(その1 購入編)
vacheron constantin, overseas 42052/423A cal.1311
ちょっと前の話になりましたが、2017年に購入し、2018年に分解掃除したお気に入りの高級時計です。
もちろん中古購入ですが、高級感のある箱やギャランティーなどもついてます。
箱もすごいですね、新品時はさぞ豪華だったと思います。
こちらは作業完了後の時計の写真です。直径35ミリなのに存在感と高級感があります。ベゼルとブレス、深いブルーの文字盤がかっこいいです。トリチウムの針にちょっと傷んだ文字盤ですが、いい感じのビンテージになってます。
このブログで、いつも言ってることですが、細い手首には現代の時計はデカすぎる。アンティークの角金あたりが似合うと思うのです。私の時計趣味きっかけの一つ↓
腕時計の大きさ目安や選び方!ケースサイズは手首とのバランスで選ぶ [男の腕時計] All About
最近はデカ厚ブームが終わって、スイスメーカーは少しずつ小さい時計を出してきたけれど、それでも普通のスポーツ系時計は40ミリ以上です。
(この期に及んで、ロレックスがサブマリーナを1ミリ拡大したらしいじゃないですか!王様がそういうことをするとほかのメーカーもマネするからよしてほしい。)
で、これは、ずいぶん前の雑誌で、いいことが書いてありました。ボーイズサイズがいいよ、っていう記事。
当時、ロレックスのGMTマスターをうっぱらって(今ならきっともうすこし高く売れたんだろうね)ボーイズサイズのスポーツウォッチを買うこと決めました。
その理由として、せっかく苦労して買ったのに、40mmはやっぱり少しデカめなので着用回数があまり増えなかった、ということがあります。
色々ネットや店舗を見て回って、最初の狙いは、パテックのアクアノートでした。これは、某店で試着させてもらった写真↓
比較にノーチラスも。どちらも変なデザインなんだけど、それでもどちらもこれだけ人気なんだから、時計って不思議。デザインというよりパテックであることが大事なんだと思いますが
それで、初代のアクアノート(Ref5060.ミディアム相当)はサイズ感がちょうどよく、アラビア全数時だし、ラバーバンドと文字盤が独特で、一時期、私としてはとてもほしくなりました。
が、私が欲しくなって以降、ebayとかオークションですら100万をちょっと超えて中古店だと160万とか。
ようするに小野寺さんのとこの常連みたいな上級国民じゃないと買えないのです
新品で発売当時は人気が無くって70万とかだったらしいですが。
持ってる時計を全部処分したら買えるかな、と思ったけど、どうしても一般国民には、時計一つにそんなお金は出せない。どんなに逆立ちしてションベンしても気持ちとして、無理でした。
庶民感覚としては、これまで、高いカネを時計に出してきたものだ、とは思うのですが、それでも一本の時計は50万円未満というのが個人的に超えられない壁です。
そうすると、中古とはいえ雲上の時計を買うこと自体、そもそも無理があります。
パテック様が無理でも、ボーイズサイズの他のメーカーがあるじゃないか。
①王道のロイヤルオークも候補でしたが。中古では状態が悪いの含め30万ぐらいで買えました。クォーツとか。でも、派生しすぎて勉強しても何が何だかわからない。
②クォーツはちょっとつまらない。本気時計でクォーツを買うなら日本製だろう。
③自分でいじくることを前提とした場合に、ムーブメントが自社製というのは、ネックになります。外装パーツ(文字盤・針ふくむ)は、どっちしにしても手に入りませんが、ムーブだけでも、汎用ムーブであれば、修理可能性が高まります。
上記、3点を踏まえて、バセロンのオーバーシーズを選びました。
3大雲上としては、オーデマピゲのロイヤルオーク、パテックのノーチラスから10年ぐらい遅れて1996年、それらを混ぜ合わせたような、マネしたようなものを、出したんですね。デザイナンは他二つのメーカーのジェラルドジェンタじゃなくて、ヨルグ・イゼック(Jorg Hysek)だという話です。(222というオーバーシーズの前モデル?)
