 3
そういうものに対して、その場限りのいい加減な記念時計は、時がたってみると見た目以上に色あせていて、持っているのも空しくなるんじゃないでしょうか。まあ、「21世紀になったこと」を記念しただけで、何かがあったわけじゃないから、それはあたりまえかもしれませんね。伝説のなんとかライブで記念発売したナントカというアーティストの限定時計。とかのほうが、まだ価値がありそう。それに、個人的な記念日を刻印した普通の時計の方が記念になりそうですね。
それから、昨今、特にスイスブランドで目につく、アイコニック時計の○○年記念の復刻版。あれは、もうメーカーが勝手にやってるだけじゃないの、という気すらしてきます。他にやることが無いのか、というぐらい。チュードルなんて義務のように毎年毎年やっていますが、まるで、ドラえもんが、リニューアルした絵と声優の新・映画バージョンで、過去のものを塗り替えているような、そんな感じに見えます。オリジナルが好きだった人にとっては、全く同じものを復刻する方がうれしいんです。ドラえもんの昔の映画をリマスター版で上演しまくるとか、再放送するとか。チュードルのサブマリーナとか1st、2ndのクロノグラフを、中身はETAで、全く同じデザインで同じ径で作るとか。そんなことやるわけないでしょ、できるわけないでしょ、という気持ちはわかるけど。ロレックスみたいにほとんど完成されたシリーズをちょっとずつ進化させているほうがまともに見えます。
イメージ 4
お、脱線しました。とりあえず、21世紀を記念した、この時計。ケースも針も安っぽいですが、21の形の窓の奥にミッキーがいるという、それだけの絵柄ですが、楽しくてカワイイです。なんとなく、うきうきする新世紀の幕開け、という雰囲気が感じられます。うん。
近未来と言ってイメージする色は?青ですよね。ウン。

時計コレクターにはインガーソルでもディズニータイムでもないから相手にされないし、ディズニーファンからも関心のないモノだと思います。でも、せっかく21世紀を迎えるときに生きていた証に、いまさらですが、手に入れました。ま、ようするに今日のために手に入れたんですが。本当に二束三文でしたので。
イメージ 5
電池を交換したら、カチッカチッと、21世紀のスタンダードであるクォーツムーブメントが元気に時を取り戻しました。No Jewelの今世紀も世にあふれているエプソンのチープムーブメントです。電池はSR621SW。ちょっとガラス風防を磨いたりしたので、一応ムーブメントを取り出しています。v701ですが、微妙に表記が違います。EPSONでなく、SEIKO TIME CORP.となっています。


もう一つの話、せっかくだから、21世紀の腕時計についても、考えてみます。
14世紀に機械式の時計が生まれ、16世紀に携帯式の時計が生まれて、17世紀にヒゲゼンマイとテンプ、18世紀に様々な脱進機が考案され、19世紀には機械式時計は完成を見て、世紀末には腕時計が定着してきます。20世紀では防水性をはじめ腕時計としての機能が向上し、電池式の時計が生まれ、もちろんクォーツが生まれたことが最大の出来事でした。ものの10年もたたずに数世紀にわたって作られてきたものに取って替わったのだからすごい技術革新ですね。
じゃあ21世紀には腕時計はどうなるべきなんだろう。現在のように、過去の技術をそのまま遺した高級機械式時計と、道具としてのクォーツ時計、という、二極化は続くのでしょうか。大昔からステータスを主張する装飾品は変わらず存在してきたし、クォーツショックも生き抜いたのだから、あと100年は生きそうです。でも、基本的にはシーラカンス、あるいは骨董品趣味なんだから、大きな進化はあり得ません。じゃあ、道具のほうはどう進化するのだろう。もう正確な時間を全ての人の左手に、という着眼ではやりつくしたように見えます。
だから、たとえば、最近はやりのスマートウォッチみたいに付加機能があって、腕に付けた電子端末、ということになるのか。あとは、皮膚みたいに薄い電子回路ができる時代だから、ペタっと腕とか服に張り付けられたり、もっと安価に作られるようになって、毎日その辺でティッシュみたいに配られて、気が向いたようにつけてみたりするのかな。今以上に使い捨てで愛着がわいて大事に使い続けるものじゃなくなるのかもしれません。
イメージ 6
逆に、ノーメンテで長い間使い続けられる時計というのも出てくるのかも。現状、機械式ではもちろん、クォーツだって、ソーラー電池だって10年も使えばメンテや二次電池交換が必要になります。数年前にカルティエが発表した、素材とメカニズムを再考して開発した「ID TWO」みたいにメンテ期間を延長させるという点は(一般向けの時計じゃないけど)各社、試しているみたいです。クォーツ・機械式問わず、そういう時計ができれば面白いです。あとは、朝、歯を磨いてる間に、ネクタイをしている間に、自分で手首にやってきて巻きついてくれる時計。話し相手になってくれる時計。とか、あるいは皮膚越しに持ち主の神経回路とつながったり、健康管理ができたりする、それこそ、コネクタブルな時計が生まれたり。。。あと84年もあるからどうなるのかなー。楽しみですね。
イメージ 7
そうそう、電池交換していたカンパノラ、今日、受け取りに行ってきました。保証期間内だったので無償で。よかったよかった。
カンパノラも2000年から作られているので21世紀時計って考えてもいいかもしれないね。そういえば、カンパノラ、新作が出たんですよねーー。バーゼルをチェックして見つけました。今回のはいわゆるカンパノラって感じで、好みです。文字盤の雰囲気がいいですね。あとプッシュボタンの形が特徴的。

なんてことのないチープクォーツのわりにやたらに長文になりました。そろそろ失礼します。

読んでくれてありがとうございました。
ブログ村に登録しています。応援クリックうれしいです。