(その3 組立て編)
vacheron constantin, overseas 42052/423A cal.1311
注油しながら組立てて行きます。
まず二番車にグリスを付けます
キフショックには9010を自動オイラーで注油して
香箱+角穴車、二番車
受けをかぶせて
三番からガンギ、時刻調整のあたりを入れて、
切替車を用意します。
今回、下の写真のようにエピラム液で全体を処理したあと(液にどぶ付けして引き上げた時の写真)、乾燥させてから、穴から&横から、9010をわずかに注油してみました。
受けをかぶせます。
テンワを入れて、動き始めたところで、タイミング調整
何度か調整しなおして、このぐらいの値で終わり、としました。
日の裏に行きます。オサエのあたりが複雑で薄いパーツです。
全体をうまく組み合わせないといけません。でもすっ飛んでいくような小さいバネとかは無いので、わりと安心。
カレンダー関係の歯車を組んで、
日車、ここの規制バネは飛ばないように注意。ツツカナ、等、入れて、
受けをかぶせます。きらきらです。
カレンダーの動作確認がうまくいったので、文字板をかぶせます。
トリチウムは黄色に変色していますが、文字盤全体としてはキレイです。カレンダー枠の左のフチがややサビが出て色素がはがれているのが残念ですが、経年変化ですので仕方ないですね。夜光はほとんど死んでいますが、暗いところではほんのわずかにぼやーッと光っています。
針を刺します。12時だけだとズレがわかりにくいので、
9時も確認します。9時に合わせるとしっかり90℃になるのを確認。
あと、針のクリアランス、時針を押し込みすぎると接触するので微妙にやり直しましたが、最終的に分解前と同じぐらいにできました。
実は、針はかなり手の込んだデザインになってます。ちょっとわかりにくいですが、精巧にできています。縁は鏡面で中央は細い筋がはいって、先端手前ぐらいまでに夜光が入ってます。
磨きから帰ってきたブレス・ケースを開封します。
ベゼルは、パッキンで止まっていますが、このビス8本で裏蓋側から固定します。
ちなみにリューズのパッキンもリューズの一番奥のものは専用品なのでムリだけど、チューブに接触するあたりのパッキンはイギミで合うものに交換してもらいました。
ムーブメントを入れて、
リューズを差し込んで、
ローターを付けます。
うーん、ムーブメントを入れた後ろ姿もかっこいい
パッキンを新品にしてグリスをして、
はめ込みます。
ロックタイト222をかるくつけたビス8本で、裏蓋を閉じました。
完成です。
磨かれたベゼルやブレスのおかげで、すっかり男前がよみがえりました。
言い忘れましたが、ロックタイトで裏蓋を前に、大事なこととして、巻き上げの様子を見ました。
まず、手巻きでフルに巻き上げるとおよそ50時間稼働しました。
つぎに、ほとんど手巻きをせずに腕に装着して一日過ごします(普通の通勤)
12時間ほど装着して、放置して稼働時間を確認しました。(自動巻き機構の巻き上げ確認)結果は、約51時間
これを2~3回繰り返しました。OKでした。
とりあえずエピラム処理+9010で処理した切替車はワークしているということです
これにて完成。
バックルが新しいものに変わりましたので、オリジナルではなくなってしまいましたが、実用するにはこちらのほうが良いかもしれません。簡単に開閉できます。
両側プッシュ式で観音開きの中央部分にマルタ十字マークです
ベルトの付け根部分のあたりがかっこいいです。
薄型の時計ですが、ブレスがみっしりと重いので、装着時の重さを感じます。
アラビア数字文字盤も魅かれたものの、このシンプルなブルーもよかった。
手をかけただけあって、とても愛着がわきます。
35mmのこぶりな腕時計ですが、存在感があります。細腕でもしっくりきます。
完成後の初めての週末は、八王子の南大沢へ行ったみたいです(画像が同じホルダーに入っていましたので)
アウトレットと、向こうに見えるのは、大学だったか。
お決まりのシチズンに行って、冷やかしだけ。まさかオーバーシーズを見せつけた、ということは無かったはずです。というか、オーバーシーズって、多くの人は知らなそうです。
当時、もちろん、コロナウイルスは無かったので、昔の写真を見ると全然マスクしてる人がいないですね。当たり前だけど
このとき、義父たちと、焼肉を食べたんでした。おいしかった、白飯がマンガみたいによそってありますね。満腹。
ちなみに、2020年10月現在も、日差や巻き上げは良好です。
一日働いて帰ってボックスへしまうと、いつも2日後の同じぐらいの時刻に停止しています。
こちらは、2020年の写真。よく見ると4時位置とか、2年間の使用でべぜるに微細なキズがはいってます(例えば4時位置とか6時位置とか)
パテックの経営が傾いて中古マーケットで価値がガタガタになってアクアノートが「見た目相応の価格」で買える日が来ない限り(来なそうですナ)、この時計が私のコレクションの唯一の雲上ブランド・スポーツウォッチであり続けるでしょう。
今日はこんなところで。
3回の連載を読んでくださり、ありがとうございました。