Omega seamaster professional
cal.1109 2892-A2
その3 干支足とホロテック5本爪オープナー
ムーブメントの組立が終わったのですが、一番の問題が残っています。
こちらは、分解の時の記事に載せた写真です。
すぐに気づきますが、文字盤の中央の穴と、針の芯(筒車など)がズレていますね。文字盤が左にずれていると言ってもよいです。デイトの「8」がイヤに右側にありますよね。
ウーン、この出品者には、一本も二本も取られました。私の負けです。
ガワのひどい打痕も、写真ではすぐには分からなかったし、ましてや、あのヒキの写真ではこのズレは、全くわからない。針が刺さっていれば、一層わかりません。
オメガともなると稼働品でそれなりにきれいに見える時計なら、けっこうな値がつきますから。まぁ、それでもチャンと買うよりははるかに安いからいいですけど。でも、結構ショックが大きかったですね。出品者はコレについては、良く知らなかったんだろうな、と良心を信じましょう。
とすれば、OHをした専門家が悪かったんですな。
これはなんとかせねばなりません。
たんに干支足が曲がっているのではなく、赤で書いたように、根元が右側に折れていて、足自体は真っ直ぐ伸びているんですよ。だから、文字盤が浮いたりはしていないんです。
文字盤というのは、裏であっても干支足というデリケートなモノがありますから、本当に、関わりあいたくないです
この足も、下手なことをすれば、かんたんにパキっと行きそうです。一度、パキっと行ってしまうと、非常に厄介なのは、過去の自分の経験からも、先人たちの経験からも明らかです。
慎重に、三日間ぐらいに分けてやりました。
全体を左に曲げます。根元がパキットならないように慎重に。根元をしっかりと立ち上げます。(そこが肝心)
そのあとで、足の本体を水平に倒します。
全体が垂直になりました。
そのあとも、ちょっと穴からずれたりすると浮いてしまいますので
微調整です。なんども曲げたりすると危ないので、微妙にやすりで削ってやり過ごします。
これで完成
針を刺します。ふとい針の場合、完全に時分針を真っ直ぐにするのが難しいことが多いです。確か、このあと、結局、刺しなおして、6時位置で時分針が真っ直ぐになるようにしたはずです。
ガワは洗浄済です。ガラスは外していませんが。
回転ベゼル
逆回転防止のスプリングには3本の爪があります。
12時位置にピンが伸びているのでガワにすとんとはめます
これで、ベゼルをはめれば完成。
針を刺し終えたムーブメントはラップを敷いて慎重に扱います。
テンプの右上がハックレバーです。載せているだけなので簡単にズレます。でも、ちゃんとリューズを噛んでないといけないのでズレるたびに面倒です。
自動巻きのアッセンブリを乗せれば固定されます。
この顔を出している赤っぽい歯車が、また、落っこちやすいので。ハックレバーと相まって、いやな局面です。
乗せたら、手巻きで歯車をまわしながら、自動巻きの歯車を誘導します。無理やり押し付けてネジで固定すると壊れるので。
手巻きをして自動巻きの「逃がし」を確認したらOKで、ネジで固定します。
あとはガワに入れるだけ。
もちろん、リューズの抜き差し時の、オシドリピンを押しすぎてリューズマワリぐしゃぁあという、伏兵には気をつけます。疲れているので。
ちょとあわせるのに苦労しましたが、最終的には、このぐらいにはなりました。振り角も300ぐらいに行きました。ここでは全巻じゃないときですが。
内蓋(耐磁)をはめて完成
そうそう、シーマスターの裏蓋は5本爪オープナーが必要です。仏の二本爪でも頑張れば開く、という話もありますが、私のはうまくいきませんでした。
ずいぶん悩みましたが、ココは奮発して、ホロテックを買いました。
シーマスター用のコマ。MSA07.330.030.シーマスターには、いくつかサイズがあるので、気をつけます。こちらは私のボーイズ用シーマスター(ケース径36mm)に使えます。
コマだけで4000円ぐらいしたと思います。うーん、つらい。
でも、ベルジョンの最強裏蓋開け器5700Aにもピッタリはまったので
分解のときもすんなりと開けることができました。やはり、このオープナーはしっかりしていて、操作性がイイです。高すぎるのと、保持側にちょっと不満がありますが。そのうち、また記事にしよう、、、。
これで完成です。
後日談ですが、ベゼルだかガワだかがけっこう帯磁しており、歩度が0秒/日でも、20秒ほど進んでしまいました。なかなか消磁しきれなかったけど、消磁機から遠ざけるときにユックリユックリやったら、なんだかうまくいったみたい。
最近は、日差5秒以下で快適です。
また、けっこう前ですが雑誌に、ETA2892-2と、Seagull ST18(アジア製コピームーブメント)の比較の記事が出ていてとても興味深かったです。シーガルもなかなかすごいゾ、という内容。
コピー品とは言え、さすがに「ETA2892」という刻印は無いらしいです。やや粗いけど装飾(ペラルージュ)はあるし、石が香箱の上下に追加されている。振り角が全巻でも260度ぐらいしか出ませんが、トータルとして値段を考えれば、悪くない、という結論。
気になるのは、おまけで書いてあった、ETA2892のローターでの巻き上げ効率は、ETA2824にやや劣るという一行。確かに、自分の時計たちの中でもチュードルの方がコイツよりも巻き上げが良さそうなんです。あちらはまぁ新品の切替車を乗せているから、かなぁ。
それから、2892のもとになったのはエテルナの3000なんだとか。
この時計については、専用のワニ革ストラップを作っていませんので、連載はこれでおしまいです。
最後まで読んでくれてありがとうございました。
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