初代オーバーシーズは、ラージサイズ、ミディアムサイズ、クォーツなどのバリエーションはありましたが、現在までの系譜を見ると、ロイヤルオークに比べるとシンプルです。第二世代、第三世代とあっても、これとデザインははっきりと異なりますから。
初代オーバーシーズの発売当時の価格です(古い雑誌の特集)
ミディアムサイズのクォーツ 68万円(左)、オートマチック 88万円(右)
当時の輸入代理店 日本シイベルヘグナー(現DKSHジャパン)
このあと、何年かして、アラビア数字文字盤やクロノグラフバージョンも発売しました。
私が購入した2017年当時、中古でミディアムのオーバーシーズを買う場合、上記の通常文字盤(色はシルバー、ブルー、サーモンピンク、ブラック)か、アラビア文字盤(黒のみ)が選択肢になりました。
アラビア全数が大好きな私としては、最後まで悩みましたが、ヤフオクやメルカリで出てくる数は少ないのです。
悩んでいるとき、ちょうど、良心的価格で(私の壁の50万をしっかり下回る)出している「業者ではない」出品者に遭遇しました。たしか40万チョットだったような。
だいぶヤレていますし、キズもあるけれど、自分でいじりまわすのでこのぐらいがいいと思ったところです。もちろん長期間オーバーホールしていない個体。
無事に落札したのですが、懸念していたことが起こりました。 クラスプ部分が故障してたのです。
初代のクラスプは内側のスライドさせる四角いパーツが中古品でグダグダになっている、という評価が多いのですが(下記、ブログ参照)、ソレでした。
初代オーバーシーズが戻ってきた - If you are going through hell...keep going.
時紡ぎ ヴァシュロン・コンスタンタン オーバーシーズ(42050/423A-8474) | Styles「流儀」
幸運だったのは、私が、落札前にその辺を確認しているのに壊れていた、ということを、出品者が理解してくれて、修理費を出してくれたのです。
(私がかつて出会った素晴らしい出品者の3本の指に入ります)
もう一つの問題は、正規店でないと、クラスプの修理はしてもらえないけど、普通に考えると「修理するなら抱き合わせでオーバーホール(コンプリートサービス)を受けなさい」とメーカーに言われるんですよ。
ロレックスにも昔「文字盤交換だけなんて許さない」と言われました。
そこを、私が頼み込んだ店は、クラスプ交換だけというのを承諾してくれました。メーカーに無理言ってくれたのでしょう。この先、お客になりそうもない庶民の私の頼みを聞いてくれたあのお店、今でも、感謝の気持ちがいっぱい。でもなにも買わなくてスミマセン。
で、例の小さな四角いスライドパーツをメーカーさんが修理してくれるのかと思ったら、第二世代以上のクラスプに、まるまる交換だって。 バセロン的にもあれは失敗だったよなぁ、ということなんでしょうか
ともあれ、バックル部分だけピカピカの男前になって無事に帰ってきました。メーカーも「基準を満たしておりませんからネ!」って書いてある↑
バックルだけで10万ですって。まぁ雲上じゃないとしても、そんなもんなのでしょう。
これでオーバーホールをしたら10万プラスです。
斯くして、親切な出品者と、親切な代理店のおかげで、私のオーバーシーズいじりがスタートしました。
2.95mmの薄型自動巻きムーブメントをこういう構造で挟むことで新品当時150m防水を可能にしたようです。
裏蓋のパッキンが同じものはに手に入らないので、(あるいは初期ロット以外は普通のOリング状だったのかも?)普通のもので代用します。
ベゼルには、やはりプラパッキングが入っています。これについては取り外しの時なんかに万が一失敗・キズモノにしたら同じパーツが手に入りませんので、今回、手を付けませんでした。
裏蓋の帆船(アメリゴベスプッチだっけ?)がかっこいいです。
今回、外装のキズ磨きについては、ベゼルを外すのをやめたのでプロに任せることにしました。それに、そこがこの時計のウリですから、素人の私が磨いてもダサすぎでしょうから。
この時計の顔ともいえるベゼルは、どうしても使用に伴うキズができます。
このように、ムーブメントを取り出して、
新品のバックルを外して、
磨きを、依頼しました。
ムーブメントを抜いた状態なんかで引き受けてくれる(た)のは、五十君商店です。さすが。
これで、外装はばっちりプロの磨きに任せたので、あとはムーブメントいじりです。
次回に続きます。
今日はこんなところで。
最後まで読んでくれてありがとうございました。